九州大会開きました(その15)

2013年12月9日|


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15日。公益社団法人全国老人保健施設協会(全老健)九州ブロックと公益社団法人宮崎県老人保健施設協会主催の「第14回九州ブロック介護老人保健施設大会inみやざき」は2日目を迎えました。

この日は1日目に引き続き6つの会場で12の分科会が行われました。そしてこれと並行して「第8回介護老人保健施設リハビリテーション九州合同研修大会」が同じく宮崎観光ホテルで開催されました。この研修会は(公社)宮崎県老人保健施設協会リハビリテーション研究部会が主体となって準備・運営にあたり、約300人の参加がありました。

 

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開会の挨拶に立ったリハビリテーション研究部会の中村豪志委員長

 

特別講演?は、「コミュニケーションからみた認知症 ?評価・支援の基礎と実践?」。講師は言語聴覚士で、志學館大学の飯干紀代子教授にお越し下さいました。

 

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わかりやすく、聞きやすく講演する飯干先生

 

 コミュニケーションという観点からをやわらかな口調で、言語聴覚士の視点として話し手と利き手の会話の流れ(Speech Chain)から講話をいただきました。

少しの舌位置の違いでコミュニケーション障害は出現しうるもので、一言で認知症といっても認知や言語、構音など症状もさまざま。また、加齢によるもの、入れ歯があわない事によるもの、廃用によるもので構音や聴覚の障害を多数の方が生じているとのこと。

認知症の実数値は400万人を超えるとも言われている中、認知症のコミュニケーション障害の評価と支援について、具体的な紹介がありました。

認知症診断には詳細な現病歴と画像診断が必要だが、現実、福祉介護施設ではそれらを無しに対応しなければならない事が多く、重要になるのは原因疾患別にどういう症状が出現するのかしっかり知ること。それに応じた対応をする事だとポイントを示しました。

原因疾患別にコミュニケーション障害の話がありましたが、思うに、はたして私たちの日常生活の中で「会話」は論理的にしているのか?という疑問を投げかけました。私達も話がかみ合わない場合や同じ話をする人もいます。理想的な会話は私たちもしているのか?という事。すなわちコミュニケーションとは何なのか?認知症の方の会話のように話はかみ合わないが何か楽しそうに会話を続けてコミュニケーションをとるという事は大切なことではないかという側面も考えられます。

また、例として物盗られ妄想のある方で疑われた人というのは親身になってお世話している人が多いが、これはその方にとってかけがえのない人であるという証と解釈ができる。人間の感情のコントロール不足からくるもので、どうでもよい人は関心がないから話にも出てこないという事ではないだろうか。認知機能の低下した方はこのように行動や妄想など不安や怒りなど含めBPSDとして感情や意図の表れとして非言語メッセージでとして伝えてくると考えられるとの事。コミュニケーションの奥深さを再認識するところでした。

認知症がなぜ社会問題になるのか、抱える問題は何かを言語聴覚士の立場から詳しく解説していただき、患者様と向き合う事、支援の仕方を構築していく姿勢を示していただきました。

ポジティブな面を発見していく事が大事であり、例としてMEMORY BOOKSを活用する事をされていました。エビデンスレベルを高めていく為に日々の臨床が大切である。非薬物療法としてのエビデンスを確立していきたいと示されていました。

認知症コミュニケーション支援として具体的説明を交えながら講話をいただき終始真剣な表情で会場は聞き入って終了となりました。(W)

 

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(つづく)

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