「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その12)

講義と合わせ、ユニ・チャーム株式会社の商品展示と説明会も行われました。

適正な紙おむつ使用によるコスト削減、現場のゆとり創出、そして利用者のQOL向上をについて、事務側、現場側の職員皆で考え、取り組んでいくことの重要性を教わった受講者は、ひとつひとつの商品の特徴や使用法などについて熱心に質問をしながら学びを深めていました。

また、会場ではパラマウントベッド株式会社の「眠りSCAN」の展示コーナーもあり、受講者の関心を集めていました。

(つづく)

「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その11)

ユニ・チャーム株式会社ジャパンフロア営業統括本部九州支店の伊藤貞彦マネージャーによる講義、「紙おむつ使用枚数分析による現場の実態把握と対策でコスト削減」。まとめに入り伊藤マネージャーは「コスト削減はほかにも色々あります。現場の職員が何に困っていて、何を改善していきたいかを事務側と現場側の双方が一緒になって話し合い、取り組み、成果を出していくことが大事です。たとえば紙おむつの交換を低頻度にすることで、コスト削減と、職員に時間のゆとりとご利用者様の快適性を生み出します。また排便コントールをしっかりすることでコストを削減しスキントラブルの発生率を下げることができます。そして自立排泄を促進することで、コストを削減するだけでなく自立排泄支援加算等で施設の収入を増やすことができます。これらの結果としてコスト削減と合わせ、施設の評判も上がります」と具体的な手法とそれにより期待される効果を示しました。

最後に「コスト削減は、毎月の支払金額を下げることです。きちんと現場状況や、紙おむつの使用状況を分析し、何が課題なのか、何を改善して行きたいか、そして何を目標にしていくかを事務側と現場側の職員全員で取り組んで行きましょう」と呼びかけると、会場には感謝の拍手が響きました。

(つづく)

「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その10)

コスト削減を事務側と現場側の双方が協力して取り組んでいくことの必要性を訴求した伊藤マネージャー。その具体的な手法として、「使用枚数分析表」を用いた使用実態の把握と改善点の洗い出し、またこれを活かした「あて方勉強会」の実施、テーブ止めサイズ選定とあて方の徹底などについて、具体的な表やデータを示しながら説明しました。

その上で「サイズの徹底ができていないと、コストを削減できないだけでなく、現場においては紙おむつと肌が密着せず、隙間が発生しやすくなり、漏れにつながります。漏れが多くなるとその対応、処置に時間を要してしまいます。またご利用者にとっても、ゆるくあたっているために不安感が発生しますし、漏れが発生すると嫌な気分になるだけでなく、それが続くとスキントラブルが発生する可能性もあります」と、現場およびご利用者双方にとってサイス選定が徹底できないことによる弊害があることを指摘しました。

さらにおむつ交換にかかる時間についても「漏れがない時と漏れた時では大きく異なります」と切り出し、ユニ・チャーム社の調査結果をスライドに示し「漏れがなく、パッドに吸収できていた場合のおむつ交換の平均時間は2分26秒。これに対しアウターまで漏れていると5分31秒。さらに衣類やシーツまで漏れていると、9分20秒。7分間、3倍以上の時間格差があります。したがって、もし5人が漏れていたとすると、35分もの時間がかかることになり、それだけ現場スタッフにかかる負担も大きくなります」と続けると、受講者は納得した表情でうなずいていました。

(つづく)

「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その9)

その上で伊東マネージャーは「コスト削減に失敗するパターン①」としてまず「見積もり単価と少量のサンプルを使用して安易に判断するパターン」を挙げ、「事務側は見積もりで同じくらいのサイズや大きさ、吸収量を単価比較して『安い』と判断する一方で、現場側では数日間や数枚、または1袋のパッドを使用し、安易に『問題ない』と評価し、メーカーなどを切り替えて使用していくと、以前使用していた品質より低下していて、漏れやスキントラブルが発生し、結果として以前より使用量が増加しコストアップしてしまうというパターンです。このパターンは本当に多いです。単価が安いから毎月の支払い金額が安いというのは大間違いです」と説明。そうならないために「事務と現場が一緒に使用状況を分析した上で、何に問題があるかを発見し、そこにメスを入れて改善案を一緒に考え、優先順位をつけて取り組んでいくこと重要です」と成功するパターンを示しました。

次に「コスト削減に失敗するパターン②」として「事務は事務、現場は現場という考え方で、コスト削減を現場任せとなってしまうケースです」とスライドを変え、「事務側は現場の職員に『コストを削減しなさい』と伝え、現場側は『わかりました』とは言ったものの、何をどのように削減したらよいかわからないし、優先順位もわからないため、何から手を付ければよいkあわからない、というパターンです」と言い添えると、受講者は自施設での現状を振り返りながら聞き入りました。

