かまどの火入れるべからず
各地で新年の準備が進んでいますが、「おせち料理」は、かつては各々の家で作っている事が多かったのではないでしょうか。でもって、少なくとも元日はそれを食べてみんなでのんびり過ごしていたような・・・。
「元旦の日はカマドに火を入れるな。掃き出すな」ということわざが西都市にあるそうです(『宮崎県のことわざ・格言』鉱脈社)。元旦からカマドに火を入れて料理を作ったり、その後掃き出しをしたりすると福が逃げてしまうからするな、ということだそうです。そう言いながら「正月くらいはせかせかせずに、ゆったりしなさいよ」と、日頃台所に立つ人をねぎらっているようにも聞こえます。
これからもわかる通り、元旦は料理をせず、おせちをみんなで楽しみ、買い物もせず(おもちゃ屋以外の店は、たいてい閉まっていました)、のんびり過ごしていたように思います。もう一つ言うなら、ニューイヤー駅伝で、旭化成が例年通り優勝するのを見届けて、「ああ、新年が来たなあ」と実感していました。
今ではおせちは買って準備する家も増えたようです。おまけに元旦から店を開け、初売りをする所も増えてきました。たこ揚げする姿は減り、逆にコマ回しは「ベイブレード」なるものが年中ビュンビュン回っています。このように、今のお正月の風景はかつてのそれとは異なって来たように思います。時代とともに、風情やならわしも変わって来るのはむべなることか。便利で有り難くもあり、反面ちょっぴり寂しくもあり、複雑な心境です。
それはともかく、利用者様の大切な命を預かる老健施設においては、年末年始とも「休業」はできません。除夜の鐘を聞きながら業務に励まれる方もたくさんおられますし、当然ながら、かまど、じゃなくてコンロに火も入れます。普段通り、いやそれ以上に諸々の面において細心の注意を払って業務に当たりましょう。