2019年 3月

キャリアアップ基礎研修開きました(その2)

 第2部は「在宅復帰に向けたADLの指導・住環境整備について」。講師を務めたのは介護老人保健施設こんにちわセンターの理学療法士、中村豪志さん。講義は「日本の家屋の特徴を理解した上で、福祉用具や住宅改修の基礎知識を身に付け、介護のプロフェッショナルとして実践的な在宅復帰・在宅生活支援ができるようになること」を目標とし、「1.住環境整備の概要」、「2.日本家屋の特徴」、「3.住宅改修の基礎知識」、「4.福祉用具の基礎知識」、「5.各ADLにおける自立のポイント」という流れで進められました。

この中で「1.住環境整備の概要」では在宅復帰・在宅生活維持の要素として本人の身体機能・認知機能や人的環境、社会環境に加え、自宅や福祉用具などの物理的環境があることを踏まえ、生活環境整備の意義として「本人の身体機能向上の限界がある場合、生活環境を本人の体に合わせて変える」、「ADLに介助を要する場合でも、福祉用具を使用することで自立できる場合がある」ことを学びました。そして生活環境整備の基本的戦略として「居室の変更、物の移動を行い生活動線を単純化し、生活空間を見直す」、「福祉用具を活用する」、「住宅改修」があり、生活環境を整備するためには心身機能の評価・予測、物理的環境の評価・改善の知識、家族の介護力の評価、制度の知識などが必要で「日常生活支援に携わっている介護の専門職の力が必須です」と強調しました。また生活環境整備を行う時の注意点として「将来を見越して計画」、「家族の利便性も考慮」、「生活習慣を尊重」することなどが説明されました。

「2.日本家屋の特徴」の中では尺貫法による工法であることや高温多湿に対応していること、畳を敷いて床座動作を行い、布団やこたつを使用する和式の生活様式は敷居の段差が発生し、車椅子や歩行器が使用しづらいことなどを踏まえ、「健常者であれば特に問題ないが、段差が多く、脳卒中や運動器疾患の方は負担が多い。車椅子での生活がしにくいし、介助スペースも確保しにくい」などの特徴が日本家屋にあることが解説されました。

「3.住宅改修の基礎知識」では介護保険制度による住宅改修について、(1)手すりの取り付け(ネジ止め)、(2)段差や傾斜の解消、(3)滑り止め、床・通路面の材料の変更、(4)扉の取り替え、扉の撤去、(5)和式便座から洋式便座への取り替え、(6)付帯して必要な工事・・・などをイラストを交えながら学習。そして介護保険制度による住宅改修を行うにあたっては「20万円までは複数回に分けて改修してもよい」、「転居した場合、リセットできる」、「初めての住宅改修費が支給された住宅改修の着工日の要介護区分を基準にして、要介護区分が3段階以上上がる場合、リセットできる(1回かぎり)」・・・といった注意点を理解した上で制度を有効利用していく事の必要性を確認しました。

「4.福祉用具の基礎知識」では福祉用具の入手方法には「介護保険によるレンタル」、「同購入」、「自費購入」があり、それぞれの違いや対象品目などが紹介されました。

「5.各ADLにおける自立のポイント」では「家屋内への出入り」、「家屋内での移動」、「移乗」、「排泄」、「食事」、「入浴」、「就寝・起居」の6つについて用具や方法の紹介と選択基準、注意点などが写真を用いて説明されました。

まとめとして(1)できる限り住宅改修や福祉用具の知識を広げる、(2)介護職員の視点でアドバイスできるよう専門性を高める、(3)本人だけでなく、家族介護者の立場も考慮する・・・の3つの重要性を確認しました。受講者はこの日の学びを自らのキャリアアップにつなげるとともに、明日からの業務の実践に活かそうと真剣な表情で臨んでいました。

(終わり)

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