老健みやざきブログ

改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その14)

2014年12月12日 | 協会活動報告

社会福祉法人登別千寿会理事で特別養護老人ホーム緑風園の菊地雅洋総合施設長による講演。最後に質問への回答がありました。老健や特養、通所介護、グループホーム(認知症対応型共同生活介護)、そして居宅介護支援事業所から事前に寄せられたそれぞれの質問に対し、菊地先生からはあらかじめ準備した資料も用いながら、わかりやすい説明がありました。

14001BQ8V7095.JPG

 閉会にあたり(公社)宮崎県老人保健施設協会在宅支援研究部会の黒木勝久副委員長(介護老人保健施設サンヒルきよたけ)が、「菊地先生には遠く北海道から宮崎までお越し下さいました。実は昨日から移動を開始していただいて、本当にお忙しい中、長い移動でお疲れの所、お休み頂く間もなくすぐに研修会の壇上にお立ちいただき、長時間にわたるご講演をいただき本当にありがとうございます。菊地先生のご講演が聴けるということで、宮崎県においても大変な反響を呼び、485名もの申し込みをいただきました。本日ご参加の皆様は、在宅、施設を問わず高齢者介護に従事されている専門職の方々だと存じておりますので、敢えて本日の講演の内容に触れる必用はないと思いますが、私たちがおかれている状況を本当にわかりやすく説明いただきました。実りある本日の学びが、実務を通して利用者の皆様の福利に貢献できるように期待しています。今度は利用者の視点に立った菊地先生の介護論についてもお話をいただく機会が得られるよう、私たち宮崎県老人保健施設協会も尽力して参りたいと思います。菊地先生のますますのご活躍を祈念して御礼とさせていただきます」と挨拶すると、会場からは感謝、そして次回に期待する拍手が鳴り響きました。

14002BQ8V7162.JPG

 

14003IMG_1464.JPG

この挨拶にもあった通り、同部会および事務長会では、今回菊地先生の講演が予想を大幅に上回る反響を呼んだことを受け、多数の著書やブログでも好評を呼んでいる菊地先生の「介護論」をテーマにした講演会の開催を、既に検討し始めているとの事。次回に更なる期待が寄せられるセミナーとなりました。

改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その13)

2014年12月11日 | 協会活動報告

13001BQ8V7153.JPG

 居宅介護支援事業所に関する改正点については、平成304月までに指定権限を都道府県から市町村に委譲することとなっていますが、これは菊地先生によると、「地域ケア会議が大事な要素になるということも含めて、保険者が一緒になってケアマネージャーを地域で育成し、その能力を高めよう」というもの。

 また、「介護支援専門員実務研修受講試験の受験要件を見直し、法定資格保有者又は生活相談員・支援相談員・相談支援専門員で実務経験が5年以上とする(経過措置を設けたうえで、今後実施時期を示す)」と改定されることに関しては、「これによって試験を受けられなくなると考えられるのは、介護福祉士を持っていないで介護実務だけで試験を受けている人くらいです。ですからあまり影響はないのではないでしょうか」とのことでした。

 ただし、同試験における回答免除が平成27年度から廃止されるため、「全員が同じ試験問題で受けなければならなくなります。合格率も段々下がってきてむずかしくなってきているのではないかと思います」と述べつつも、ケアマネージャーの質に差が生じないためには、もう少し難易度を上げるべきとの見解を示しました。

 また、介護支援専門員の実務研修・更新研修の研修制度が見直され、受講時間数も増えることに関しては、「それでケアマネの質は上がるのか?という気がします。特に更新研修の場合、ケアマネージャーは実務をやっている人が実務から離れて研修を受けなければならない時間が増えることになり、支障を来します。また受講時間が増えれば受講料も増えます。主任介護支援専門員更新研修もありますが『受講すれば誰でも主任ケアマネになれる』というのではなく、これこそ試験にすればいいと思います」とのことでした。

 続いてサービス担当者会議を開催する際の、利用者や家族の参加、担当者への紹介などについて、居宅サービス計画と施設サービスの相違点に触れながら説明がありました。

13002IMG_1435.JPG

改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その12)

2014年12月10日 | 協会活動報告

 老健施設のリハビリテーション機能については、「リハビリの加算は今後どのようになりますか?上がらないのでしょうか?」という事前質問に、講師である社会福祉法人登別千寿会理事で特別養護老人ホーム緑風園の菊地雅洋総合施設長が答える形で次のような説明がありました。

