老健みやざきブログ

九州大会開きました(その5)

2013年11月25日 | 協会活動報告

【施設・病院での食介護のアンケートから】

 ひとえ歯科クリニック院長の宇都仁惠先生は平成241月中旬から2月中旬にかけて宮崎県内の43老健施設や病院・診療所、デイケア、ケアホームなどに勤務する職員(ヘルパー、介護福祉士、ケアマネージャー、看護師、管理栄養士、言語聴覚士ほか)にアンケートを実施されました。その数はなんと926人。講演ではその結果に基づき、利用者や患者に食事介助に当たっているスタッフが現場で抱える悩みや問題について言及していきました。

 このアンケートによると、「食介護が必要な対象者はいるか?」の問いに対し、87%の人が「かなりいる」または「いる」と回答。その一方で、食事介助の困難点が「よくある」または「ある」と答えた人は63%もいたとのことでした。

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 食事場面の問題点を職種ごとに尋ねたところ、どの職種も「むせる」、「なかなか飲み込まない」「口に溜めてしまう」などの回答が半数以上あったそうです。とりわけ「むせる方の食事介助が不安」という回答は際立って多く、食事介助のむずかしさが浮き彫りなっていることが指摘されました。また現場で毎日、食介護・食支援の悩みを抱えながら業務を行っているヘルパーや介護福祉士の多くが、それを解決手段は「他の職種に相談する」と答えていることを踏まえ、「摂食・嚥下の診断ができる人材と相談機関が必要」と指摘。その解決の一助として、平成1211月に「宮崎摂食嚥下障害臨床研究会」を立ち上げているとのことです。この研究会は、歯科医師や脳外科医、看護師、歯科衛生士、管理栄養士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士などが会員登録しており、摂食嚥下に関する基礎知識の理解や臨床技術の習得、さらに科学的基礎研究の啓発などを通じて、宮崎県の摂食嚥下障害の臨床の向上を図るために活動中です。また、県内12の病院で摂食嚥下障害に関する相談窓口を設けていることが紹介されました(同協会推薦)。

 

〔宮崎県摂食・嚥下障害相談窓口〕

(宮崎摂食嚥下障害臨床研究会推薦)

上田脳神経外科

慈英病院

潤和会記念病院

市民の森病院

宮崎医療センター病院

宮崎江南病院

けいめい記念病院

日南市立中部病院

海老原総合病院

和田病院

園田病院

 

(つづく)

九州大会開きました(その4)

2013年11月22日 | 協会活動報告

【現在歯数と全身疾患・口腔内細菌との関連】

 宇都先生は平成229月から258月までの外来患者の中で細菌検査をした974人(うち16歳以上914人)について、高血圧や脳卒中、糖尿病などの全身疾患の既往歴、そして年齢、現在歯数、ポケットの深さ、汚染度、歯周病の進行度(CPI)、細菌のレベル、そして感染の有無などをデータベースに記録、統計処理し解析を行ったそうです。

 その結果、全身疾患のある人は、ない人に比較して、加齢と共に現在歯数が少ないことが明らかになったことや、細菌のレベルとCPIとポケットの深さには有意な差が出たことなどを説明すると、参加者はメモをとるなどして聞き入っていました。

 また、「40歳以上で歯を喪失する主原因は歯周病、歯槽骨の破壊です。それより前は虫歯で歯を失うのですが、40歳以上の歯の喪失で怖いのは自覚がないということです。『歯周病で歯がなくなるとは知らなかった』という人は多いです。40歳以上の人は近くの歯医者の門をたたいて欲しいと思います」と強調しました。

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【高齢者の低栄養】

 

高齢者の低栄養について「やせた患者さんが多いのです。運動不足なのに脂肪が少ないのです。そのことで弊害が出てくるのを私は目の当たりにしています」と話し始めた宇都先生は往診もされており、「往診するとまっ先に体重を聞きます。病院だと血液検査をしますが、在宅では体重を聞き、下肢の周囲の長さを測ります」と言い添えました。

高齢者の栄養障害に伴う病態として、免疫異常(感染症)や創傷治癒の遅延(手術後の回復遅延)に加え、薬剤代謝の変動・貧血や骨粗しょう症、そして筋萎縮などの老年症候群などを挙げ、また、低栄養(たんぱく質・エネルギー低栄養状態:PEM)では病気にかかりやすく合併症を起こしやすい上に、回復が遅れ、死亡率も高まることなどを、スライドを用いて示しました。

このことを踏まえ、宇都先生も参加した、国立長寿医療センターの「在宅療養患者の摂食状況・栄養状態の把握に関する調査研究」(20133月、調査責任者:木田秀樹)の結果が報告されました。それによると、65歳以上の在宅療養者の30パーセント以上が低栄養であるとのことでした。それだけでなく、低栄養者ほど(1)固い食品が噛めず、(2)誤嚥しやくすく、(3)誤嚥性肺炎を起こしやすく、(4)食事が楽しみでなくなる、などといった傾向があることが説明され、摂食嚥下障害が引き起こす問題がいかに多く、そして深刻であるかを参加者に訴えました。

