老健みやざきブログ

感染症対策学びました(看護介護部会:その12)

2014年11月18日 | 協会活動報告

 結核の検査として、感染を知るために行うIGRA検査(免疫)、ツベルクリン検査、そして発病を知るために行う胸部X線検査、喀痰検査(塗抹・培養・PCR)などがあり、それらの内容や検査結果の解釈方法について概要を学びました。その上で西田先生は「発病しても6か月から9ヶ月間、しっかり抗結核薬を服用して治療が進めば大丈夫です。医療費の公費負担制度もありますので患者さんも心配せずに治療に専念して欲しいと思います」と述べ、入院してしっかり治療した上で、退院に関する基準をクリアして退院した後は「『周りにうつらない』という状態が保障されているということになりますので、治って帰ってきたときは受け入れを継続していただき、服薬のフォローをしてあげてください」と続けました。

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 ただし、「1950年代に30歳代だった人達は現在90歳代になっていますが、そういった方々は6割から7割感染を受けていると思います。昔は人口10万人あたり500人が感染していた時代でしたので、高齢者は濃厚感染世代と言えます。そういう意味では注意深くみるようにして下さい」と念を押しました。

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 結核に関するまとめとして「結核を疑う患者さんは個室管理」、「医療従事者はN95マスクを着用(患者さんにはサージカルマスク)」、「部屋の換気」、「リネンなどは日光(紫外線)に当てる」、「健診をきちんと受け、早期発見」の5項目を挙げながら、「早期発見のカギは利用者の普段の状態を知っている皆さんみなさんにかかっています。12か月調子がおかしいなという方がおられたら、医療機関の受診等の対応をしていただきたいと思います」と訴えました。

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(つづく)

感染症対策学びました(看護介護部会:その11)

2014年11月17日 | 協会活動報告

 空気感染(飛沫核感染)対策の講義は、主に結核について進められました。空気感染対策として西田敏秀先生はスライドに次の6項目を示しました。

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(1)空気感染の感染範囲は部屋全体、空調が共通の部屋に及ぶ

(2)対策の基本は「発病者の隔離」「部屋の換気」

(3)医療従事者や面会者はN95マスクを着用、患者はサージカルマスクを着用

(4)結核は排菌している患者とある程度長時間空間を共有しないと感染しない

(5)麻しんや水痘は、短時間であっても感染する

(6)麻しん、水痘、乳幼児の重症結核への有効な対策は、ワクチン接種

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この中で(1)については、「部屋が同じというだけでなく、エアコンが共通だったら広がる可能性あるということを念頭に置いて下さい」と、空気感染ならではのリスクを強調し、注意を喚起しました。

 平成24年における結核の新登録患者は全国で年間21,283人、宮崎県では170人となっており、「戦後と比べると相当減って来ており、忘れられがちです。しかし、その内訳をみると、高齢者が半分以上となっています。ですから高齢者施設に勤める皆さんは結核のことを頭に入れておいて下さい」と呼びかけました。

 「風邪のようで風邪じゃない」と言われる結核。その症状は「咳が2週間以上続く」、「タンが出る」、「体がだるい」、「急に体重が減る」の4つ。しかし、「高齢者は咳やタンが出し切れない人がいます。ですから単純に食欲がなかったり、何となく元気がなかったりする状況が長く続いている場合には気をつけて下さい」とし、注意深い観察と対応による早期発見が、適切な治療につながり、集団感染をふせぐことにもつながるとのことでした。

 結核の感染と発病には「特徴があります」と、次のような内容のスライドを示しました。

 

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「結核菌に暴露しても3人に1人くらいしか感染が成立しません。そして感染したとしても発症するのは1割から2割です。だから結核菌を持っていたとしても、8割から9割の人はお墓まで持って行くということになります」と言い添えながら、結核の感染と発病について、さらに次の7項目を示しました。

(1)感染=結核菌を保有している状態

(2)発病=喀痰中に結核菌が出てきた状態

(3)感染=発病ではない

(4)感染して2年間は発病のリスクが高い

  →X線健診を定期的に受ける

(5)感染しても発病するのは10%から20%

(6)過去に感染した人が高齢になって免疫が弱くなって発病する人が多い

(7)感染しても予防的に治療(抗結核薬1剤を半年内服)すれば発病リスクが3分の1に減らせる

 結核にかかりやすい人として、「高齢者」、「乳幼児」、「免疫力が落ちている人(糖尿病、胃切後、がん、ステロイド、透析など)」を挙げた上で、「当然医療従事者、つまりこれらの人達に接する機会が一番多い人もこの中に入ってきます」と、受講者にも注意を促しました。

