胃ろうトラブルへの対処法学びました(栄養・給食部会:その2)
「(3)胃ろうチューブ交換時のトラブル」については、交換用胃ろうカテーテルの種類(4種類)を踏まえた上で、「一番怖いのは胃ろうチューブの誤挿入」と指摘しつつ、前田先生は「ろう孔は細いのです」と写真を示し、その危険性を説きました。「誤挿入に気づかず栄養剤を謝注入すると致命的なトラブルになる」との説明に受講者は神妙な表情で聞き入っていました。これを踏まえてカテーテル交換後の確認方法の種類およびそれぞれの利点や欠点を学びました。
「(4)栄養のトラブル」では消化管関連の合併症として胃食堂逆流・誤嚥、下痢、便秘、腹痛・腹部膨満などがあるとのこと。また代謝関連の合併症として高血圧・低血糖、蛋白代謝異常、脂質代謝異常、脱水、電解質異常、ビタミン欠乏症、微量元素欠乏症、過体重などがあることが示され、事例をひもときながら対処法を説明する前田先生の話を、受講者はメモをとるなどして耳を傾けていました。さらに胃ろうからの経腸栄養において患者に起こる様々な合併症や精神的・肉体的な苦痛が液体栄養剤の注入に起因する「液体栄養症候群(Liquid Formula Syndrome)をあげつつ、半固形化栄養の特徴に言及しました。
「(5)管理のトラブル」では事故抜去の際の注意点および対処法にはじまり、皮膚トラブル、日常管理の原則(消毒しない!こすらない!Yガーゼ((切り込みガーゼ))は使わない!毎日優しく洗浄((口を拭くように)))、また不良肉芽、胃ろう周囲皮膚炎、皮膚真菌症、皮下膿瘍、ボールバルブ症候群およびそれらへの対策などについて話がありました。さらにある日突然栄養剤の注入が困難になり胃ろう部が発赤腫脹、胃ろう部の頭痛が出現する「バンパー埋没症候群」についてもイラストや写真を使って解説がありました。
最後に前田先生は「転院、施設入所時のトラブル」をあげ、「最も問題となるのは、胃ろうの造設日やチューブの種類が申し送られていないことです」と語気を強め、チューブの次回交換日やチューブの種類、長さを把握していないことにより胃ろうチューブが長期間留置されてトラブルが起きたり、トラブルが起きても原因がわからない等のリスクがあることを強調。「転院や施設入所の際には、必ず胃ろうチューブに関する情報提供をお願いします」と呼びかけました。
にこやかな表情で話す前田先生。講義は豊富なスライドや資料を用い、そして実演も交えて進められ、大変わかりやすく、役立つものでした。講義終了後、質問の受講者に囲まれる前田先生は、疲れを見せることもなく、ひとつひとつの質問に丁寧に答えていました。
胃ろうのトラブルは命の危険に直結しかねない重大なものもあり、受講者からは明日からの業務に役立てようと、高い関心を示しながら臨む姿が見受けられ、大変有意義な研修会となりました。
(おわり)