(つづく)

九州大会開きました(その3)

2013年11月21日 | 協会活動報告


  基調講演は、ひとえ歯科クリニック院長の宇都仁惠先生による「『さいごまで口から食べる楽しみ』を支える」。宇都先生は鹿児島大学歯学部を卒業した後、九州大学歯学部病院第一補綴科、福岡市雁ノ巣病院歯科、産業医科大学歯科口腔外科などを経て宮崎に帰郷し、宮崎市保健所健康増進課で勤務する中で予防の大事さを再認識。再び福岡市に戻り、障害者歯科では日本の草分け的存在であるおがた小児歯科医院に勤務。
2003年に宮崎市恒久にひとえ歯科クリニックを開業され現在に至っています。

 

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「今日は人間にとって『食べる』という一番大切なことをテーマにしています。『食事』と『食餌』は違います。猫は餌を必死になって食べます。何匹かで食べても『おいしいね』などとは言いません。これはチンパンジーでも同じことが研究で明らかになっています。しかし人は”会食”と言う通り、相手の顔を見ながら、おしゃべりして楽しみながら食べます。今日の大会では懇親会もありますが、学会や仕事などが食事を介して進むこともあります。ですから『食事』は色々な意味合いを持っています」と切り出した宇都先生に、ハッとする参加者。講演の序盤からいきなり吸い寄せられていきました。

 

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講演は(1)現在歯数と全身疾患・口腔細菌との関連、(2)高齢者の低栄養、(3)施設・病院での食介護のアンケートから、(4)がん患者さんの事例、(5)在宅で「さいごまで口から食べる」取り組み?胃ろうをはずした事例?、の5つのテーマで進められました。

 

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(つづく)

九州大会開きました(その2)

2013年11月20日 | 協会活動報告

001IMG_6572.JPG 大会テーマは「共に創ろう、老健の未来のカタチ『みんなが安心して老いる社会を目指して』」。これは宮崎県内にある44の老健施設に呼びかけ、募集した中から選ばれたものです。800人の参加者で埋まった開会式会場の壇上、櫛橋弘喜大会実行委員長は「ようこそ宮崎へ。宮崎はとてもいいところです。宮崎の滞在を是非楽しんで下さい」と来県を歓迎。第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざきの開会を高らかに宣言しました。

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(↑櫛橋実行委員長)

続いて開会挨拶に立った、大会会長である(公社)宮崎県老人保健施設協会の大野和男会長は「第1回の大会を宮崎県でさせていただいて以来、九州大会を本県で行うのはこれが3回目。3クール目が始まったわけです。第1回の時は介護保険が始まる前であり、要介護認定やケアプランをどうするか、という議論を皆さんとやった記憶があります。そして現在、老健施設のあり方、役割が再度見直されている段階ではないかと思います。今日と明日、皆さんが日頃行っているケアの質のあり方などについて勉強していただき、大会を実りあるものにして下さい」と、忌憚のない意見の交換を呼びかけました。

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(↑大野大会会長)

続いて、来賓として岩手県よりご臨席をいただいた(公社)全国老人保健施設協会の木川田典彌会長が「14回目を迎えたこの大会が盛大に開催されますことを心よりお喜び申し上げます。全国老人保健施設協会会長としても誇りであり、感謝の気持ちで一杯です。また、一昨年の東日本大震災に際しては、全国からご支援をいただき、この場をお借りして九州・沖縄の皆さん、そして会場の皆さんにお礼申し上げます」と頭を下げると、会場からは暖かい拍手が送られました。

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木川田全老健会長)

さらに、河野俊嗣宮崎県知事(代読:稲用博美副知事)、そして戸敷正宮崎市長(代読:木下忠男副市長)よりご祝辞を頂きました。

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 このほか来賓には(一社)宮崎県薬剤師会の河野俊春事務局長、社会福祉法人宮崎県社会福祉協議会の高橋博副会長、宮崎県老人福祉サービス協議会の黒木茂夫会長、(一社)宮崎県理学療法士会の中田洋輔会長、(一社)宮崎県作業療法士の四本伸成会長、宮崎県言語聴覚士会の金岡敦会長、(一社)宮崎県社会福祉士会の松井利博会長、(一社)宮崎県介護福祉士会の前田薫会長、(一社)宮崎県介護支援専門員協会の長友あかね副会長の皆様に、それぞれお忙しい中を縫ってお越し下さいました。

 

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 また、全老健九州ブロックの各支部より、藤岡康彦佐賀県支部長、三根浩一郎福岡県支部長、石橋徑久長崎県支部長、山田和彦熊本県支部長、大久保健作大分県支部長、今村英仁鹿児島県支部長、そして平良直樹沖縄県支部長にご参列をいただきました。

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 開会式が終わり、いよいよ基調講演の始まりです。

(つづく)

九州大会開きました(その1)

