あかつきの星

2015年12月24日|

 日本初の惑星探査を目指す探査機「あかつき」が127日、金星を回る軌道投入に見事成功しました。2010127日の失敗からちょうど5年経ったこの日の再挑戦での快挙はマスコミでも大きく取り上げられました。

 地球と似た岩石質で、「双子星」とも呼ばれる金星は、「明けの明星」、そして「宵の明星」とも言われ、時期によって明け方の東の空や夕方の西の空に見られ、その明るさは太陽、月に次いで3番目に明るいので、非常に見つけやすい星です。

「広辞苑」で「明けの明星」を調べると、「明け方、東の空に見える金星」とあります。また「あかつき」と読む「暁」の字のついた「暁星(ぎょうせい)」については、「(1)夜明けの空に残る星、(2)特に、明けの明星(ミョウジョウ)。金星」と載っています。したがって、「あかつき」が「あかつきの星」の軌道に入ったということです。宇宙航空研究開発機構(JAXA)はもちろん、成り行きを見守っていた多くの人がその成功を喜びました。

「あかつき金星軌道投入」と5段見出しが立った翌128日の宮崎日日新聞が届いたちょうどその頃、東の空ではこのような光景が見られていました。

IMG944(mt).JPG

↑地球上で話題の的となっていた金星(右上)に、下弦の月が左下から向き合うように接近していました。月から探査機「あかつき」が、金星の軌道を回っているのが見えていたら、次のような会話が交わされていたのではないでしょうか。

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【月】:「あら、ビーナス。地球の『日本』という国の『人間』という生物が飛ばした物体がクルクル回り出しましたわね。うちにはいなかったウサギを捜しに行ったのかしら」

【金星】:「こんばんは、ルナ。旧ソ連やアメリカ、そして欧州宇宙機構(ESA)なんかは1960年代から来ていたけど、日本からのは初めてだわ。6種類の観測装置が搭載されていて、ウサギじゃなく私を覆っている分厚い雲を立体的に調べるんだって」

【月】:「そうなの。私の所には1969年に『アポロ11号』というのが着陸して、アームストロング船長という人が降りてきて、『これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、

人類にとっては偉大な飛躍である』って言ったのよ。ビーナスの所に人間が来るのももうすぐかもね」

【金星】:「いやいや、ルナ。うちは厚さ数キロの硫酸の雲があるし、気温だって460度。それに秒速100メートルの『スーパーローテーション』が吹きまくってるから、着陸は無理じゃないかしら(^_^;)

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 それはさておき、主エンジンの故障で失敗した1回目であきらめることなく、よくぞ成功してくれたものだと拍手をおくりたいと思います。観測は2年間続けられるとのこと。大気現象をはじめとする金星の謎がこれからどのように解き明かされるか、楽しみに待ちたいと思います。

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