九:不吉な数と言うけれど・・・
「苦(く)」と音が同じということで、忌み嫌われることもある数字、九。しかし決して悪いやつではありません。十進法で用いられる最大の数字”9“には、不思議で美しい性質があります。
2かける9は18ですが、1と8をたすと9になります。
同様に、
1×9= 9・・・0+9=9
2×9=18・・・1+8=9
3×9=27・・・2+7=9
4×9=36・・・3+6=9
5×9=45・・・4+5=9
6×9=54・・・5+4=9
7×9=63・・・6+3=9
8×9=72・・・7+2=9
9×9=81・・・8+1=9
となります。このようにこれらの積は、十の位の数と一の位の数をたすと、どれも9になるではありませんか。おおーっ!!これって美しくないですか???
たねあかしをすれば、これらかけ算九九の9の段は9づつ増えていくわけですが、見方を変えると、「10たして1引く」ことと同じです。だから、十の位が1増えて、一の位が1減ることになります。よってそれぞれの位の値をたしても変わらないのです。と、このように理詰めで言うと、美しさが半減しますけど・・・。
また、有名なものでは、
12345679×9=111111111
というのがあります。
さらに、「電卓の液晶がちゃんと表示されるだろうか?」というのを確かめたいときには、
98765432×9=888888888
という計算方法もあります。もっとも、最初から888888888・・・と入力すれば事は足りるのですが、それでは9の美しさに触れることができません。
いかがでしょうか?9という数字の美しさ、何となくおわかりいただけましたでしょうか。しかし!!忘れちゃいけません。この世でもっとも美しく感動的な”9“が、師走の空に響き渡ることを。
そうです。ベートーベンの第九交響曲「合唱付き」、すなわち「第九」です。ニッポンの師走にこれがなくては物足りないです。なぜ師走に第九なのか?については諸説がありますが、いずれにせよこれを聞くと。「ああ、年の瀬だなあ」という気分になります。有名なのは第四楽章。ドイツの作家、シラーの「歓喜に寄す」による合唱(と独唱)が、力強く歌い上げられます。”四”も”九”と同様、遠慮されがちな数字ですが、「第九」の「第四楽章」は喜びと希望に満ち満ちた素晴らしい曲です。今年も各地で「第九」の歌声が聞かれるようになりました。「九」という数字に感謝しながら、今年もこの名曲に耳を傾けたいと思います。