老健みやざきブログ

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その8)

2024年11月6日 | 協会活動報告

リハビリテーション研究部会が10月12日に開いた2024年度の研修会、講師の三浦晃先生は、ケアプラン作成におけるリハビリ専門職の関わり方について「たとえばケアプランに福祉用具が一つ追加されるだけで、アセスメントは一からやり直しです。小手先で短期目標だけ直すというのはNGです。プランをやり直すと、担当者会議ももれなく開くことになります。リハ職がやりがちなのは、ポンポン福祉用具を提案するんです。それで皆さんが、眉間にしわを寄せられた経験があったとすれば、ケアマネジャーは『デスクワークが負担だ。もう一度アセスメントをやり直さないといけないじゃないか』という心理状況なのだと思います」と会場を見渡しながら訴えると、参加者は自らを省みながら聞き入っていました。

「何が良いかと言うと、福祉用具の予後の展望をしっかり見積もっておくということです。具体的には新規利用の方の場合で『今は車椅子かもしれませんが、3ヶ月以内にキャスター付き歩行器、次に4点杖、最終的にはT字杖とい傾向をたどるかもしれませんので、適宜その提案をさせてもらいますがよろしいですか』というように、予後の見積もりを立てて、ケアマネジャーの合意を取っておくこと、つまり先出しが大事です。後出しジャンケンは喧嘩の種になります」とリハ職がケアマネジャーと関わる要点を説明すると、参加者には納得の表情が浮かびました。

(つづく)

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その7)

2024年11月5日 | 協会活動報告

このように宮城県版アセスメントシートを用いて説明してきた三浦先生、「128項目、全部情報を拾わないといけません。そして『さあ、ケアプランを作るぞ』という前に整理する作業が必要です。たとえば左大腿骨頸部骨折の方の健康状態について『それは転倒のためです』としても、これではアセスメントとして弱いと言えます。なぜ転倒したのか?というその先です。これは筋肉の問題なのか、それとも認知機能の問題なのか?環境とのミスマッチなのか?というように転倒についてもっと深堀りしたアセスメントが必要です。ケアマネジャーはそこまでは難しい場合もあります。このときにリハ職がケアマネジャーの作法がわかっていると、対応の仕方がわかってきます」と、問題を掘り起こし、プランにしていくためのポイントをおさえました。

また「元気でいたい(本人)」、「元気でいてほしい(家族)」の意向についても「もうちょっと深堀りしないといけません。『どんな姿を元気だとイメージしていますか?』と質問の仕方を工夫し、生活行為に早めにたどり着いた方がいいです。オープンクエスチョンがむずかしい場合、『興味・関心チェックシート』を使うという流れになります」と、抽象的な意向を具体的で個別性のあるものにしていくための工夫を紹介しました。

また長期および短期の目標を設定するにあたっては「行程分析をすれば、長期と短期が一緒になるということはありません。例えばお風呂に入るでも、まずお風呂の準備から入りますね。それから髪を洗う、またぐなど、行程を分解すると20くらいになり、長期目標と短期目標がとてもきれいになります」と、目標が抽象的なものになり、アセスメントした128項目を無駄にしないための工夫や提案方法を紹介し、「それが連携だと思っています」と付言しました。

(つづく)

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その6)

2024年11月4日 | 協会活動報告

このようにケアマネジャーが行うアセスメントの23項目が指定されている一方で、そのツールは様々あり、どれを用いても良いことに言及した三浦先生、宮城県のケアマネジャー法定研修で使われている宮城県版アセスメントシート「アセスメントのための情報収集シート128(居宅)」を紹介しました。これは特定非営利活動法人宮城県ケアマネジャー協会が作ったもので23項目が細分化され、128項目になっているもの。これを用いれば、ケアマネジャーは1件のケアプランを作るのに128項目のアセスメントを行うというもので「アセスメントの幅は非常に広いです。ケアマネジャーのアセスメントの特徴は幅なんです。これに対し、専門職のアセスメントは奥行きです」とし、普遍的な自立(どんな条件、環境でもできる)と限局的な自立(条件が整えばできる)の違いを踏まえたアセスメントを通じ、問題や支障があるか否かを判断していくやりかたを、実例に照らし合わせながら説明、「ケアマネジャーの価値観によってふるい落とされ、問題視、課題視されないものがあります」と警鐘を鳴らしました。

