老健みやざきブログ

「高齢者施設での看取り」学びました(看・介部会:その4)

2015年5月21日 | 協会活動報告

 看護・介護研究部会主催の「高齢者施設での看取り」研修会。症例報告に続いて、認定特定非営利活動法人ホームホスピス宮崎(HHMの市原美穂理事長による講演「高齢者の看取り・尊厳死とは …ホームホスピスかあさんの家の実践から…」がありました。

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 市原理事長は昭和62年、ご主人が宮崎市中村東に開業された「いちはら医院」で、医療現場の裏方として携わっておられます。平成10年にホームホスピス宮崎設立に参画。同14年に特定非営利活動法人ホームホスピス宮崎の理事長に就任、同16年に「ホームホスピスかあさんの家」を開設、現在宮崎市内に4箇所ある「かあさんの家」の管理者を務めておられます。

 著書にはその体験などをつづった共著「病院から家に帰るとき読む本」(図書出版木星舎・編著)、そして「ホームホスピスかあさんの家のつくり方」(図書出版木星舎)などがあります。

 これらの功績が認められ、平成18年には「毎日介護アフラック賞(主催:毎日新聞社)」、同20年に「社会貢献賞(同:社会貢献支援財団)」、同21年に「新しい医療のかたち賞(同:医療の質・安全学会)」をそれぞれ受賞されました。

 また「宮崎をホスピスにプロジェクト」の代表や宮崎大学医学部非常勤講師なども務められている市原理事長。この日はそんな大変忙しい中を縫って講演に駆けつけて下さいました。

「患者とその家族が安心して、望む場所で望むように生の終わりを全うできるために、地域のかかりつけ医と協力して支え援助する”人と人”との関係作り(同法人旧HpHHMの目指すもの』より)」に尽力されている市原理事長の取り組みや、看取りに対する考え方が聞けるとあって、満席となった会場は熱気に包まれました。

「私が今日みなさんにお話しするのは『看取りや尊厳死をどうやったらいいか?』といった方法論やマニュアルではなく、心構えです。皆さんも自分自身のこととして考えていただけたらいいと思ってお話しします」と優しい口調で語り始めた市原理事長の講演に、参加者は引き込まれていきました。

(つづく)

「高齢者施設での看取り」学びました(看・介部会:その3)

2015年5月20日 | 協会活動報告

 次の症例報告は介護老人保健施設ひむか苑の渡邉愛子さんによる「ひむか苑における『看取り』の実際」。施設の紹介、そして20124月から看取りの対応を強化する観点から算定要件と評価が見直されたターミナルケア加算の概要について触れた後、同苑でこれまでに行ってきた看取りの取り組みが報告されました。

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 同苑では平成236月に「看取り」プロジェクトチームが発足、翌244月に「看取りケアマニュアル」を作成、同5月に全職員を対象にした看取りの研修会が行われ、同10月に1例目の看取りが行われたそうです。今回の症例報告は、一人の女性入所利用者(Aさん)が永眠されるまでに実施された看取りの様子が紹介されました。

主治医から家族への「回復の見込みはないと思われる」という説明が行われ、家族の理解、納得、承諾を得た上で、同苑の看取り指針に従い本人や家族に配慮したケアが進められました。「環境」、「栄養食事」、「排泄」、「清潔」、「精神的支援」、「医療・疼痛緩和」などを盛り込んだ「看取り看護・介護計画書」を作成。徐々に状態が落ちてくる様子を克明に観察、記録し、医師がその状況を丁寧に説明。看護師も家族の不安や意向に耳を傾け、「看取りを希望される利用者、家族の支援を最後の時点まで継続することが基本であり、それを完遂する責任が施設およびその職員にはある」という考えのもと、(1)観察しやすいホールに近い個室で対応、(2)看取り期のケアプランを職員全体で共有、(3)医師、栄養士、リハスタッフ、相談員など多職種と機会あるごとに情報共有し連携をはかる、(4)家族への密な情報提供、(5)家族に正しい情報を伝えられるように記録をしっかりすること・・・などといった関わりが続けられていきました。

そして家族に見守られながらAさんは永眠。正面玄関で大勢の職員が見送る中、家族からは「本当に大満足いい人生でした」と笑顔でお礼の言葉があり、さらに後日「今度は私がここでお世話になりたいくらいです」とも言われた渡邉さん。「亡くなれば裏口からひっそりと見送られる病院と、表玄関から多くの職員に見送られる施設と、あなたはどちらがいいですか?」と会場を見渡し問いかけました。

 「看取りケアは特別なことではなく日常的なケアの延長線上にある」として、住み慣れた場所で、馴染みの職員に囲まれて尊厳と安楽を保ちながらやすらかな終末を迎えられることを目指し、職員が連携して取り組んでいるひむか苑の看取りケアの症例報告を、参加者は興味深く聞き入っていました。

