研究大会開催しました〔特別講演その1〕

2012年3月22日|

IMG_1822.JPG   続いて、「『最期まで口から食べる楽しみ』を支える ?多職種との連携を通じて?」と題し、ひとえ歯科クリニック院長の宇都仁惠先生の特別講演がありました。宇都先生は鹿児島大学歯学部を卒業、九州大学歯学部病院第一補綴(ほてい)科に入局された後、雁ノ巣病院歯科、産業医科大学歯学科口腔外科などを経て宮崎に帰郷され、2000年に宮崎市保健所健康増進課に勤務されました。その中で予防の大事さを再認識、2002年、再び福岡市のおがた小児歯科医院(障害者歯科では日本の草分け的存在です)に勤務された後、2003年にひとえ歯科クリニックを開業、現在に至っておられます。口腔ケアの重要性が叫ばれる中、その第一人者である宇都先生のお話が聞かれるとあって、会場は満席になりました。

 「食べるということは命にもつながる大切な行為です」と切り出した宇都先生。講演のタイトルを「最後まで・・・」ではなく「最期まで・・・」とされていることからも、その思いを伺い知ることができました。

 講演は(1)口腔ケア指導の成果と口腔ケアの実際、(2)口腔内細菌と誤嚥性(ごえんせい)肺炎、(3)在宅で最期まで口から食べる事への取り組み、(4)食介護・食支援アンケートの結果から・・・の4つの内容について行われました。

 まず、口腔ケアの成果と口腔ケアの実際については、潤和会記念病院にて宇都先生が歯科衛生士と共に、月1回、1病棟ごとに指導介入した事例が紹介されました。病棟職員を対象に基本的口腔ケアマニュアルを作成し、指導した結果、「うまく口を開けてくれない」、「方法や道具が分からない」という悩みが減った一方で、ほとんどの職員が「歯科専門職が必要」と答えたとのことでした。

 また、位相差顕微鏡を使って、実際に口腔内を撮影した映像が紹介されました。口腔内でうごめく細菌のあまりの多さに、受講者からは驚きの声が漏れていました。しかし、口腔ケアを行うことで要介護患者の総細菌数、そしてその中でも桿菌の数が有意に低下したことが説明され、口腔ケアの必要性を実感することができました。(続く)

 

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