研修会開きました(支援相談部会:その1)
(社)宮崎県老人保健施設協会支援相談研究部会は9月28日、宮崎市の宮崎観光ホテルで全体研修会を開きました。会員老健施設職員等75人が受講しました。
講師は潤和会記念病院の医師で、10月1日からはひむか苑の施設長も兼務されている櫛橋弘樹先生。「医療依存度の高い高齢者への対応」と題しての講演は、2時間弱という限られた枠ではもったいないくらいの盛りだくさんの内容!講演の骨子を4回に分けて連載します。
《1.介護保険を取りまく状況について》
(1)75歳以上高齢者の全人口に占める割合は増加していき、2055年には25%を超える見込み
(2)65歳以上高齢者のうち、認知症高齢者が増加していく。
(3)世帯主が65歳以上の世帯のうち、単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していく。
【地域包括ケア研究会報告書(平成22年3月)】
〔地域包括ケアを支えるサービス提供体制の在り方〕
地域住民は住宅の種別(従来の施設、有料老人ホーム、グループホーム、高齢者住宅、自宅)にかかわらず、おおむね30分以内(日常生活域)に生活上の安全・安心・健康を確保するための多様なサービス(注)を24時間365日利用しながら、病院等に依存せずに住み慣れた地域での生活を恵贈することが可能になっている。
(注)居場所の提供、権利擁護関連の支援、生活支援サービス、家事援助サービス、身体介護、ターミナルを含めた訪問診療・看護・リハビリテーションなどのサービスが個々人のニーズに応じて切れ目なく総合的かつ効率的に提供される。
〔良質なケアを効率的に提供するための人材の役割分担〕
2025年には、地域包括ケアを支える人材間の役割分担と協働が図られ、人材の専門能力の一層の向上と生産性・効率性向上が図られている。また、医療や介護の専門職のほか、高齢者本人や住民によるボランティアといった自助や互助を担う者など、様々な人々が連携しつつ参画している。
【地域包括ケアシステム】
〔地域包括ケア5つの視点による取り組み〕
地域包括ケアを実践するためには、次の5つの視点での取り組みが包括的(利用者のニーズに応じた(1)から(5)の適切な組み合わせによるサービス提供)、継続的(入院、退院、在宅復帰を通じて切れ目無いサービス提供)に行われることが必須。
(1)医療との連携強化(医療)
・24時間対応の在宅医療、訪問看護やリハビリテーションの充実強化
(2)介護サービスの充実強化(介護)
・特養などの介護拠点の緊急整備(平成21年度補正予算:3年間で16万人分確保)
・24時間対応の在宅サービスの強化
(3)予防の推進(予防)
・できる限り要介護状態とならないための予防の取り組みや自立支援型の介護の推進
(4)見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など(生活支援)
・一人暮らし、高齢夫婦のみ世帯の増加、認知症の増加を踏まえ、様々な生活支援(見守り、配食などの生活支援や財産管理などの権利擁護サービス)サービスを推進。
(5)住まい(住まい)
・高齢者専用賃貸住宅と生活支援拠点の一体的整備
・持ち家のバリアフリー化の推進
→安心・安全な生活を保障していこう!
【税と社会保障の一体改革における方向性について】
〔個別分野における改革の方向性(1)〕
“医療・介護 ・・・全世代への配慮と長期的な維持可能性・・・”
→診療報酬・介護報酬改定
→基盤整備のための一括的な法整備
○医療・介護サービスの提供体制の効率化・重点化と機能強化
・医師確保、介護職員等の人材確保と資質の向上
・病院・病床の機能分化・機能強化、専門職間の協働と役割分担の見直し
・在宅医療・介護体制の強化、地域包括ケアシステムの確立
・サービス付き高齢者住宅等の居住系サービスの充実等による特養待機者の解消
・精神保健医療の改革、認知症対策の強化、介護予防・重度か予防への重点化
○保険者機能の強化を通じた医療・介護保険制度のセーフティネット機能の強化、給付の重点化
・働き方にかかわらずセーフティネットを提供するため、非正規労働者への被用者保険の適用拡大
・市町村国保財政の広域化と低所得者対策の強化
・高度医療や高額かつ長期にわたる医療への対応と重点化
・保険者機能の強化、高齢者医療費・介護費に係る高齢世代と現役世代の公平な負担
○予防の推進、制度運営に当たっての効率化
・生活習慣病の予防、介護予防・重症化予防、ICTの利用推進、後発医療品の更なる仕様促進
(医療・介護サービスの需要と供給((1日辺り利用者数等&必要ベッド数))の見込み)21:50
【医療依存度の高い高齢者の増加】
2025年サービスの必要量は介護施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設)169万人/日、居住系(特定施設、グループホーム)47万人/日、在宅介護408万人/日
【2007年度の2倍】
高齢化、急性期病院等の在院日数の適正化等を背景に、医療依存度の高い要介護者数が介護現場に増加。(続く)