参加すればいい、じゃない

2012年8月7日|

 オリンピックと言えば、「参加することに意義がある」という名言があります。これは、近代オリンピックの創始者、ピエール・ド・クーベルタンの言葉です。ロンドンオリンピックも盛り上がっています。世界各国から参加してこそのオリンピック。勝っても負けても、全力を尽くす姿には感銘を受けます。まさにオリンピックに「参加すること」を身体一杯に表現している様子がテレビ画面を通じて伝わってきます。

 ところが、この名言が誤って使われることもあります。たとえば、大会に出場することが決まり、みんな一生懸命練習する中、一人だけ真面目に取り組まない。見かねたチームメイトが「○○君、きみはなんでちゃんと練習せんとね?」と聞いたとき、「そんげ真面目にやっていい成績をおさめんでもいいわあ。だって『参加することに意義がある』って言うわー。参加しさえすればいいとよ。出ればいいちゃわ」・・・という具合です。もちろんこの用い方は間違いです。

 このクーベルタンの「参加することに意義がある」、実はそれだけではないのです。『生きるヒントになる名語録728』(轡田隆史監修、橋本一郎著、三笠書房)には、次のようにありました。 

 「オリンピックの大会で最も重要なのは、勝つことではなく参加することだ。ちょうど、人生で最も重要なのが、勝つことではなく努力することであるように」

  つまり、参加しさえすれば、あとはどうでもいいということではありません。オリンピックに参加するために努力すること、さらに参加して、勝つために努力する事、それが重要だ!とクーベルタンは言わんとしたのではないでしょうか。そしてその考えの根底をなすのが「人生で最も重要なのは努力すること」なのだと思います。

 オリンピックの舞台で活躍する選手たちを見て感動を覚えるのは、彼らの人並み外れた努力を積み重ねている姿が、「人生で努力をすることが重要だ」というメッセージを発信し、それを私たちが受け取ってているからなのではないでしょうか。

 競技はまだまだ続きます。熱戦を繰り広げる選手たちから、たくさんの感動をもらい、努力することの大切さを学びとりたいと思います。

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