BQ8V7151.JPG

 「今までのように漫然とただ『個別リハビリテーション20分を2回とか3回やっていれば加算がつく』という体系を反省しています。つまり、老健施設は在宅復帰をする施設ですから、筋力だけ維持したり、向上させても、生活能力が向上しないと在宅につながらないということです。ですから今度の改定では生活能力の訓練というのを見ますので、ただの短期集中リハビリテーションとか個別リハビリテーションではなく、きちんと在宅を見据えて、在宅復帰の計画を立てながら、それに向かって在宅で使える機能を高めるためにセラピストが自宅を訪問し、自宅の様子を確認し、それをアセスメントの中に入れて計画を作り、リハビリを実施するという方向に加算していく、という形だと思います。だから今回の報酬改定でもリハビリテーションマネジメントなどではなく、入所前後訪問指導加算の評価というところで、ここにリハビリテーションの計画をくっつけていくという形です。訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションも同じような形で、きちんと生活訓練というところを評価していくということです。『リハビリテーション実施計画書』も新しくなります。そこに生活訓練やその評価をしていくというふうに様式が変わって行くことが、一昨日(1113日)の介護給付費分科会(第114回)の議事録に一部示されています。関係者はそちらのサイトを確認してみるといいかと思います」。

 受講者の中には老健でリハビリ業務に当たるセラピストも多数おり、これまでの各施設におけるリハビリテーションの内容を振り返りながら、真剣な表情で聞き入っていました。

 老健施設の報酬改定については、ターミナルケアおよび在宅復帰支援・在宅療養支援に関し、次のように学びました。

(1)老健でのターミナルケア・看取りは、利用者の長期間の在宅療養支援の結果として行われるものであり、このような観点からターミナルケア・看取りを評価。

(2)在宅復帰支援機能・在宅療養支援機能を高めるため、介護老人保健施設自らの訪問系サービス提供を促進。→介護老人保健施設の看護師、准看護師および介護職員は当該介護老人保健施設の職務に専ら従事する常勤職員でなければならないが、当該施設に併設される介護サービス事業所の職務に従事する場合に、その一部に非常勤職員を充てることができる旨を明確にする。

改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その11)

2014年12月9日 | 協会活動報告

 次に示されたスライドは「介護老人保健施設の逆転現象にメス?」というタイトル。会場を埋め尽くした485人の参加者のうち、老健関係者は半数強の250人。ざわつき始める会場を制するように菊地雅洋先生は次のように切り込みました。

BQ8V7139.JPG

 「老健施設については『在宅復帰の施設だ』と盛んに書かれています。そしてマクロの方向性としては『在宅復帰に向けたリハビリを積極的に提供する老健を重点的に評価する』となっており、『介護老人保健施設の在宅復帰支援機能をさらに高めるため、在宅復帰支援機能を重点的に評価する』と言っています。これはどういうことかというと、前回の改定で在宅強化型老健ができましたが、なかなか伸びずに9%に達していない状況(8.7%174施設)で、在宅支援加算型老健(16.9%340施設)と合わせても30%に達せず、74.4%1492施設)が従来型(通常型)老健のままでいるというのは、厚労省老健局としては『もうちょっと従来型から強化型に変わって行って欲しい』と、苦々しい思いなのではないでしょうか〈データ出典:「平成24年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成26年度)『介護老人保健施設の在宅復帰支援に関する調査研究事業』」〉。強化型や加算型が増えない理由ははっきりしています。『収支差の比較(平成25年度地域特性調査より)』というスライドを出していますが、これを見たら明らかで、従来型の収支差率の方が良くなっているという『逆転現象』が起こってしまっているわけです」。

 そこには在宅強化型老健および在宅支援加算型老健の収支差率が5.2%であるのに対し、従来型老健の収支差率は5.9%であることが記され、菊地先生が述べた「逆転現象」が浮き彫りとなっていました。その理由として菊地先生は次のように続けました。

