リッチー古希

2015年4月14日|

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 ”ざっ、ざっ、ざーっ、ざっ、ざっ、ざざーっ、ざっ、ざっ、ざーっ、ざっ、ざーっ”・・・という強烈なインパクトを持つイントロで始まるのは「スモーク・オン・ザ・ウォーター(Smoke on the Water)」。伝説のハードロックバンド、ディープ・パープルが1972年に出したアルバム「マシン・ヘッド」に収録されている名曲です。今から43年前のリリースでありながら、このイントロを聴くと魂を揺すぶられるような気持ちになります。

 このディープ・パープルのギタリストと言えば、泣く子も黙るリッチー・ブラックモア。その演奏法やステージパフォーマンスなどは今のロックシーンにも大きな影響を与えています。

 そしてこの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」は、かつて(今もそうかもしれません)のギター少年ならば必ず弾いた事があると言っても過言ではない”ロックギターの入門曲”的存在でした。「ヤング・ギター1月号増刊 初心者のためのロックギター奏法(昭和55115日発行、()新興楽譜出版社)」には、「ちょっと聴いただけでは割合地味な印象のソロなのですが、内容的にはロック・ギターのベーシックなテクニックがギッシリ詰まっているプレイで、その上4本指のフィンガリングを要求されるフレーズも多いのです。(中略)ギター・キッドにとって大変参考になる要素を多く含んでいる曲だと思います」と紹介されている通り、この曲のギターソロの部分にはロックギターの基本テクが多用されていることから、様々なギター教本で取り上げられていました。

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 しかしクレイジーケンバンドのギタリストである小野瀬雅生も「スモーク・オン・ザ・ウォーターを笑うものはスモーク・オン・ザ・ウォーターに泣く」という言葉を残している通り(ウィキペディア抜粋)、この曲を完全に弾きこなすのは容易なことではありません。同アルバム1曲目のハイウェイ・スター(Highway Star)よりはるかにテンポは遅いものの、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」の方が難易度が高いと言えます。

 このようにギターソロの部分を弾きこなすには、かなりの練習が必要な一方で、イントロの”ざっ、ざっ、ざーっ、ざっ、ざっ、ざざーっ”の部分は簡単で、しかもかっこいいことから、ロックギターを初めて手にした少年・少女達はこぞってこの曲にチャレンジしたものです。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」で、2003年は第55位、2011年の改訂版では第50位に今なお位置づけられるリッチー・ブラックモアは1945414日生まれ。今年でなんと古希を迎えました。そのあまりにも大きすぎる功績にあやかった者の一人として、この記念すべき日を心よりお祝いしたいと思います。

 一方、リッチー・ブラックモアが70歳ということは、彼が世に出した名曲の数々に酔いしれたロックファンも、彼と同じだけの年月を重ねてきたということでもあります。老健施設に勤める者の一人として、利用者の生活歴の中でその背景となるミュージックシーンを今一度掘り下げて見直してみたい、とそのように考える次第です。

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