研修会開きました(支援相談部会:その2)

2012年10月12日|

{櫛橋弘樹先生講演「医療依存度の高い高齢者への対応」骨子}

 

 

《2.平成24年度介護報酬改定の概要》

 

24年度の介護報酬改定】

 24年度の介護報酬改定は「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」の施行に伴う新たな介護サービス等への対応、診療報酬との同時改定に伴う医療と介護の機能分化・連携などへの対応が求められ、以下の基本的な視点に基づき、各サービスの報酬・基準についての見直しが求められた。

(1)地域包括ケアシステムの基盤強化

(2)医療と介護の役割分担・連携強化

(3)認知症にふさわしいサービスの提供

 

【地域包括ケアシステムの基盤強化】

 介護サービスの充実・強化を図るとともに、介護保険制度の持続可能性の観点から、給付の重点化や介護予防・重度化予防について取り組み、地域包括ケアシステムの基盤強化を図ることが必要である。

 高齢者が住み慣れた地域で生活し続けることを可能にするため、

(1)高齢者の自立支援に重点を置いた在宅・居住系サービス

(2)要介護度が高い高齢者や医療ニーズの高い高齢者に対応した在宅・居住系サービスを提供する。

 

【認知症にふさわしいサービスの提供】

 認知症の人が可能な限り住み慣れて地域で生活を続けていくため、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設において必要な見直しを行う。

 

【施設系は役割・機能が明確化】

○施設サービスについては、それぞれの役割・機能がより明確化となる。

○例えば特養は、重度者の終の棲み家として、ユニット化や看取りの機能を強化するための中間施設として、リハビリ機能が拡充。

○介護療養病床は2017年末の廃止に向けて、介護療養型老健施設などへの転換が促進される。一方、有料老人ホームに関しては規制強化が進む。

 

【介護老人保健施設の退所者の現状:介護老人保健施設、介護療養型医療施設と比較して】

○介護老人福祉施設の退所者の主な退所先:医療機関28.9%、死亡63.7%(うち施設内での死亡29.7%、入院先での死亡34.0%

○介護療養型医療施設の主な退所先:医療機関34.7%、死亡33.0%(うち施設内での死亡25.7%、入院先での死亡7.3%

○介護老人保健施設の主な退所先:医療機関48.9%、家庭23.8%、介護老人福祉施設9.3%、死亡6.0%(うち施設内での死亡5.1%、入院先での死亡0.9%

※出典:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(平成22年度)

 

【介護保険施設からの退所後の行き先の推移(平成199月と平成229月との比較)】

介護老人福祉施設:医療機関が31.5&から28.9%に減少。

○介護老人保健施設:医療機関が45.3%から48.9%に、死亡が3.8%から6.0%にそれぞれ増加、一方家庭復帰が31.0%から23.8%に減少。

※出典:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(平成19年度、平成22年度)

 

【介護老人保健施設の主な改訂内容】

1.介護老人保健施設の在宅復帰支援機能の強化

2.短期集中リハビリテーション実施加算の見直し

3.地域連携パスの評価

4.認知症行動・心理症状への対応強化

5.肺炎等への対応の強化

6.ターミナルケアの評価の見直し

※介護老人保健施設は在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点となる施設。リハビリテーションを提供する機能維持・改善の役割を担う施設。

【介護老人保健施設の在所日数】

平成22年度老人保健健康増進等事業「医療施設と介護施設の利用者に関する横断調査」によると、介護老人保健施設1,036施設に入所していた29,276人の入所者の在所日数の中央値は全体で358日。また、在所日数の中央値が2年以上である施設は1割程度。

【退所の状況】

「介護サービス情報公開制度」(平成21年度)より老人保健課調べによると、

○介護老人保健施設から退所した者の施設定員に占める割合は、一月あたり10%未満である施設が約7割。

○介護老人保健施設から自宅へ退所した者の施設定員に占める割合は、一月あたり3%未満である施設が約8割。

退所者に占める自宅への退所者の割合が30%以上50%未満の施設は全体の16%、また50%以上の施設は8%。一方、自宅への退所者が0人であった施設は、全体の19%。

 

【介護療養病床の扱いについて】

 平成23年度までに老人保健施設等へ転換することとしていたが、転換が進んでいない現状を踏まえ、先の通常国会において成立した介護保険法等の一部改正法により、以下の措置が講じられた。

1.これまでの政策方針を維持しつつ、現在存在する介護療養病床については、6年間転換期限を延長する。

2.平成24年度以降、介護療養病床の新設は認めないこととする。

3.なお、引き続き、介護療養病床から老人保健施設等への転換を円滑に進めるための必要な追加低支援策を講じる(平成24年度介護報酬改定における対応を検討)。(続く)

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