回春
回春と書いて「かいしゅん」と読みます。広辞苑によれば「(1)春が再びめぐってくること。新年になること。(2)病気がなおること。(3)老人が若返ること」とあります。3月になり、季節は確実に春になろうとしている宮崎県です。まさに「回春」です。
「めぐる めぐる季節の中であなたは何を見つけるだろう」という松山千春さんの「季節の中で」が、先日ラジオから流れていました。1978年に大ヒットした名曲。実に34年前であり、その年月と同じだけ季節はめぐってきたわけです。
しかし今年の春は、いつもの春とは違う、と季節の巡り方に違和感を覚えている人は少なくないのではないでしょうか。
3月1日付の朝日新聞の川柳欄には、大船渡市の方の作品が掲載されていました。
「三月のまま三月が来る」。書いて10文字、読んで14字という、ほんの短い言葉の中に、言い尽くそうとしても尽くすことができない気持ち数々が込められていると思いました。
東日本大震災以来、色々なことがあまりにも目まぐるしく動き、しかし一方では止まったままの時間と空間があり、その矛盾と混沌との中で、また3月11日は訪れようとしてます。季節と暦の歩調が合わないまま1年が経過したのでしょうか?それとも私たちの方がそれを正しく受け止められなかったのか。
「季節のなかで」の3番で松山千春さんは「のぼる朝日のまぶしさのなか はるかな空を
めざし はばたけ高く はばたけ強く あなたの旅がはじまる」と歌われています。去年の3月11日と、今年の3月11日の間に、確実に1年という月日が存在したことは事実です。
「回春」。それは「(1)春が再びめぐってくること。新年になること。(2)病気がなおること。(3)老人が若返ること」に続き、「(4)人々が再びはばたき、旅への一歩を踏み出すこと」・・・。そう付け加えてはどうか、と考える今日この頃です。