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(つづく)

感染症対策学びました(看護介護部会:その10)

2014年11月14日 | 協会活動報告

 インフルエンザへの対処法について、「流行期には人混みなどへの外出を控え、具合が悪ければ早めに受診」、「安静と休養、十分な水分補給」、「症状がある時はマスクを着用」などに加え、「さきほど飛沫感染対策として『感染している者から2メートル以上離れる』と言いましたが、飛沫感染ということを逆手にとって、個室管理できない場合は、カーテンなどで仕切るのも有効です」と西田先生は受講者を見渡しながら説明しました。また、薬の服用を発症から2日以内の適切な時期に開始すると、発熱期間は通常1日から2日間短縮され、ウイルス排出量も軽減されるそうですが、症状が出てから2日以降に服用を開始した場合は十分な効果は期待できないとのこと。

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 インフルエンザワクチンについては、その効果として「感染後に発病する可能性を低減させること」、そして「インフルエンザにかかった場合の重症化防止」の2つがあるとし、流行に入る前の10月くらいから接種が始まり、効果は2週間後から5ヶ月間ほどなので、「遅くとも12月中旬までの接種を」と呼びかけました。

 ただし、「接種しても当然インフルエンザにかかる可能性はありますので、ワクチンを過信しないで下さい」とその他の予防法に努めるよう注意を促しました。

 そのほか、「適度な湿度の保持と免疫力を高めることが大事」として、スライドに次の3点を示しました。

 

 (1)空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなる

(2)特に乾燥しやすい冬場の室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50パーセントから60パーセント)を保つことも効果的

(3)体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を心がけましょう

 

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 続いて研修会は、空気感染(飛沫核感染)についての講義に移りました。

(つづく)

感染症対策学びました(看護介護部会:その9)

2014年11月13日 | 協会活動報告

 ノロウイルス対策に続き、市町村等の施設主管部局および保健所への報告の基準、そして職業感染対策を学んだ後、研修会はインフルエンザを中心とする飛沫感染対策に移りました。スライドに、「感染している者から2メートル以上離れる」、「感染者はしっかりとマスクを装着」と示しながら、「僕がもしインフルエンザだとしたら、前列の人たちはそれから2メートル離れるように一生懸命逃げないといけないことになりますが、こういう対策はあまりないです。大事なのはマスクをしっかりすることです。マスクと顔のすき間をなるべくなくすことが重要です」とし、マスク着脱の注意点として(1)鼻のワイヤーを鼻に合わせて曲げる、(2)ほほとあごも覆う、(3)自分にあった大きさや形のマスクを選ぶ・・・の3点を示した上で、「実はマスクとの勝負はマスクを購入するときから始まっています。顔が大きい人は大きい人用、小さい人は小さい人用を選んで下さい。ぶかぶかのマスクや小さすぎるではいけません。ウイルスは上から入って来やすいので、鼻のワイヤーが入っているのが良く、鼻の形にワイヤーをしっかり合わせて下さい」と、購入時の注意点を説明しました。

 さらに、「(マスクを)『つけて安心』ではありません。外すときまで注意が必要です。マスクの外側は汚染しているという意識を持って下さい。耳の方から垂らして落とすというのが理想です」と続けました。

 インフルエンザの感染期間、感染経路については、スライドと資料を用いて、次のように学びました。

【インフルエンザの感染期間】

〇感染してから発病まで1日から3日(体内にウイルスが入って増えるピークが2日前後)

〇ウイルスの排出は発病に1日前から、発症後3日から7

〇排出されるウイルス量は解熱とともに減少するが、解熱後もウイルスは排出される。排出期間の長さには個人差がある

〇学校保健安全法では「発症した5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」が出席停止期間

【インフルエンザの感染経路】

●咳やくしゃみの際に口から出る小さな水滴(飛沫)による感染。飛沫は周囲1.5メートルから2メートルに飛ぶ。

●飛沫を触った手で他の場所に触れるとそこから感染が広がる(接触感染)