2013年11月19日 | 協会活動報告

公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)九州ブロックと公益社団法人宮崎県老人保健施設協会は1114日と15日、宮崎市の宮崎観光ホテルで「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」を開きました。九州各県から800人が参加し、将来の老健のありかた等について講演や分科会等を通じて研鑽を深めました。

九州各県持ち回りで開催しているこの大会、宮崎県が受け持つのはこれが3回目。より充実した大会にしようと、2年ほど前から関係者が定期的に会合を重ねるとともに、協力先の諸機関との連携をはかりながらついに開催の運びとなりました。

 

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(会場となった宮崎観光ホテル)

 

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(会場前を流れる大淀川。すばらしい天気になりました)

 

 14日の朝は、県内の会員老健施設から派遣された協力スタッフ約70名が一同に集まりました。全スタッフが揃うのはこの日が初めて、大会事務局の野津原雄治局長は「ついにこの日がきました。みなさん協力して大会を成功させましょう」と呼びかけました。

 

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(スタッフを前に挨拶する野津原局長手前)

 

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(九州各県からの皆様を”おもてなし”するとあって、緊張感が漂っていました)

 

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(各係の責任者による説明に真剣に耳を傾けています)

 

 午前9時にいよいよ受け付け開始。県内外からの参加者が続々と来場されました。お揃いのウインドブレーカーを身にまとったスタッフは、笑顔で対応に当たりました。

 

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(”Sun Resort
Coast MIYAZAKI
“と書かれたブレーカーには、はにわと県木であるフェニックスのイラストをあしらい宮崎らしさを演出。みんなでアイデアを出し合って作りました)

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大会を盛り上げようと、宮崎県のマスコットキャラクター”ひぃくん”、”むぅちゃん”、”かぁくん”の「みやざき犬(みやざきけん)」のみんなも駆けつけ、全国一の栄誉に輝いた自慢のダンスを披露してくれました。

そしていよいよ大会の幕が上がりました!!

(つづく)

大会終了の御礼

2013年11月18日 | 協会活動報告

 去る1114日(木)と1115日(金)の二日間にわたり、宮崎市の宮崎観光ホテルで「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」を開催しましたところ、九州各県より800名ものご参加をいただきました。

 大会では講演や分科会、さらに懇親会等を通じ研鑽を深めたばかりでなく、九州各県の老人保健施設に勤める様々な職種の皆様が交流の輪を広げることができました。これは、大会テーマである「共に創ろう、老健の未来のカタチ」を具現化できたことにほかならず、

参加下さった皆様はもとより、大会期間中その留守を預かり、各施設の利用者様のケア等に尽力くださったそれぞれの職場の方々のおかげであると厚く御礼申し上げます。

 皆様のおかげをもちまして、大会を盛会裏に終えることができたことを感謝いたしますとともに、今後とも当協会へのご理解・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

11/14、11/15は九州大会開催中です

2013年11月15日 | 協会活動報告

 1114日(木)と1115日(金)は、宮崎市の宮崎観光ホテルで「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」開催中です。

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11/14、11/15は九州大会開催中です

2013年11月14日 | 協会活動報告

 1114日(木)と1115日(金)は、宮崎市の宮崎観光ホテルで「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」開催中です。

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いよいよ開催(九州大会)

2013年11月13日 | 協会活動報告

 「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」はいよいよ1114日(木)と15日(金)の両日にかけ宮崎市の宮崎観光ホテルで開催するはこびとなりました。おかげをもちまして、約800名の参加が予定されています。遠方から来られる方はもとより、参加者の皆様におかれましてはお気を付けてお越し下さい。

 運営スタッフは全員宮崎県内の会員老健施設に勤務する役職員です。何かと不慣れで行き届かない事も多々あろうかと存じますが、ご容赦のほどお願い申し上げます。

 第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざきの大会テーマは「共に創ろう、老健の未来のカタチ」、そしてサブテーマは「みんなが安心して老いる社会を目指して」。九州各県の老健施設で働く仲間同士、施設や職種の垣根を越え、忌憚(きたん)の無い意見を交わして老健の未来を考えて行きましょう。

研修会開きます(看護介護部会)

2013年11月12日 | 協会活動報告

 (公社)宮崎県老人保健施設協会看護介護部会は1214日(土)、宮崎市の古賀総合病院腎センター5階で研修会を開きます。

 今回の研修会テーマは、昨年度実施したアンケートで要望が多かった「職場のハラスメントが及ぼす影響」。講師に独立行政法人労働者健康福祉機構メンタルヘルス支援センターの促進員(産業カウンセラー)の中村康文さんをお招きし、メンタルヘルスに関する管理監督者の役割について学んでいきます。詳しくはこちらをご覧ください。

 参加費として一人500円が必要で、参加締切日は122日(月)です。参加申込みおよびお問い合わせは介護老人保健施設春草苑(担当:仮屋美喜子、Tel0985-39-8899Fax0985-39-8978)までお願いします。

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