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(つづく)

「高齢者施設での看取り」学びました(看・介部会:その2)

2015年5月19日 | 協会活動報告

 まず「お家に帰ってみましょうか? 看取りケアの一症例を通して」と題し、社会福祉法人慶明会グループホームサンメリーの壱岐育子さんが症例発表を行いました。

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 これは平成23年と25年に1名ずつ看取りを実施している同ホームが、看取りの後に行った振り返りのカンファレンス(会議)の中で、「家につれて帰れなかった」という反省が上がり、看取り直前に帰宅支援を計画、実施した症例でした。

3回実施したカンファレンスでは、「本人の望みは何か?」を、家族の意見も取り入れながら話し合い、「家に帰りたい」とよく言われていたことや、「10年くらい家には帰っていないが、帰ってみたら色々思い出すかもしれない」という家族の意見を受け、「短時間なら大丈夫」という主治医からの外出許可も得て、自宅と入院中の妹のお見舞いに行くことを決定。介護職員2名、看護職員1名、そして家族が同行してもらい実施したとのです。自宅近く着いた際、周囲の街並みが変わっていたこともあり、「どこなのここは?」と不安げだったものの、玄関前に着くと隣の店を懐かしく思い出したそうです。

さらに入院中の妹を見舞った際には、顔を見るなり「あんたこんなところで何をしてるの?」と声を掛け、久しぶりに大声で笑って話している様子がスライドで紹介されました。姉妹で昔話に花が咲かせている様子をほほえましく感じながら「貴重な時間を共有することができた」と帰宅支援実施の手応えを説明しました。

認知症のあるその利用者は、その後家に帰った事は忘れてしまったものの、「昔はよく出前を頼んでいた」と回想されたり、友人の名前を口にして気遣ったりするといった、それまでにない変化が見られたそうです。

 そして帰宅支援実施から1か月半後、職員と家族が見守る中、その方は眠るように穏やかに息を引き取ったとのこと。家族から「自分たちでは家に連れて帰れなかった。本人もきっと満足していると思います。ここで看取ってもらったことに感謝しています」との言葉をもらった壱岐さんは、自分たちこそケアに携わらせていただいた事に感謝するとともに、「帰宅支援はその人の想いに寄り添うものであり、その人の人生の一部を共感できるもの。看取りの状態である前から個人個人の想い入れのある場所へ一緒にでかけることの必要性を実体験することができました」と帰宅支援の大切さを強調しました。

 この取り組みを契機に、現在グループホームサンメリーでは個別ケアの一環として自宅訪問や知人宅訪問、屋外レクレーションなどに積極的に取り組んでいるそうです。壱岐さんは「私達はホームを頼って来られた方々が、家庭的な雰囲気の中でその人らしく穏やかに笑顔で生活を送られることを願っています。そして今まで培ってきた認知症ケアの専門性を地域の中で生かし、グループホームが地域の活動拠点としての価値を高めていけるよう努力していきたい」と今後の抱負を語っていました。

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(つづく)

「高齢者施設での看取り」学びました(看・介部会:その1)

2015年5月18日 | 協会活動報告

 (公社)宮崎県老人保健施設協会看護・介護研究部会は59日、宮崎市のJAアズム別館で研修会を開き、高齢者施設での看取りについて学びました。会員老健施設や特養、グループホームなどから120人が参加。利用者と家族が安心して、望む場所で望むように人生の終わりを全うできるためにはどのようなケアを行えばいいか、事例発表や講演を通じて学びました。

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 今年度1回目である同部会の研修会。これまでの研修会の際に実施したアンケートなどから要望の高かった「高齢者施設での看取り」をテーマにし、開催案内と参加を呼びかけたところ、会場の収容人数を大幅に上回る申し込みがあり、そのため募集を途中で締め切り、その後の参加を断らざるを得ない事態となりました。満員となった会場で、挨拶に立った同部会の上村久美子委員長(サンフローラみやざき)はその事を詫びるとともに「老健施設では在宅復帰・在宅支援、そして今回のテーマである看取りという2本の柱でやってきていますが、皆さんも色々と苦労されているところがあると思います。在宅で最期を看取るのが厳しい状況にある中、施設で看取る事が必要になってきています。私が勤務する施設でも看取りを行っていますが、『利用者や家族の思いにそった看取りができているだろうか?』と苦慮しています。皆さんの施設でもそうではないでしょうか。本日の研修会では、学ぶものがたくさんあると思いますので、それぞれの職場に持ち帰っていただき、業務に役立てていただきたいと思います」と呼びかけました。

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(↑上村委員長)

 これに続き、今年度から新しく同部会の委員となった神楽苑(高千穂町)の甲斐良太さんと、青島シルバー苑(宮崎市)の黒木政秀さんが就任の挨拶を行いました。

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(↑新委員の甲斐良太さん)