●感染者全員が高熱や咳症状などが出てインフルエンザと診断されるわけではなく、症状が軽かったりして感染していることを本人も周囲も気がつかないこともある(特にワクチン接種者)

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(つづく)

感染症対策学びました(看護介護部会:その8)

2014年11月12日 | 協会活動報告

「嘔吐(おうと)物が1メートルの高さから落下すると、嘔吐物は半径約2メートルまで飛び散ります」と、その実験結果をスライドで示した宮崎県福祉保健部健康増進課兼小林保健所の主査で医師の西田敏秀先生。「嘔吐物セット」の準備の必要性を訴えました。

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《嘔吐物セットの内容》

〇塩素系漂白剤

〇ペットボトル(500ミリリットル)

※↑0.1%濃度に調整した消毒薬を作る時に使用

〇ペーパータオル

〇新聞紙

〇使い捨てビニールエプロン

〇使い捨てマスク

〇使い捨て手袋

〇ビニール袋

〇バケツ

 「いざというときに、ちゃんと要しておかないといけません。”あれはここだ、これはどこだ?”などとやっていると、いつまでたっても処理しませんし、『ここは立ち入り禁止です』と言っていても、誰かが入ってきてしまいます。すぐ対処できるように要しておいて下さい」と言い添えた後、「ただし、”作った、じゃあ安心”ではいけません」とし、「作ったら、皆が嘔吐物セットはどこにあるかを知っておかなければいけません」と続けました。

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 実際の嘔吐物処理にあたっては、次のようなポイントを学びました。

(1)だれかのためではなく、自分のみを守るために手袋、マスク、エプロンを着用する。特に脱ぎ方が重要で、手袋→エプロン→マスクの順に脱ぎ、最期に石けんと流水で手洗いを行う。手袋や万全ではないことに注意。

(2)二次感染の防止に努める。ウイルスは広く飛散(半径約2メートル)し、乾燥すると空気中に浮遊する。十分な換気、立ち入りの制限、広範囲の消毒が必要で、迅速かつ確実な処理が求められる。

(3)汚染を広げないために、拭き取りは外側から内側に静かに行って閉じ込める。同一面でこすると汚染を広げるので。要注意。

(4)手袋の外側は全部汚染されているので触れないように。「片方の手袋の袖口をつかむ→手袋を裏表逆になるように外す→手袋を外した手を反対の手袋の袖口に差し込む→手袋を裏表逆になるように外す→手袋を外した後は手指衛生を行う」の手順で。

(5)ディスポエプロンは前が汚れている。首のひもを引っ張り、そのまま前に脱ぎ、内側から丸めて腰ひもをひっぱり廃棄する。ディスポエプロンはコストがかかるので、品不足の時には市販の透明ゴミ袋を備蓄しておくといい。ネットに作り方が紹介されている(検索したところ、以下のホームページが見つかりましたのでご参照下さい)。

札幌市東区保健福祉部健康・子ども課生活衛生係作成マニュアル防ごうノロウイルス最後のページ

相模原市健康福祉局保健所疾病対策課作成ノロウイルス感染対策マニュアル18ページ

(つづく)

感染症対策学びました(看護介護部会:その7)

2014年11月11日 | 協会活動報告

ノロウイルス対策について、まず次亜塩素酸を用いた消毒および消毒液の作り方などを学びました。

【ノロウイルス対策】

〇環境は0.02%次亜塩素酸で消毒(金属部分はそのままだと腐食するので10分後に水拭き)

〇汚染物は0.1%次亜塩素酸で消毒(10分)か、床に貼ってあってはがせないものなどは851分間以上の熱水洗濯又はスチームアイロン2分間

〇アルコールや石けんによる消毒は効果が弱いと考えられているが、手など次亜塩素酸が使えないものに対して使用(回数を増やして)。←汚れやウイルスを物理的に流すことはできる

〇手は石けんによる手洗い(30秒)+流水すすぎ(30秒)+アルコール消毒2回(30秒×2

※「石けんやアルコールはノロウイルスには効きにくい」と言われているが、手に次亜塩素酸を用いると手が荒れるので使えない。ノロウイルスは非常に小さく、手が荒れるとそこかにウイルスが残りやすい。「物理的に洗い流す」という意味で手洗いとアルコール消毒を。

 

【次亜塩素酸消毒液の作り方】

※原液濃度および使用用途によって作り方が異なるので注意!