それを確かめて伊東マネージャーは「現状を分析して、どの部分が適正でないかを、現場職員の意見を聞きながら課題を抽出し、改善策を考え、優先順位をつけて取り組んでいくことが成功するパターンになります。コスト削減は現場任せにせず、事務側と現場側の双方で使用実態を把握し、何をどのように改善していくかを考えるようにしましょう」と呼びかけました。

(つづく)

「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その8)

続いてユニ・チャーム株式会社ジャパンフロア営業統括本部九州支店の伊藤貞彦マネージャーが、「紙おむつ使用枚数分析による現場の実態把握と対策でコスト削減」というタイトルでスライド横に立ちました。

コスト削減について、伊藤マネージャーは開口一番、「見積書の単価を下げれば良いという考え方では、毎月支払うお金をへらすことにつながっていないことが多いです。本当の意味でのコスト削減というのは、毎月支払うお金を減らしていき、現場職員のゆとりの創出と、患者やご利用者の快適性を高めていくことです。そのヒントをこの研修会で皆さんと共有できればと思います」と語りかけました。

講義ではこのテーマにもとづき、1ヶ月当たりの紙おむつ代の平均から受講者それぞれの施設における1ヶ月の紙おむつ代を計算。その上で「計算した金額よりも、毎月支払っている金額の方が高いようであれば、『赤信号』および『黄信号』です」と注意を促しました。

(つづく)

「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その7)

それから岩﨑さんは「宮崎県介護ロボット・ICT導入支援事業補助金の活用方法」に関し、東海園における主な取り組みについて説明を始めました。

同園では介護ロボット・ICT導入にあたり「機器の選定」→「業者への見積り依頼・価格交渉、打ち合わせ」→「見積り書まとめ・補助金額算出」、「支払い計画・導入工事予定表作成」、「生産性向上推進加算Ⅰの算定確認」→「事業計画書作成」という流れで取り組みを進めているとのこと。

その中で同園が令和7年4月から生産性向上推進加算Ⅰの算定を開始し、その後の加算を積み上げた収入を導入に係る自己資金に充て、充足後は増収となることなどを示したシミュレーションを示し、さらにそれを盛り込んだ購入案が、理事会において満場一致で承認されたことを言い添えると、受講者は高い関心を払いながら耳を傾けていました。

続いて同園のこれまでにおける補助金の活用、導入実績、さらにこれにより上がった具体的な成果などについて、根拠に裏打ちされたデータをもとに説明がありました。

理解しやすく、説得性の高い岩﨑さんの話は、各施設において介護ロボット・ICTを導入するだけでなく、それによる生産性向上の成果を見える化し、それぞれの現場で抱える数々の課題の解決に役立てる上で大変有意義なものでした。

(つづく)

「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その6)

続く研修テーマは「宮崎県介護ロボット・ICT導入支援事業補助金の活用方法」。介護老人保健施設東海園の岩﨑茂雄さんが演台に着きました。

「介護現場において、介護ロボット・ICT 機器の導入は、介護職員の身体的負担の軽減や介護業務の 効率化を可能とするものであり、介護職員が継続して働くための環境整備に有効であるため、介護保 険施設・事業所における介護ロボット・ICT 機器の導入に係る経費について補助を行う」ことを目とし、宮崎県内にある介護保健施設および事業所を対象に実施される宮崎県の補助事業「令和6年度宮崎県介護ロボット・ICT導入支援事業」に関し、従来の「介護ロボット等の導入支援」、「ICT等の導入支援」に加え、これらで定める対象経費に該当するもので、複数のテクノロジーを組み合わせて導入する場合に必要な経費」を補助することを旨として今年度新設された「パッケージ型導入支援」についてそれぞれ具体的な機器などを挙げながら説明がありました。

その上でこの事業に関する補助率、補助要件、事業スケジュールを示す中で、「この事業は、令和7年1月31日までに契約、発注、納品、導入した上で、実績報告を提出する必要があります。事業着手期間が短くなりますから、交付決定後、速やかに工事、導入を進めなければなりません」と注意を促しました。

続いて昨年度の主な違いに関し、昨年度より引き上げられた補助率や補助金上限額について説明を進めると、受講者は自施設でこの補助事業をどのように有効活用するかを想定しながら聞き入っていました。

(つづく)

「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その5)

看護・介護研究部会が11月9日(土)JAアズム別館3階302研修室で開いた第2回の研修会「生産性向上の取組み」。同部会の坂下和代委員長による先進地視察報告も終盤になりました。同部会が10月17日、委員等10名で視察に行った社会福祉法人さわら福祉会特別養護老人ホームマナハウス(福岡市)のICT、介護ロボットの将来を見据えた素晴らしい取り組みの数々に感銘を受けた受講者を前に「施設職員から皆様へ」と銘打ったスライドが掲げられました。それをもとに、

