続いて「認知症ケアについて」というテーマで、介護老人保健施設しあわせの里の平嶋由美さんが講義をしました。
まず「これまで普通に暮らしていた人が、記憶力、判断力、理解力などが低下し、家族などに迷惑をかける言動が出てきて周囲の支援がなければ生活できなくなった状態」という認知症の定義を提示。そして2013年時点における日本の認知症高齢者が500万人おられ、2025年には700万人を超えて65歳以上の高齢者のうち5人に1人は認知症に罹患すると予測されていることを紹介し、3大認知症である「アルツハイマー型認知症」、「レビー小体型認知症」、「血管性認知症」について、具体的な特徴や症状の進行について解説がありました。
さらに認知症の「中核症状」と「周辺症状」について、
○「中核症状」:脳細胞がダメージを受け、脳本来の働きが低下するために起こる症状。記憶障害、見当識障害、判断力低下、失行、失語、失認など
○「周辺症状」:「行動、心理症状(BPSD)」とも呼ばれ、中核症状による不自由さ、性格、ストレス、環境などが複雑に絡み合って起こる症状。抑うつ、妄想、徘徊、暴力、暴言、幻覚、睡眠障害、帰宅欲求、睡眠障害、介護拒否など
・・・と、スライドで図示しながら説明が行われました。
これらを踏まえ、「認知症の人の理解できない言動に直面した時、その表面にあらわれている症状だけを見て制止しようとしていませんか?あらわれている症状には理由があります」と前置きし、「認知症を理解するためのポイント」として次の9つを示しました。
(1)新しいことは覚えられない
(2)信頼している人により強く症状を見せる
(3)自分が不利になることは認めない
(4)まだら症状がある
(5)感情だけはしっかり残る
(6)あることにこだわり、抜け出せない
(7)怒りは怒りで、優しさは笑顔で
(8)認知症の人の立場に立てば理解できる
(9)認知症の人は早く老いる
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その上で「介護に関する原則、大前提として、認知症の人が形成している世界を理解し、大切にしましょう。そしてその世界と現実のギャップを感じさせないようにしましょう」として、「まずはその人の感情や言動を受け入れることが大切です」と強調しました。
最後に事例を用いた個人ワークがあり、参加者は示された認知症利用者の事例に対し、どのような対応をすべきか、真剣に取り組んでいました。
(つづく)