Aβ42とAβ38

2013年1月17日|

 14日の朝日新聞の記事。「Aβ(アミロイドベータ)42」と「Aβ38」いう言葉が目に留まりました。新たなアイドルグループの名前ではありません。私たち老健施設で働く者にとって関係深い物質です。 

 「アルツハイマー物質 できる仕組みを解明 大坂大のグループ」と見出しの立ったその記事。神経細胞にあるたんぱく質の一つが、ガンマセクレターゼという酵素で切断されてできる毒性の高いAβ42が脳内にたまることで起こるアルツハイマー病について、この酵素とAβ42をさらに反応させると、毒性の低いAβ38に分解されることを、同大学のグループが突き止めたのだそうです。

 今まではAβ42ができないよう、この酵素の働きをじゃまする薬剤の開発が進められてきたとのことです。しかし今回の研究結果により、むしろ酵素を活性化させて、Aβ42Aβ38に分解する薬の方が、治療効果が高まるのではないかと新たな治療薬づくりにつながる可能性があるのだそうです。

 一度読んだだけでは理解しにくかったのですが、掲載された模式図を参考にしながら読み直すうちに、「これはすごいことだ」とわかってきました。老健施設に限らず、高齢者を対象にした仕事に携わる者にとって、認知症への理解と対応は避けて通ることはできません。そのような中、認知症に関する研究も、国内外でこのように進められていることを改めて知らされた記事でした。実用化に向けてさらなる研究が進められることを切望しながら、私たち自身もまた、認知症ケアのスキルアップを目指さなければならない、と思いました。

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