 「在宅復帰率を高めてベッド回転率を高めても、ベッド利用率が低くなれば収益が減るというのが一つの要素です。もう一つはリハビリのセラピストなどの配置を厚くして人件費をかけてやらないと、なかなか在宅復帰が難しいということで、その結果逆転現象が起こっているわけです。そして今度の改定ではこれにメスが入ると思います。介護給付費分科会の資料では『介護保険施設サービス費及び在宅復帰・在宅療養支援機能加算については、在宅復帰支援機能を更に強化する観点から、リハビリテーション専門職の配置等を踏まえ、以下を重点的に評価する』とし、『在宅強化型基本施設サービス費』と『在宅復帰・在宅療養支援機能加算』を示しています。つまりあげる、というわけですが、その費用をどこから持ってくるのかというと、それは従来型老健の基本サービス費からではないでしょうか。そうすると従来型の基本サービス費は下がっていくのではないでしょうか」。

 このように、老健施設が本来の機能である在宅復帰の役割を果たすことが今度の改定では強く求められており、そうでない老健にとってはより厳しい改定になるとの見解を示した菊地先生は、老健におけるリハビリテーション機能について、さらに踏み込んだ説明を始めました。

BQ8V7121.JPG

改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その10)

2014年12月8日 | 協会活動報告

BQ8V7158.JPG

 介護報酬改定について、前回は1.2%のプラス改訂だった事に関し菊地雅洋先生は、「よく言われるのは『処遇改善交付金だった外枠の2%のものが、中に入って1.2%ということは、実質マイナス改訂だ』ということです。これはその通りですが、しかし皆さん、何か忘れてはいないでしょうか」と会場に問いかけて、次のように続けました。

 「つまり、実際に1.2%以上だったところが地域によってあるということです。前回の報酬では地域区分を5区分から7区分に変えて加算率を高くした区分を作りました。大都市については加算率については実質プラス改定です。それをどこから持って来たかというと、我々『その他』からです。北海道の場合、札幌以外は全部加算率ゼロの『その他』です。札幌も加算が付くところですが、加算率が下がったので北海道は全部下げられました。宮崎県の場合、全市町村が『その他』ではないでしょうか。だから我々地方の報酬を都会に持って行かれたという部分があるわけです。なぜこういう話をするかというと、実は今回も地域区分が改定されます。これは決定事項ではありませんが、今7つに分かれている地域区分を8区分にして、最高(1級地)18%だったのを20%にして、2級地も15%16%になるよう再見直しが行われています。これらに該当するところはまたプラス改定になりますが、それをどこから持ってくるのかというと、全体の8割くらいを占める『その他』からです。『介護報酬6%減』と言われている中で、全国老人福祉施設協議会(老施協)が一生懸命戦っている時に、仮に報酬がマイナスにならないように守ったとしても、我々の地域は下がるということです。わかりますか。その中での『6%減』だということを考えていかないとやばいということです。だからプラス改定になってはじめて今の収入と同レベルが確保されるので、『その他』地域は危機感を持っていかないとかなり厳しいです」との説明を、会場内の受講者は深刻な表情で受け止めていました。

 続いて施設系サービスの口腔・栄養に関する報酬に関する見直し(経口維持加算は現行のスクリーニング手法別の評価区分を廃止し、多職種による取り組みのプロセスを評価。胃ろう増設後に経口移行するための取り組みについても、現行の栄養管理のみならず、咀嚼能力などの口腔機能を含む摂食・嚥下機能や食事介助方法の機能的な検討を行う必要性に鑑み、その内容を見直す)や看取り介護加算の見直し、職員の専従要件の緩和、日常生活継続支援加算の見直し、そして在宅・入所相互利用加算の見直しの要点などについて学びました。

改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その9)

2014年12月5日 | 協会活動報告

 この「介護報酬6%減」に関しては、「介護職の処遇改善交付金のアップも言われているが、介護報酬が下がると言われている中で、本当に職員の処遇改善につながるのか?」という事前質問が寄せられていました。これに対して菊地雅洋先生は次のように回答しました。

