第13回研究大会開きました(その3)

2016年11月23日|

    開会式に続き、基調講演がありました。演題は「認知症の理解とケア」。講師は一般財団法人弘潤会 野崎病院精神科の医師、倉増亜紀先生。001bq8v6063

    講演は(1)野崎病院認知症疾患医療センターの現状、(2)認知症とは、(3)代表的な認知症について、(4)認知症の診断、(5)認知症の治療、(6)認知症への対応、(7)症例検討・・・という流れで行われました。

    このうち「(2)認知症とは」について、認知症の診断基準を示した上で、認知症高齢者の現状(平成22年)について、(a)認知症有病率推定値は15パーセント、有病者数推計439万人、(b)正常と認知症の中間である「MCI」の有病率推定値は13パーセント、有病者数380万人(※MCI全ての者が認知症になるわけではないことに留意)であることがスライドを用いて示されました。002bq8v6085

     「(3)代表的な認知症について」では、4大認知症である「アルツハイマー型認知症」、「脳血管性認知症」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」について症状や経過などの特徴について説明。認知症医療疾患医療センターや物忘れ外来で診断される認知症疾患のうち、60パーセント以上はアルツハイマー型認知症とのことでした。一方「治りうる認知症」として(ア)甲状腺機能低下症、(イ)慢性硬膜下血腫、(ウ)正常圧水頭症、(エ)ビタミン欠乏・・・などが示されました。

    「(4)認知症の診断」では、記憶障害や見当識障害、判断・実行機能障害、そしてADL(日常生活活動動作)、IADL(手段的日常生活活動動作)などの各項目についてアセスメントが示されるとともに、認知症の各病型の典型的なMRI画像の紹介もありました。

    正常と認知症の中間であるMCI(Mild Cognitive Impairment)に関しては(一)記憶障害の訴えが本人または家族から認められている、(二)日常生活活動動作は正常、(三)全般的認知機能は正常、(四)年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する、(五)認知症では無い・・・とした上で、MCIに関する19の縦断研究を検討した結果、平均で10パーセントが認知症に進展するとのことでした。そしてこのMCIの人へ対応として倉増先生は、病態に対する徹底的な知識教育と経過観察の重要性の説明が重要であるとして、「MCIは決してまれな状態ではないことを伝える」、「通院して慎重な経過観察が必要」、「半数は認知症に以移行しないこと、逆に回復する例もあることを話し、必要以上に認知症になる不安をかきたてるような説明は避けた方がよい」と強調しました。003bq8v6080

(つづく)

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