コンピテンシーという考え方

2011年8月17日|

  コンピテンシーとは、「高い業績を上げている社員の行動特性」のことを言うそうです。これは、「仕事ができる人が具体的にどんな行動をとっているか」とか、「仕事の効果を上げるためにどんな行動をとったのか」というように「業績のよい人は何をしているか?」ということだそうです。つまり、営業マンで例えるならば「〇〇さんはこれだけ売り上げることができる」ではなく、「〇〇さんはこれだけ売り上げるために、具体的にこんな行動をした」というのがコンピテンシーであり、人事管理や人材育成における考え方の一つです。1970年代にハーバード大学のマクラレンド教授らの研究報告に端を発するそうです。

 「コンピテンシー・マネジメント」とは、この点に着目し、好成績を収めた人(ハイ・パフォーマー)を調べて、そのコンピテンシー(具体的にやったこと)を調査、体系化します。それを評価基準や人材育成に役立てるとともに、会社や組織全体の発展等々に活用していく手法です。その最大の特徴は、具体性があって説得力があるということではないでしょうか。「成功した私が実践したことだから間違いない!」と太鼓判を押されたようなもので、「ならばそれがしもやってみようか!」という気持ちにもなります。

 さて、この「コンピテンシー・マネジメント」の考え方を老健のケアにも取り入れられないものでしょうか。利用者様の心身の特性は様々。一つのADLについても、上手にできる人、やっとできる人、全くできない人と様々です。また、同じ程度の障害がある方でも、一方の人はAの動作ができてBの動作ができず、他方の人はAの動作はできないが、Bの動作はできる、ということも皆無ではないのではないでしょうか。できない人について「○○さんはなぜこの動作ができないのだろう?」と原因を考えることは当然あると思いますが、「この動作を上手にできる○○さんは、どんな行動をしているのだろう?」と、顕在能力を明確に評価する事は案外少ないのではないでしょうか。できる利用者様の実際の行動を多角的に観察・分析することで、できない人ができるようになるための手がかりが見いだされれば、すばらしいと思いますし、そのような視点を職員が持つようになれば、今後のケアの在り方も変わってくるのではないでしょうか。

また、当然ながら、コンピテンシー・マネジメントは、老健職員間、さらには老健施設全体にも導入できる考え方と言えます。各人が成長しながら、組織も発展する。しかも、具体的客観性のある行動特性をもってして行われるのですから、取り組みやすいポジティブな手法だし、互いに良い所を認め合うわけですから、組織の結束も高まり、結果として利用者様によりよいケアが提供できることにもつながっていくことが期待できます。十七世紀の初め頃活躍した、イギリスの政治家セシルは、「模範は訓言よりも力強い」と唱えたそうですが、「模範」を「コンピテンシー」と置き換えることもできるのではないでしょうか。コンピテンシーという考え方には老健の未来が見える、ような気がします。

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