断簡零墨

2012年5月8日|

 「断簡零墨」と書いて「だんかんれいぼく」と読みます。タレントの名前ではありません。「断簡」は「切れ切れになった書きもの」、「零墨」は「書いたものの切れはし。墨跡の断片」という意味です(『広辞苑』より)。つまり、メモです。走り書きです。

 多くの職種が共に働く老健施設。それぞれの専門性が必要とされる職場だけに、勤務中にいろいろな事があります。確かめるべきこと、連絡するべきこと、記録するべきこと、準備するべきこと、相談するべきこと、そして忘れてはいけないこと・・・。それは自分の専門の事に限らず、他職種の分野の事が少なからずあるわけです。

そんな色々なことを一つ残らず、しかも正確に記憶できる人がいれば、それはそれで素晴らしい事です。『記憶力を伸ばす技術 LEARN TO REMEMBER』(産調出版)という本を著したドミニク・オブライエンという方は、世界記憶力コンテストに8回も優勝(2002910日時点)した、コンピュータ並みの記憶力の持ち主です。012つの数字だけが無作為に2385個も延々と並べられた列を30分以内に記憶するというとんでもない世界記録(上記と同時点)を持つ彼のような方ばかりであれば、断簡零墨なんて必要ありません。しかし、そんな記憶力とは無縁の方は私だけではないはず・・・。

 「びぼう」のために、断簡零墨をとりましょう!「びぼう」って「美貌」のことかって?失礼(_ _)。「備忘」です。備忘録があると、「あれ?なんだったけ?」という事態に陥ることを防ぐことができます。もちろん、紙切れ一枚の走り書きでも構いません。失念を回避できるだけでなく、後々に重要な資料、情報、証拠になることだってあります。

55日の宮崎日日新聞には、ソフトバンクグループが社内業務で紙を一切使わない「紙ゼロ」の取り組みを始めたと報じていました。全社員(2万人!)に支給しているiPadを用いることで紙を不要にするそうですから、これが断簡零墨の代わりになるのでありましょう。しかし、いずれにせよ何かに記しておくことが肝要と言えます。チラシの裏面を活用しても構いません。走り書きは大事です。

 なお、「走り書き」に関して注意点を2つ。1つめ。実際に走りながら書くのは非常に困難で、後から見直しても解読不能に陥る恐れがあるばかりでなく、前方不注意になって転倒や衝突の危険性が非常に高いのでおやめ下さい。2つめ。「走り書き」にぎょうにんべんがついて「徒書」となると、これは「いたずらがき」。すなわち落書きとなります。場合によっては犯罪になる恐れもありますので、絶対におやめ下さい。

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