開催しました!「九州大会inみやざき」(その11)
2004年に「痴呆」という用語を「認知症」と改めたことなどを契機として「認知症を知り、地域をつくる10ケ年」の構想が2005年4月にスタート。認知症サポーター、認知症キャラバン隊、オレンジリング、認知症サポート医などが誕生し、一定の効果があったかと思われたものの、2002年の推計認知症者数を、2013年に調べ直し再々検討すると、2倍以上になったことが明らかとなったことをグラフに示した田代先生、「やってきたことが無駄ではないですが、『間に合わない』ということがわかりました。そこでどうなってきたかというと、『認知症の人は、施設や病院から在宅中心で看ざるを得ない』という方向に大きく変わりました。それが地域包括ケアシステムの推進とともに始まったと言っても過言ではありません」と強調。認知症推計数の間違いにより、既存の施策の終了前に、新たな施策を行うこととなった経緯を説明すると、参加者はうなずきながら聞き入っていました。
また、2019年に公表された「『共生』と『予防』を両輪とする認知症施策推進大綱」については、「共生」が「認知症の人が尊厳と希望をもって認知症とともにいきる。また認知症があってもなくても同じ社会でともに生きる」という意味であり、一方「予防」は「『認知症にならない』という意味ではありません。『認知症になる』という前提で考えるということです」とし、「認知症になるのを遅らせる」そして「認知症になっても進行を遅らせる」の2つを示した上で、「『“認知症になっても進行を遅らせる”というのは予防なのか?』と疑問を持つかもしれません」と前置きし、「疾病予防、早期発見、早期治療そして重症化予防」という疾病の予防と同様、認知症の予防も「認知機能低下の予防、早期発見、早期対応、そして重度化予防」という考え方であることを示し「ならないことだけが予防ではありません」と説明を加えました。
その上で田代先生は、認知症者の家族が気づいた様々な初期症状に思い当たった際、「これまでは『思い当たることがあれば、かかりつけ医に相談しましょう』としていましたが、これからはこれらの初期症状に気づくだけでなく、その発現の『ウラ・理由・背景』を探り、考えることが、その人への対応に結びつき、認知症の進行を穏やかにし、本人の自立した時間が長くなることにつながると私は思います」と、「もの忘れ」だけからの発想を再考することが認知症の新たな段階として大事であると訴えました。
(つづく)