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※作った後は早めに使用する(紫外線で分解)

※作り置きをする場合は冷暗所に保管(いつ作ったか明記しておくこと)

※ペットボトルを利用する場合はラベルなどをつけて間違わないように(焼酎の瓶に入れておいた消毒液を飲んでしまった事例もあるそうです)

(つづく)

感染症対策学びました(看護介護部会:その6)

2014年11月10日 | 協会活動報告

「ノロウイルスが感染するメインは経口感染や接触感染ですが・・・」と断った上で西田先生は、「一部飛沫感染もあります。それは嘔吐物などを処理するときに、舞い上がった空気中の病原体を吸い込んで感染するというパターンがあります。ですから処理をする際には嘔吐物に水分を含ませたり、換気をすることが大事です」と、様々な感染経路があることをイラストを用い、注意を促しました。

 ノロウイルス感染症の特徴について、まず次の5項目をスライドに示しました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(1)感染してから症状が出るまで12

(2)嘔吐、下痢、発熱が主な症状

(3)晩秋から冬期に流行する

(4)症状は通常12日で解消する

(5)嘔吐、下痢などの症状が消失しても34週間は便中にノロウイルスが排泄される(2日間程度は感染力が特に強い)

※症状が出る前にもウイルスは排泄される

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 このような特徴を踏まえ、「問題なのは症状が消えても長い人は1か月くらいノロウイルスが排泄されるということです。ウイルスの量は便の中が非常に多いです。トイレや手洗い場を専用にするなどの対応も必要です。また症状が出る前にもウイルスが排泄されることに注意して下さい」と指摘しました。

 ノロウイルスの治療と予防に関しては、「特効薬はなく、対処療法しかありません。また特別な予防方法はなく、手洗いやマスクの着用、そして排泄物の適切な処置を行うことで感染を予防する事が重要です。感染症じゃないものもあり、いきなり大勢の人に症状が出るような集団発生の場合には食中毒の可能性もあります。感染症であれ、食中毒であれ、そのような場合には保健所へ連絡、相談をして下さい」と呼びかけました。

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 これに続き、具体的なノロウイルス対策についての説明が始まりました。

(つづく)

感染症対策学びました(看護介護部会:その5)

2014年11月7日 | 協会活動報告

 接触(経口)感染への対策について話し始めた西田先生。「接触によって身体の表面に病原体が付着しただけでは感染は起こりません。身体の中に菌は入っていません。病原体のついた手で口や鼻、眼をさわることによって病原体が身体の中に入って感染します。ということはどうすればいいかというと、とにかく手洗いです。接触感染対策にとって最も重要で基本となるのは手洗いです」と手指衛生の重要性を強調し、「石けんとアルコール1押し(3cc)を組み合わせることで、効果は1万倍にもなります」と付け加えました。なお、健康な皮膚は強固なバリアになるものの、皮膚に傷がある場合などは、そこから病原体が侵入し、感染する可能性もあるため、手袋の着用を検討してほしいとのことでした。

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 この手指衛生をいつ行うかという事については、「1処置1手洗い」と前置きし、スライドに次の5項目を示し、その順守を訴えました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【手指衛生が必要な5つのタイミング】

(1)患者に触れる前(入室前・診察前)

(2)清潔/無菌操作の前〈例:ライン挿入、創傷処置など(手袋着用直前)〉

(3)血液/体液に触れた後〈例:検体採取、尿・便・吐物処理など(手袋を脱いだあと)〉

(4)患者周辺の環境に触れた後〈例:ベッド柵、リネン、モニター類〉

(5)患者に触れた後(退室後・診察後)

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 次に感染性胃腸炎について、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌などの細菌や、ノロウイルスなどのウイルス、そしてクリプトスポリジウムなどの寄生虫といった色々な原因があるとしながらも、「やはりノロウイルス、これが最強です。ノロウイルスの対策ができていれば他のものもだいたい防ぐことができます」とし、ノロウイルスに関する説明が始まりました。

 「非常に小さく消し去るのが大変。カキなどの二枚貝を生や加熱が不十分な状態で食べると感染し、人の腸で増えるため、85度から90度で、1分半以上の加熱が必要です。さらに、小さいくせに感染力が極めて強く、10個から100個といった少量のウイルスで感染が成立しますが、排泄物の中には1グラムに100万個以上もあります。またもう一つのやっかいな問題は、ノロウイルスを持っていても症状が出ない人がいるということです」といった西田先生の具体的な説明に、受講者は身を乗り出して聞き入っていました。