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(↑同じく新委員の黒木政秀さん)

(つづく)

ごきげんよう(美輪明宏さん傘寿)

2015年5月15日 | 雑談

 515日は美輪明宏さんの誕生日。1935年(昭和10年)生まれですから。今年80歳、傘寿を迎えられました。歌手として「ヨイトマケの歌」、「愛の賛歌」で紅白歌合戦に2年連続出場された美輪明宏さんは、声優やナレーターとしても実力をいかんなく発揮されるなど、現在も大活躍中です。

 大好評だった朝の連続テレビ小説「花子とアン」では、毎回「ごきげんよう、さようなら」で締めくくる美輪明宏さんの暖かで優しいナレーションがとても印象的で、三輪さんのこの声に大いに癒された視聴者も少なくなかったのではないかと思います。ドラマの中でも重要なキーワードとなったこの「ごきげんよう」。『広辞苑』には「御機嫌よう:人と出会った時または別れる時に、健康を祝しまたは祈っていう挨拶のことば」とあります。

 「花子とアン」、そして美輪明宏さんのナレーションをきっかけに意識するようになったこの「ごきげんよう」という言葉には、このような素敵な意味があるのだと感銘を受けたものです。地域包括ケアの拠点として、リハビリテーションを通じ高齢者の心身の健康を促進し、在宅復帰、在宅支援を推し進める老健施設においても、この「ごきげんよう」の精神は大切だと思います。利用者との日々の挨拶として「ごきげんよう」という言葉と気持ちを交わしてみてはいかがでしょうか。それでは、ごきげんよう、さようなら。IMG_6911.JPG

高齢者医療・在宅医療総合看護研修に係る教育研修事業について(お知らせ)

2015年5月14日 | その他

 国立研究開発法人国立長寿医療研究センターにおける高齢者医療・在宅医療総合看護研修について、同センターが2015年度の募集要項を作成しましたので、こちらをご覧の上、受講についてご検討下さいますようお願い申し上げます。

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看取りケア学びました(看・介部会、第一報)

2015年5月13日 | 協会活動報告

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(公社)宮崎県老人保健施設協会看護・介護研究部会は59日(土)、宮崎市のJAアズム別館で「高齢者施設での看取りケア」研修会を開きました。

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 会員施設や特養、グループホーム等から120人が参加。講師に認定特定非営利活動法人ホームホスピス宮崎(HHMの市原美穂理事長をお招きし、利用者と家族が安心して、望む場所で望むように人生の終わりを全うできるためにはどのようなケアを行えばいいか、市原代表の取り組みを通じて学びました。

 この研修会の模様は、後日レポートする予定ですのでお楽しみに。

看護の日

2015年5月12日 | 雑談

 512日は「看護の日」。また12日を含む週の日曜日から土曜日までが「看護週間」ですから、平成27年は510日から516日が看護週間です。公益社団法人日本看護協会ホームページには、「21世紀の高齢社会を支えていくためには、看護の心、ケアの心、助け合いの心を、私たち一人一人が分かち合うことが必要です。こうした心を、老若男女を問わずだれもが育むきっかけとなるよう、旧厚生省により、『看護の日』が1990年に制定されました。市民・有識者による『看護の日の制定を願う会』の運動が、きっかけでした」とあります。また、「近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ、512日に制定されました。1965年から、国際看護師協会(本部:ジュネーブ)は、この日を「国際看護師の日」に定めています」と紹介されています。

 宮崎県においても、「みやざきナースToday2015」と銘打って公益社団法人宮崎県看護協会によるイベントが県内各地で開催中です。

 老健施設においても、看護スタッフの役割が重要かつ不可欠なのは言うまでもありません。看護の魅力を知り、その役割を学ぶ一助として、イベント会場に足を運んでみてはいかがでしょうか。IMG_9830.JPG

「報酬改定Q&A(Vol.2)」ご確認を

2015年5月11日 | その他

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 厚生労働省老健局から出された介護保険最新情報 Vol.471平成27430が、WAM
NET介護保険最新情報
に掲載されています。

 今回の内容は平成27年度介護報酬改定関するQ&AVol.12平成27430)」送付について。上記リンクもしくはこちらからご閲覧、ご確認下さいますようお願いします。

気をつけてお越しを(看取りケア研修会)

2015年5月8日 | 協会活動報告

59日(土)14時から看護・介護研究部会研修会「高齢者施設での看取りケア」が宮崎市のJAアズム別館202号で開催されます。

 この研修会では症例発表に続いて、講師に認定特定非営利活動法人ホームホスピス宮崎(HHMの市原美穂代表をお招きし、講演をしていただきます。

受講を予定されている方は、会場および開催時刻などのお間違いのないよう、気をつけてお越し下さい。

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