HIV/エイズの正しい知識学びました(看護・介護部会:その2)
後半はHIVおよびエイズについての講義となりました。1900年ごろ、中央アフリカでサルのSIV(免疫不全ウイルス)からヒトへ感染する能力を獲得してHIVとなったという歴史にはじまり、HIVの生活環などが説明されました。そしてHIVが白血球の中の免疫の中心であるCD4リンパ球に感染すること、CD4低下により日和見感染症となって死に至ることをふまえ、HIV感染症とエイズの関係について、HIVすなわちエイズではないということを理解することが重要とし、指定された23の日和見感染症のどれかにかかった場合、エイズ発症とすることがスライドにより示されました(「厚生労働省『後天性免疫不全症候群』のホームページ」も併せてご参照下さい)。
HIVおよびエイズの発生動向について、2014年までの累計報告数が増加する一方で、新規患者報告数は2014年、2015年と続けて減少傾向にあるとのことでした。また治療法としては原因療法(ART:Antiretroviral Therapy)と合併症に対する治療があり、その中で1日2~3回だった内服回数が1日1回に改善していることや、HIVウイルス量を抑制するとCD4が回復すること、CD4数が多い時(早期)に治療開始すると長期生存が期待できるとの説明が研究結果や事例を交えてありました。
また宮崎県の状況については(1)県内の医療機関では90名からのHIV陽性者をフォローしている、(2)昨年1年間で16名の新規HIV患者がいた、(3)新規HIV患者16名中8名がエイズを発症していた・・・などの説明がありました。
これらのことを踏まえた上で、生活上の注意としてまず「次のようなことでは感染しません」とし、「食器の共用」、「共同浴槽・プール・トイレ」、「軽いキスや抱き合うなどの抱擁」、「献血」、「OA機器や文具の共用」、「せきやくしゃみ」、「同じ食べ物をつつく」、「蚊やノミなどの昆虫やペットなど」・・・の8項目が示されました。
また予防内服開始後は「針刺し後感染」は感染されていないとのことでした。最後にまとめとして(1)HIV感染症は治療の進歩により高血圧や糖尿病と同じ慢性疾患になった、(2)HIV感染症は体液にて感染する、(3)HIV感染症の針刺し事故による感染は予防内服で阻止できる、(4)個人情報の保護に配慮・・・の4つが提示され、講義終了となりました。
県外の出張先から宮崎空港に降り立つなり、そのまま研修会会場に駆けつけて下さった菊地先生。疲れの色も見せずにわかりやすく丁寧な講義をして下さいました。研修会終了にあたり、参加者からは感謝の拍手がおくられました。
(おわり)