09001BQ8V7126.JPG

 「スライドに『27年度介護報酬改定とその他の充実策(現時点で想定される全体像のイメージ)』というのを出しています。これは財務省が出しているものですが、介護報酬(良好な収支差等を反映した介護報酬の基本部分の適正化、保険給付の範囲の見直し等)はマイナスになっていますが、介護職員の処遇改善(処遇改善加算の拡充)はプラスになっています。しかしこれは加算をもらった以上にこちらが出して初めて加算算定ができるわけです。そうすると、『事業が苦しくなっても加算は別だからその分だけ職員にやる』というところはあるかもしれなませんが、『持ち出しがあるのだったら、加算をもらっても収益にはならないからいっそのこと算定しない。だから給料は上げられない』という事業所はたくさん出てくるだろうし、もし加算するとしても今の職員配置では苦しくて経営していけないから、給料は高くするけど現場から人を減らすということになってきます。どちらがいいでしょうか。どちらもいやですよね。やはりきちんと安定経営できるだけの報酬をもらって、加算もしていくべきです。介護職員だけでなく他の職員も含めてまだまだ他の職業と比べて待遇差があると言われていますので、長年そこで働いて、結婚してお子さんを設け、つましくとも家族を扶養できるようなきちんとした待遇にしていかないとだめじゃないでしょうか。それを今やっている最中なのに、介護報酬減はその足かせになると思います」。

 続いて「次期制度改正に向けた論点」(「社会保障?(総論、医療・介護、子育て支援)平成2610月8日(水)財務省主計局」より)というスライドを示して、次のように言及しました。

 「訪問介護や通所介護の予防給付について地域支援事業への移行や給付範囲の見直しを行っているわけですが、【今後の介護保険制度の課題】の中では、それ以外の予防給付についても『地域支援事業への移行や給付範囲の見直しを行っていくべきではないか』とちゃんと書いてあります。さらに恐ろしいのは、『在宅サービスについては、事業者の自由な参入を引き続き認めていくことを前提とするのであれば、サービスの質を確保しつつ、確実に価格競争が行われる仕組みを構築するべきではないか』と書いてあります。これはどういう意味かわかりますか。公定費用で私たちはサービスを提供して1割負担をもらっていますよね。それを『もっとダンピングして公費を使わないようにするような価格競争のシステムにしていかないから財源がなくなるのだ』という、とても乱暴な理論です。しかしこれは次期制度に向けて既にこうやって書かれているわけです」と、今後の改定内容によっては、更なる報酬減の可能性があることを示唆しました。

改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その8)

2014年12月4日 | 協会活動報告

 「介護報酬6%減」という財務省勧告は、おそらくセミナーを受講した485人全員が非常に高い関心を持っている話題。そこで菊地先生は、1112日に自民党の介護福祉議員連盟が、厚生労働省や全国老人福祉施設協議会(全国老施協)の関係者からヒアリングを行った時の模様を紹介しました。

08001BQ8V7127.JPG

 「このとき国会議員が55名、代理が114名参加しました。本人参加が代理参加の半分以下というのは、かなり少ない印象を受けますが、この1112日というのは特別な日だと思います。なぜなら『衆議院を解散する』というのが具体的に出て来た日だからです。実はこの日の他各委員会を見ていると、たくさん委員が欠席しています。自分の所属委員会を欠席して、地元に帰り選挙準備に入っているわけです。その中で議員55人が参加したというのは、やはり注目をあびていると思います」。

 「このヒアリングで、『厚生労働省が現場のリアルな声を受け止めて財務省と対峙すべき』、『介護報酬は上げこそすれ、下げることなどあり得ない』、『現場には介護報酬ダウンのメッセージが流れ、不安が広がっている』、『処遇改善を止めるな』、『内部留保は定義が不明瞭で、社会福祉法人会計の独自性を厚労省から財務省に示すべきだ』などと言った声が次々と上がって、『”介護報酬減”に賛同する声は無かった』と言っています。そしてこの会議の中で、厚労省老健局の三浦公嗣局長が『財務省が言っている6%が妥当だとは全く思っていない。介護報酬改定は事業者のみならず地域経済にも大きな影響をもたらす。改定について日々財務省と議論しているが、かなりの距離感がある。厚労省としても、介護報酬についてしっかり位置づけして挑みたい』と答弁しています。しかしがっぷり四つで喧嘩しては財務省には間違いなく負けます。これからどうなるのか、流動的な部分がたくさんあります」。

 これを踏まえた上で、セミナー後に1年半先送りが明言された消費税10%への引き上げ見送りについて、「これは財務省や財務大臣の考え方とは全く違っています。消費税引き上げが先延ばしされるということは、介護報酬改定だけに限って見れば逆風です。財務省が『子供や子育て支援への財源もなくなってしまい、この状況で介護報酬の金など無い』と、さらにかたくなになると思います」との見解を示しながらも、「財務省の言う6%が決まったわけではありません。おおやけにされるかどうかはともかく、改定率は年内に決まります。介護報酬単価が出てくるのは120日前後に出てきますので、それまでに私たちの声を届けることが必要です。そうしないと介護報酬が6%ダウンされれば、サービスの質は間違いなく低下します」と現場の実態を訴えていく事がケアの向上にもつながり、結果として利用者のためになることを強調しました。