(つづく)

感染症対策学びました(看護介護部会:その4)

2014年11月6日 | 協会活動報告

 「施設における感染対策」に関して、まず感染予防の三原則として、「”感染源”、”感染経路”、そして”感受性者”の3つが揃わないと感染は成立しません」と、それぞれ感染源に対しては治療や隔離、感染経路には手洗いやマスク、感受性者には体調管理やワクチンなどの対応法をおさらいした西田先生。「個人のレベルで終わっている限りは特に問題ありません。何が問題かというと”感染経路”、つまり周りに広げるところが問題です。感染源であってもちゃんと治療すればいいし、感受性者でもちゃんと体調管理やワクチン接種で防げます」とし、感染経路の対策の重要性を強調しました。

 そして感染を未然に防ぐ対策の1つである衛生管理について、次の6項目を示しました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(1)適度な温度、湿度の管理

(2)冷暖房、加湿除湿器の定期的な清掃

(3)環境の清掃

(4)共用具の衛生管理

(5)ドアノブや手すり、スイッチなど不特定多数が頻回に触る場所はアルコール消毒を

(6)汚染が予想されるときは防護具(マスク、ディスポエプロンなど)を使用

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ノロウイルスなど消化器疾患に多い接触(経口)感染、呼吸器疾患に多い飛沫感染、そして結核や麻疹、水痘などの空気(飛沫核)感染という3種類の感染経路について述べた西田先生。「空気感染の怖さというのはどういうものかというと、例えば僕が結核を発症したとしましょう。するとこの会場の1番後ろに座っている方にも感染のリスクがあるということです」と最後列を指さすと、96人の受講者で埋まった会場には緊張が走りました。これに続き「ところがインフルエンザだと前から23列までの人が危ないということになり、接触感染だと(触れなければ)安心だということになります」との説明に、受講者はメモを取るなどして聞き入っていました。

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 これらの感染経路対策の各論に入る前に、病原体の感染と伝播のリスクを減少するために行われる標準予防策(Standard precautions)の考え方(:全ての患者の血液、汗を除く体液、分泌物、排泄物、健常でない皮膚、粘膜は、感染性があるものとして対応すること)に言及した西田先生。接触(経口)感染への対策から説明を始めました。

(つづく)

感染症対策学びました(看護介護部会:その3)

2014年11月5日 | 協会活動報告

 感染対策マニュアルについて「定期的な見直しが必要です。マニュアルはあるけど古くなってしまっていると、『何のためのマニュアルか?』となります。皆さんも施設に帰ったら、定期的に見直されているかチェックをしてください。そしてそのマニュアルがどういったものか、その内容を皆で共有して下さい。”絵に描いた餅”ではいけません。一連の具体的な手順がないと新人はわからないし、何かあったときに指針がないと船は沈みます。もちろんそれが間違っていてはおおごとです」と警鐘を鳴らした西田先生。会員老健施設や特養などからの受講者96人を前に、「高齢者施設における感染症リスク」として次の6項目をスライドに示しました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(1)毎日長時間の集団生活、レクなど濃厚な接触も

(2)マスクや手洗いが十分にできない人も

(3)感染症にかかりやすい(免疫が弱い)

(4)重症化しやすい(誤嚥のリスクも)

(5)脱水をおこしやすい(成人と比較して体内の水分保持能が低下)

(6)結核の既感染者が多い

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「皆さんの施設にはどのようなリスクがあるでしょうか?」と満席の会場を見渡しながら尋ねた上で、「病原体によって潜伏期間が異なりますが、感染してから病状が出るまで時間がかかりますし、症状がおさまっても、インフルエンザやノロウイルスなど、ウイルスを排出していることがあります。また『不顕性感染』といって、感染していても症状がでないことがあり、これが感染症の難しさです」と注意を促しました。

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 そして感染症対策の基本として、「微生物は無限に存在します。無菌の環境はあり得ません」前置きし、「その中で健常者や大人においては問題とならない病原体でも、免疫が弱くなった高齢者では感染すると発病しやすくなります。それでは高齢者を感染症から守るためにはどうすればよいでしょうか?」と、今回の研修会のメインテーマである「施設における感染症対策」について説明を始めました。

(つづく)

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