さらにIADLのアセスメントについては「簡単に置き換えがかなうのが落とし穴。IADLは、活動量にかかわってきます。認知機能についても安易な代替はいけません。安易に代替させてしまうと、体の活動、頭の活動がストップしてしまいます。特にIADLを適切にアセスメントしないとフレイルの入口に立たせてしまうリスクがあります。特にデイケア、そして在宅部門に勤めている方にとって、IADLはとても大事です。ここはリハ職に活躍して欲しいと思います。ケアマネジャーのファーストアセスメントであぶりだされない問題は、ケアに乗ってきません。かといってあとでやり直せるかというと、かなりタイムラグが生じます。そのタイムラグを誰かが気づいてやらないと本人が不利益を被ってしまいます。したがって、ここはいち早くリハ職が気付き、修正して欲しいと思います」と強調しました。

特定非営利活動法人宮城県ケアマネジャー協会のホームページには、アセスメントシートをはじめ、様々な手引きや様式が公開され、活用を呼びかけていますのでご参照ください

(つづく)

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その5)

2024年11月1日 | 協会活動報告

ケアマネジャーのアセスメントの苦労とバラツキに話題が移り、三浦先生は「介護サービス計画書の様式および課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日、老企第29号 厚生省老人保健福祉局企画課長通知 別紙4)をスライドに示し、「これはケアマネジャー以外の人にも覚えて欲しいことです」と念を押して説明をはじめました。「これは厚労省がアセスメントのルールを定めたものです。『課題分析(アセスメント)については、介護支援専門員の個人的な考え方や手法のみによって行われてはならず、要介護者等の有する課題を客観的に抽出するための手法として合理的なものと認められる適切な方法を用いなければならない』と明瞭に書かれています。これは簡単に言うと『ケアマネジャー一人ひとりの勝手な方法でやったものはアセスメントとして認められない』ということです。じゃあ何を持ってアセスメントとして認めるかというと、『個別の課題分析手法について“本標準課題分析項目”』をやれば、アセスメントをしたと認めるということで、『ケアマネジャーがアセスメントする項目は指定されている』というわけです」として、続くスライドその23項目について、No.1からNo.9までの「基本情報に関する項目」、そしてNo.10からNo.23までの「課題分析(アセスメント)に関する項目を映しました。

その上で「重要なのはNo.10からNo.23までの14項目です。これは何かというと、高齢になると低下もしくはリスクが生じやすい項目、言い換えて『14領域』と言った方がわかりやすいかもしれません。ケアマネジャーはこの23項目をやらねば、アセスメントしたとは認めないということです。ただしアセスメントツールまでは指定されていません。つまり23項目が盛り込まれてあれば、どんなシートでもいいわけです」と述べた上で、昨年10月16日付けの介護保険最新情報Vol.1178「『介護サービス計画書の様式及び課題分析項目の提示について』の一部改正について」において、この23項目に、より具体的な内容が加わったことが説明され、「これは『このような具体的な視点を持つべきだ』というメッセージだと思っています」との見解を示し、「ケアマネジャー一人が責任を負うわけではありません。これを手助け、後押しするのが専門職の役目です。厚労省が加えた内容を専門職が理解し、ケアマネジャーに情報提供するという連携が大事です」と会場を見渡しながら訴えると、参加者は身を引き締めて聞いていました。 (つづく)

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その4)

