文化の日

2011年11月3日|

  今日は文化の日。県内各地でも、それにちなんだ催しが、色々と開かれているかと思います。もっとも、老健に勤める皆様におかれましては、祭日とは関係なく、仕事に励まれている方も多いかと思います。

 はて、「文化」とは何ぞなもし?と思って広辞苑で調べてみると、「(1)文徳で民を教化すること。(2)世の中が開けて生活が便利になること。文明開化。(3)(culture) 人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果。衣食住をはじめ技術・学問・芸術・道徳・宗教・政治など生活形成の様式と内容とを含む。文明とほぼ同義に用いられることが多いが、西洋では人間の精神的生活にかかわるものを文化と呼び、文明と区別する。⇔自然」・・・とあります。ここで気になるのが「文化」と「文明」の違いです。

 これも広辞苑をひいてみました。「(1)文教が進んで人知の明らかなこと。「―の世」(2)(civilization) 都市化。():生産手段の発達によって生活水準が上がり、人権尊重と機会均等などの原則が認められている社会、すなわち近代社会の状態。⇔蒙昧・野蛮。():宗教・道徳・学芸などの精神的所産としての狭義の文化に対し、人間の技術的・物質的所産」・・・とあります。つまり、精神的なものが文化、物質的なものが文明ですか、ふーむ。

 そこまで調べて思い出したのが、ウン十年前、英単語の参考書(「試験に出る英単語」だったと思うのですが、定かではありません)に”文化(culture)”と”文明(civilization)”の違いについて、だいたい次のような内容のことが記されていました(たぶん。間違っていたらゴメンナサイ)。

         「文化は文明を破壊する(ことがある)」

 英単語の参考書ですから、単語と意味さえ覚えればいいのですが、何だか哲学的な響きがして、私にはこの1文が長い間ずーっと気になっていました。

 しかし、その言わんとするところが、わかったような気がしたのが、宮崎駿監督の代表作品とも言える「天空の城ラピュタ」です。「空を飛びたい。重力にあらがい、天空を支配して、世界を掌中に収めたい」という人間の欲望が飛行石を生み出し、そしてその欲望ゆえにラピュタは滅んでしまったのでした。ラストで飛行石の巨大な結晶が、人間の欲望の呪縛から解き放たれ、空高く、というか無限に広がる宇宙空間へ向けて、上昇し続けていくのですが、そのシーンをみて、「”文化が文明を破壊する”って、こういうことなのかなあ」と悟ったのでした。

 「文化の日」はあっても、「文明の日」はありません。物質が巷に溢れる世の中ですが、大事なのは人の精神、心だということを忘れてはいけません。携帯を家に忘れて出てきてしまって、一日中携帯が気になってしょうがなく、落ち着かずに過ごしたことはないでしょうか。人が物を支配することはあっても、物が人に支配されるようになってはいけません。そのことを「文化の日」に再確認しなさい、と設けられた祭日なのかなあ、と考えてしまった113日です。ちなみに大安。ハッピーなことがあるといいですね。

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