しゅんかんにご注意

2012年3月29日|

  「春寒」と書いて「しゅんかん」と読みます。広辞苑によれば、「春になっても残る寒さ。はるさむ。残寒」とあります。

 まったく、この季節、思いもよらない寒さが再来することがあります。実際は12月の厳寒の頃に比べると、そこまでの寒さではないはず。でも、「暑さ寒さも彼岸まで」と油断しているからでしょうか、薄着で出歩こうとすると、季節が後戻りしたような寒さに出くわして身が縮む思いをしたりすることもあります。

 幸いなことに、今は天気予報がわりと当たるようになっただけでなく、テレビやネットで、住んでいる所の天気や気温が、細かい時間設定で瞬時にわかるようになりました。これを活用しない手はありません。

 ことさら高齢者においては、天気や気温の急激な変化で体調を崩しかねません。今の時期、前の日よりもうんと寒かったり暖かかったりすることも珍しくありません。情報を有効に活用して、利用者様の体調管理に努めましょう。

 わたくしごとですが、「しゅんかん」と聞くと、「俊寛」を連想してしまいます。またまた広辞苑をひもとくと、「(1)平安末期の僧、真言僧寛雅の子。源雅俊の孫。少僧都。法勝寺執行。1177年(治承1)鹿ヶ谷の山荘で、藤原成親・成経父子や平康頼らと平氏討伐を謀ったが、源行綱の密告により発覚し、鬼界島(きかいがしま)に流され、当地で没。生没年未詳。(2) 能。鬼界島の流人に赦免の使が来たが、俊寛一人だけは許されず島に残され、泣き叫ぶ。鬼界島」とあります。平安時代の僧の人名でもあり、またその名を冠した能楽でもあります。

 中学校の国語の教科書に、この能楽「俊寛」が載っていたのを、今でも凄烈な印象をもって覚えています。鬼界島の流人たちが赦免され、その迎えの船に、喜びをあらわにした人々が続々と乗り込むが、俊寛だけは乗船を許されない。「なぜじゃ?これは何かの間違いであろう!この俊寛のみが許されないはずなどあろうものか!!(といった意味のことを叫びます。さすがにセリフの一言一句までは覚えていません)」と使いの者に詰め寄りますが、悲しいかな、赦免される人の名簿に俊寛の名前はなかったのです。あわれ俊寛!遠く去りゆく船をいつまでも怨じ見ながら、彼は砂浜で泣き叫び、のた打ち回っていたのでした・・・といった内容だったと思います。

教科書にはその舞台の写真が掲載されていて、これがまた強烈な印象を与えるものでしたので、子供心に「俊寛という人は、なんてかわいそうなお方なんだろう。僕が同じ目にあったら、やっぱり悲しくて辛くて、絶望するだろうなあ」と思わず同情したものでした。

同音異義とはいえ、まったく違う話題になってしまいましたが、この時期に「春寒」があると、思わず「俊寛」を連想してしまいますゆえ、ついつい筆がすべってしまいました。おあとがよろしいようで<(_ _)>

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