2024年10月31日 | 協会活動報告

介護保険法の概論で、三浦先生は「第1条(目的)にある通り、介護保険法は高齢者ひとりひとりの有する能力に応じ、自立した生活を支えるための制度であり、法律だということです。難しいのはその『有する能力』です。これをしっかり見積もるのがアセスメントの技術です。また第2条は介護保険という『お財布の使い方』になります。全国で1700の市町村がありますが、1700通りのお財布を持っているということです。そのお財布は『必要な保険給付を行う』ということであり、裏返すと『不必要な給付は行わない』ということです。そのジャッジメントは何かというと、第1条に戻って『有する能力を使って、自立した日常生活を営むことができるように使っていれば、それは『必要な保険給付』ということになります。そのものさしは何かというとアセスメントです」と必要な保険給付のためにアセスメントが重要であることを強調しました。

その上で、「それではファーストアセスメントをする専門職は誰かというと、それはケアマネジャーです。ケアマネジャーが先人を切りますが、それゆえにケアマネジャーのアセスメントがあまりよろしくないと、それ以降のケアに影響が出ます。ということは、対象者一人ひとりの自立支援に影響が出るということです。つまりどのケアマネジャーと巡り合うかによって予後が変わってくるということです」と述べ、ケアマネジャーのアセスメントにテーマが移っていきました。

(つづく)

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その3)

2024年10月30日 | 協会活動報告

まず「テーマ1:外部から見えた老健の見え方とは?~居宅CMを中心とした老健の見え方・活用の仕方~」では、「私は何足かのわらじを履いています」と、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)と住宅型有料老人ホームの管理者に加え、作業療法士とケアマネジャーを兼務、さらに社会福祉士として権利擁護や事務など、マルチに活躍されている現状に触れ「すごいな、と思われるかもしれませんが、人がいないからやるしかありません。ただ他の職種のことをしっかりやると、ちゃんと見えてきます。何を言いたいかというと、隣の職種のフィールドにちゃんとお邪魔をして、他の職種を知るということが大事だということです。その観点から今日はケアマネジャーのフィールドにお邪魔していきます」と切り出しました。

「ケアマネジャーはマネジメント、多職種、いろいろなサービスをコーディネートする役割です。しかしいろんな人を相手にしないといけないので、疲れているケアマネジャーも多そうに見えます。愚痴をはかれるケアマネジャーもいますし、私もそうでした。もちろんケアマネジャー責任があるかもしれませんが、ケアマネジャーの中身をちゃんと見て愚痴をはく人は少ないかもしれません」と自らを省みながら、医療職を中心とした病院と、介護職を中心とした居宅介護支援事業所との連携が要介護者の在宅療養を支える上で重要だと認識さえてはいるものの、連携のあり方に頭を悩ませている関係者が多いことを指摘。「病院でも施設でも『大事なのは自立支援のための医療・介護連携』といいますが、『今自分がやっていることは果たして連携なのか?連絡なのか?』と悩むことがあります。『連携』という言葉はなかなかやっかいですが、ケアマネジャーのフィールドにお邪魔すると、連携の一助になると思います。極端な例ですが、病院、医療職は自分の領域、足場から動かずして相手のことを見るので、『あのケアマネジャーはわかっていない』という方もいらっしゃるでしょう。これに対してケアマネジャーの方は『自分の立ち位置をそのままに、相手の立ち位置にお邪魔しないで、自分の領域から相手を非難している』と怒っている。そうするといい連携は生まれません」と、お互いの特性を知った上で歩み寄り、今後の協働のしどころを知って実務に生かすことの必要性を説きました。

(つづく)

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その2)

2024年10月29日 | 協会活動報告

自己紹介に続き、研修会の目的と て①私の経験値から見えた老健の「強み」と「課題」を発信する、②その強みを活かし、課題と向き合う一助となることを期待する、③老健で12年の勤務歴のある者として、同じテーマで相談・交流し、明日を語る機会とする・・・の3つを挙げた三浦先生。若い頃志した音楽の道を断念、介護の仕事に就き、さらに努力を重ね作業療法士の免許を取得。スキルを重ね、リハビリ専門職として老健施設で働いている時に施設長の命により相談室へ異動。「当時、リハビリのライセンスを持って相談室というのは珍しく、『現場を経験した、現場上がりの者でしか相談室には出せない』というのが施設長の方針だったのですが、当時の相談室長が私を推薦してくれて異動となりました」と経緯を説明。そこで懸命の努力をされた三浦先生の「教科書には載っていない経験値」もお話しいただけるとのことで、参加者は高い関心を払って聞き入っていました。