①見守り介護ロボットを導入し、巡視をなくしたことで、負担が軽減している

②音声入力システムを導入し、記録のためにパソコンに並んで待つことがなくなり、時間外勤務が少なくなった

③排泄ケアの見直しにより、利用者とのコミュニケーションの時間を増やすことができた

④導入機器の使用は強制せず、できる職員から始め、成功している職員を見て他の職員が取り組み始めた

・・・という説明を加えられ、受講者は自施設で導入した場合に得られる効果や、導入する際のポイントなどについて考えを巡らせていました。

報告のまとめとして坂下委員長は「今回の成功事例を視察して、特養での業務改善や施設運営方針、そして職員の労働環境など、施設ごとで環境はことなるものの、とても参考になりました。これから皆さんの施設で介護ロボット等を選定、運用するにあたっては、『利用者の離床検知を早く知り、転倒や転落を防ぎたい』、『睡眠状態を把握したい』、『看取りや急変に活用するため、身体レベルを知りたい』、『職員間の業務運用をスムーズに行いたい』そして『人材不足を補いたい』など、何に力を入れたいのか、どの業務に人と時間を取られているのか、そして人じゃないとできないことなのか、人じゃなくてもできることなのかなど、自施設の問題点を考察し、見極めることが大事だと思います。そしてそのためにも介護職員が関連知識を深める事はもちろん、上層部の熱意も重要で、他の施設や業者からの情報収集が導入成功の鍵となります」と強調し、報告を締めくくりました。

(つづく)

「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その4)

このような生産性向上の取り組みを通じ、マナハウスで上がった効果について、坂下委員長は次のように説明しました。

【生み出された時間で人員不足が解消された】

◯1日あたり610分、約10時間、常勤換算で1.25人分の時間が生み出された

◯浮いた人件費を介護ロボットの導入およびランニング費用に充当できた

【採用費用を削減できた】

◯離職を防止することができ、1人採用する際に人材紹介会社に支払う手数料(約100万円)を削減できた

◯専門学校ではメーカーや業者による介護ロボットの授業があるが、マナハウスでは介護ロボット導入施設であることを、SNSを通じてアピール。それにより「選ばれる施設」となり人材が集まり、求人活動費や紹介手数料が削減できた

マナハウスがこのような取り組みを推進する背景となった要因の一つに、介護業界介護業界全体が抱える課題があったそうです。

つまり介護人材の不足に加え、今後生産年齢人口が減少することから、その予測値をマナハウスの1フロアあたりの介護職員数(正職員)に当てはめると、2020年の8人が2030年には7.44人に減少し業務量は1.07倍に増加、さらに2040年には同6.44人、1.23倍になると試算。

「これでは続けられるわけがない。だったら今から働き方を変えるしかない」と、将来を見据えた生産性向上を推し進めたマナハウスの取り組みを聞きながら、受講者は各自の施設に当てはめながら耳を傾けていました。

(つづく)

「生産性向上の取り組み」学びました(看護介護部会:その3)

特別養護老人ホームマナハウス(福岡市)ではこれらのICTツールに加え、介護ロボットや自動体位交換エアマット、高機能オムツなどを積極的に導入、これらを組み合わせて生産性向上をはかっているそうです。

そのうち介護ロボってについて、マナハウスは走行式リフト、移乗サポートロボット、電動リフトチェア(入浴支援機器)を導入し、ノーリフティングケアを実践。6ヶ月後に行った腰痛調査では、腰痛者が減少したという結果が出たとのこと。

また自動交換エアマットは、15分ごとに小さな体位変換を自動的に繰り返す機能がついているもので、利用者の快眠を守り、介護者の負担を軽減するもの。これを導入することで職員が介助する体位変換は、6~8時間に1回のみという説明に、受講者は興味津々の表情で聞き入っていました。

そんな受講者を見渡しながら、坂下委員長はこれらを導入することで向上した生産性について、具体的な数値を用いながら次のように説明しました。

【介護ロボットを活用して生み出された時間】

①見守り介護ロボット、見守り支援システムの活用により、安否確認のための定期巡回が減り、所要時間が導入前の133分から80分に削減できた

②体位交換エアマットの活用により、体位交換回数が減り、所要時間が導入前の200分から40分に削減できた

③排泄ケアに関し、高機能オムツ選定と技術向上を通じ、1人1日あたりの平均交換回数が導入前の4.99回から3.24回に削減できた

(つづく)

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