08002BQ8V7157.JPG

改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その7)

2014年12月3日 | 協会活動報告

 今回のセミナー開催にあたっては、講師の社会福祉法人登別千寿会理事で特別養護老人ホーム緑風園総合施設長の菊地雅洋先生に対する質問を、あらかじめ受け付けていました。その中でデイサービスについての報酬改定の動向(通常型、小規模への役割や加算に対して等)に関する質問が寄せられており、菊地先生はそれに対する回答を、最新の情勢を交え、次のように述べました。

 「一昨日(1113日)介護給付費分科114が開かれ、そこではっきりと『小規模のデイサービスについては報酬減』という方針が出されました。現在小規模デイサービスはすごく増えてきて、全国で4万件近い事業所があります。しかも立ち上げ資金がかからなくて、夜勤もないから職員も集まりやすくなっています。しかしこのことが夜勤をする職種を減らしているという批判も出ており、『小規模デイサービスをどうにかしなければならない』という動きがあったのですが、これがはっきりしてきました。今まで小規模通所介護は300人以上の通常規模のところより報酬が15%高かったわけです。これを一昨日の数字で言うと実際にスケールメリットが働かない事務経費は7.2%くらいだから半分くらいの加算率に抑えて、小規模通所介護の報酬を抑えようという話です。しかしここで問題なのは『通常規模の通所介護は今のままの報酬が保証されるのか?』ということですが、その保証はありません。もしかしたら下げられる恐れがあります。その(通常規模の通所介護の)下がったものをベースにしてさらに15%じゃなくて7%の加算でやっていくので、かなり報酬が低くなる恐れが出て来ているということです。そして18人以下の地域密着型通所介護については小規模型事業所の基本報酬を踏襲するということです。制度改正当初の議論では、通所介護では規模別ではなく機能別報酬にすると言っていましたが、どうやら規模別報酬という体系自体は今と同じようになるようです。その中で機能を重視したメリハリある報酬ということで、例えば『認知症の方を一定割合受け入れて、認知症介護実践リーダー研修や認知症実践者研修などを受けた人をサービス提供時間を通じて配置していたら加算』とか、『要介護3以上の人を一定程度受け入れてなおかつ看護職員が専従していたら加算』などといった形になると思います。それから人員の緩和ということでは、今は生活相談員がサービス担当者会議に出席する時は『配置とみなす』となってますが、これがもう少し広げて地域ケア会議や利用者宅の訪問などに行った時間も『配置』とみなす措置がとられそうです。それから通所介護の看護師がなかなか見つからない状況で、今は必ず事業所が雇用していないといけませんが、通所介護事業所が看護師を雇用しなくても、地域の病院や診療所、訪問看護ステーションとの契約で健康チェックなどをしてくれる体制をとってくれていたら『配置とみなす』という基準緩和されます。しかし報酬は今言ったように減額の方向になっているので、認知症対応をしているとか、重度者を受け入れているかしていないと、経営はかなり厳しくなってくると思います。これが通所介護の方向性です。」

07001BQ8V7156.JPG

改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その6)

2014年12月2日 | 協会活動報告

 多床室の基準費用(居住費負担)の見直しについては「直近の家計費調査における光熱水費を踏まえると、現在1万円に設定されている基準費用額を上回っているため、2000円くらい高くなると思います。ただし補足給付対象者の自己負担額は変わりません。これについては、施設の収入にも反映されます」とのことでした。