研修の内容は「テーマ1:外部から見えた老健の見え方とは?~居宅CMを中心とした老健の見え方・活用の仕方~」そして「テーマ2:通所リハの利用者獲得に有効な手段とは~地域で生じている課題からニーズを読み解く~」という内容で進められました。

(つづく)

「外から見た老健」学びました(リハ部会研修:その1)

2024年10月28日 | 協会活動報告

当協会リハビリテーション研究部会は令和6年10月12日(土)宮崎市のJA・AZM本館中研修室で2024年度の研修会を開きました。55人が参加し、客観的な立場からとらえた老健の姿と課題などについて学びを深めました。

開会にあたり、同部会の飯干和也委員長は、満席となった会場を見渡しながら「本日は三連休の初日にもかかわらず、たくさんの方に参加して下さりありがとうございます」と謝辞を述べました。

講師には株式会社リエンズ看護小規模多機能型居宅介護リエンズおよび住宅型老人ホームリエンズの管理者で、作業療法士そして介護支援専門員の三浦晃先生を仙台市からお招きしました。同市内の老健での勤務経験も長い三浦先生、「今日は2時間いただいていますが、少し早口で進めないといけないくらいの内容です。書き取るよりも『なんとなく大事なことを言っていたな』という“頭のメモ書き”の方がいいと思います。調べればわかることはあとで調べていただいて、私が『今日、ここが大事ですよ』ということを頭に書きとめていただければと思います」と笑顔で語りかけると、会場は打ち解けた雰囲気になりました。

(つづく)

参加者募ってます!「“生産性向上の取組み”研修会」(看護介護部会)

2024年10月25日 | 協会活動報告

当協会看護・介護研究部会が令和6年11月9日(土)9時から、宮崎市のJAアズム別館3階302研修室で開く第2回の研修「生産性向上の取組み」は、現在申し込みを受付中です。開きます。

この研修では同部会で実施した先進施設への視察の報告や、事例発表、講演、意見交換などを予定しています。

またこの研修は、看護・介護に限らず、ICT・介護ロボットに関わる方どなたでも参加でき、。参加費は無料です。

国を挙げて介護分野における「生産性向上」の重要性が叫ばれている中、本研修会は時宜にかなった大変有意義なものです。詳しい内容や申込については、こちらをご覧の上、参加申込書にて令和6年11月6日(水)までにお申し込み下さい

【この研修の問合せ・申込】

◯介護老人保健施設東海園 坂下 和代

◯TEL:(0982)30-1661 ◯FAX:(0982)30-1665

本日正午まで!プレゼンデータ登録「第35回全国介護老人保健施設大会岐阜」

2024年10月24日 | 協会活動報告

2024年11月14日(木)と22日(金)、長良川国際会議場他で開かれる「第35回全国介護老人保健施設大会岐阜」のプレゼン資料(発表データ)の登録は10月24日(木)、本日正午までです。

この大会のテーマは「再び、地域が動く~多様性を包摂する老健のさらなる共進(共鳴・共生進化)を~」。

プレゼン資料(発表データ)は「PDF」ファイルで受け付け、

①PowerPointの「アニメーション」や「動画」は一切使用できない

②発表スライドはタイトルスライドを含めて10枚以下

③スライドは「16:9」での作成を推奨

④PDFファイルは50MB以下に収める

⑤プレゼン資料の当日差し替えは原則不可

・・・などの決まりがありますので、十分ご注意下さい。

登録締切は本日正午です。登録がお済みでない発表予定の方はこちらのプレゼン資料(発表データ)の登録方法、および発表用プレゼンファイルの作成方法と注意をご覧の上、定刻までに急ぎお手続きを完了されますようお願いいたします。

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