苦情処理セミナー開きました(事務長会:その3)

2014年2月27日|

【電話対応のケーススタディ】

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 苦情対応のポイントに続き、電話対応のケーススタディに移りました。DVDで「悪い例」と「良い例」をドラマ仕立てで制作された教材を観ながら、学びました。

悪い例では、処方された子供の薬の中にネジが入っていた事について、母親が問い合わせの電話を入れたところ、電話を取った女性職員が主治医につなぐため母親を長時間待たせたあげく、待たせたことへの謝罪もないまま「先生は診察をされていて電話に出られません」と身内に尊敬語を使って説明。それでまず気分を害した母親は、「それじゃあ薬剤部につないで下さい」と言うと、女性職員は要件も伝えず薬剤部に電話をつないだため、「何も聞いてないんですか!?」と母親はあきれながらも、再び同じ事情を薬剤部のスタッフに説明します。「ねじが入っていた?そんなばかな!本当ですか?まさかそんなことはあり得ないんですが・・・」と謝罪の言葉も無いどころか、相手を疑う言葉を連発。とどめにとばかり、通りがかった事情を知らぬ薬剤部長に「患者からのクレームなんですが」と受話器を押しつけます。「薬剤部長ですが、どうしましたか?」とまたまた要領を得ない切り出し、しかも「クレームなんですが」の声が母親に筒抜けだったため、怒りが頂点に達した母親は、「もういいです!!!誠意が感じられないので役所に連絡して指導してもらいますから!!!」と電話を切ったのでした。

 あまりにもひどい例に、受講者は半ばあきれながらも、これまでの自らの応対に反省点はなかったか、ふり返りながら見入っていました。

 続いて観た「良い例」では、「粉薬の1回分の量が多いのではないか?」と電話してきた母親に、女性職員は訴えを傾聴した上でまず謝罪。そして「いつ気付かれましたか?」と尋ね、健康被害の可能性を考慮し、先手を打ちます。まだ服用する前に気付いた事を確認すると「それはよかったです」と、事故が無かったことに対して共感の意を表しました。そして相手を落ち着かせながら、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを巧みに使い分けて状況を把握、主治医への確認に時間を要すると判断した彼女は、「1時間以内には連絡できると思いますので一旦電話を切らせていただきます」と断って受話器を置きました。また氏名や電話番号などの個人情報を尋ねる際には(処方内容を確認するため、折り返し電話をかけるためなど)その目的を伝え、了承を得る配慮も見せていました。その後、薬の量が多いことが確認され、彼女は母親に電話をかけ、「大変お待たせいただきました」、「やはり倍の量を出していました。大変申し訳ございませんでした」、「今後このようなことが無いように充分注意いたします」と謝罪すると、母親の表情は和らぎ、安堵の笑みが浮かびました。それで終わり、ではなく、他に言いそびれたことがないか?という最終確認を行うと、母親のわだかまりは雲散霧消。病院、そして彼女にすこぶる良い印象を残して受話器を置いたのでした。

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 思わず拍手を送りたくなるような内容のDVDでした。受講者は長谷先生の解説を聞きながら、さらに理解を深めていました。「1例目と2例目を観ていただいてわかった通り、対応のしかた一つで苦情がクレームになるか、ウィンウィンになるかが違ってきます」という説明に、大きくうなずく受講者の姿も多数見られました。

(つづく)

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