 続いて医療・介護総合推進法案の概要に触れた後、菊地雅洋先生が示したスライドには「介護報酬6%減という財務省勧告」というタイトルが打たれていました。

06001BQ8V7138.JPG

2014年介護事業経営実態調査の結果が厚労省から出され、その中で収支差率が示され、これを見て財務省が『6%減』と言っているわけです。今、事実として言いますが、これを言っているのは財務省だけです。財務省がこの文書を出した翌日に日本経済新聞が『政府減額の方針』という報道を流しています。これは記事によると財務省とは別ルートで『政府筋が減額の方針を示している』とのことです。これはなぜ6%かというと、収支差率の平均値が8%なわけです。ところが民間中小企業の収支差率が2%なので、非常に単純な引き算で6%削るということです。ところが中小企業と言いますが、我々から見たら民間の中企業はすごい大企業ですよね。そこの分母の数字は全然違いますよね。一方、小規模通所介護が10%の収支差率を出しているからといって、そこの経営者が1000万の給料をもらっているでしょうか。そんなことはないですよね。『社会福祉法人が内部留保を抱えている』と言いますが、じゃあ私は内部留保を抱えている社会福祉法人の施設長で、資産を1億円持っていて、年収が1000万円あるか、というと全然ないわけです。僕と同じ年働いた看護師より給料が低いわけです。その中で役印報酬をゼロにしてやっと収支差率を出している感じです。しかも『内部留保』と言われていますが、あれは『繰越金』です。介護給付費が2ヶ月遅れだからうちで言えば、だいたい6000万円から7000万円は前倒しして法人から出して運営費に充てています。それで考えると、1億円あっても実質の繰越金は3000万円しかない中の内部留保という数字です。ですからこの批判は非常に恐ろしいのですが、やはりこういう数字が出てくると収支差率が一番高い特定施設入居者生活介護(12%)はかなり下げられるということがわかります。次が認知症対応型共同生活介護(グループホーム)(11.2%)で、ここもかなり厳しい報酬になるのではないでしょうか。次が通所介護(10.6%)です。そして特養(8.7%)と老健(5.6%)比べると、やはり特養が高いのでかなり特養も厳しいところに置かれると言われています」との説明に会場には緊張した空気が漂いました。

06002IMG_1438.JPG

改定対応セミナー開きました(事務長会・在宅支援部会:その5)

2014年12月1日 | 協会活動報告

 次に来年の介護保険の大きな改定点の一つである、一定以上の所得者について介護保険の自己負担が2割になるということに関して説明がありました。「2割負担の問題は、5人に1人くらいが対象になります。しかし、2号保険者は関係ありません。1号保険者だけです。また特養に入っている旧措置者については1割のままです。対象になるのは160万円以上の所得(年金収入に換算すると280万円)がある人で、国が色々な判定基準例を出してそれぞれの市町村がその人が対象になるかどうか判断して負担率を決めた保険証をその人に送りなさいとなっています。この2割負担は来年4月からではありません。所得が7月いっぱいで確定するので8月からと時期がずれます。これは大変です。来年の4月に報酬改定があるので契約を取り直し、さらに8月に2割負担に上がる方は契約・同意が必要になってきます」とのことでした。

 また施設サービスに関して預貯金などが単身1000万円以上あるなど、一定の資産要件を満たした場合、補足給付の対象外となることについて、「いわゆるタンス預金も含め、持っている夫婦の資産全部で把握します。しかし『同一世帯に息子がいて、譲渡したらどうなるか』というと、Q&Aには『息子は関係ないので、1000万円ある方が100万円譲渡したら900万円になるので補足給付の対象となる』と書いてあります。だからこれから施設入所される方については、そういった対応がなされる可能性がありますが、これは違法ではありません」との説明。

05001BQ8V7161.JPG

そして、「この補足給付の見直しに関して、資産要件だけが注目されていますが、それよりびっくりしたのは所得要件が追加されたことです。つまり今老健や特養に入られている人で、住所を老健や特養に移して世帯分離し補足給付の対象になっている人は結構いるのではないかと思いますが、これは来年の8月以降はだめになります。つまり世帯分離し、その人が非課税だとしても、配偶者が課税世帯だったら補足給付の対象から外すというのがこの所得要件です。そしてこれは戸籍上の夫婦だけではなく、事実婚の場合でも夫婦と見なされます。これにより多くの人が補足給付の対象から外れる可能性がありますから、このへんも説明と同意が必要だと思います」と注意を促しました。

 さらに「負担段階を決める際、これまでは遺族年金や福祉年金など非課税年金は対象外でしたが、再来年8月からはこの非課税年金も対象となります。これも大きな問題であり、今まで2段階だったのが3段階になる人はたくさん増えて来ると思います。これにより負担が増える人も出て来ますので、今のうちから施設の相談員やケアマネージャーは利用者にきちんと説明をしておかないといけません」と続けました。

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

最近の投稿

アーカイブ

カテゴリー

老健みやざきFacebook

TOPへ