とんでもないこと

2013年7月3日|

社長:いやぁ、鈴木君、今回のプロジェクトは大成功だったね。

鈴木:はい、社長。ネットでもこんなにたくさん「いいね」をいただきました。

社長:何と言ってもこの「ゴムゴムのエコ扇風機」、実に素晴らしい。鈴木君のアイデアが活かされた傑作だよ。

鈴木:はい、社長。この「ゴムゴムのエコ扇風機」は、電気を使わずに1時間も涼風を送り続けることができるというところがセールスポイントです。模型飛行機のように羽根をぐるぐる回してゴムをねじねじ巻いて、それで羽根を回転させて風を発生させるわけです。指でゴムを巻くと18時間かかりますが、この「専用自転車式ゴム巻き機」を使用すればなんと4時間に短縮できます。それだけでなく、4時間自転車こぎ、すなわち有酸素運動をすることによって身体の脂肪が燃焼され、ダイエット効果が得られます。4時間自転車こいで1時間涼風に当たる。そしてまた4時間自転車こぎして1時間涼む、それを延々と繰り返せば確実にやせられるわけです。世界中どこを探しても、今までにどこにもなかった画期的なエコ&ヘルス商品です。

社長:いやーっ、あっぱれあっぱれ!素晴らしいよ鈴木君。きみは本当に優秀な社員だ。きみは我が社のホープだよ、エースだよ。そんなきみに今度部長になってもらおうかと思っておるのだがどうかね?

鈴木とんでもございません、社長。わたくしのような駆け出しの新人に、部長などとは恐れ多いこと。しかし社長がそこまでおっしゃるなら、わたくしでははなはだ力不足ではありますが、会社のために頑張らせていただきます。

社長:ん?鈴木君、きみ今なんと言ったかね?ひょっとして「とんでもございません」と言ったのではないか?「とんでもございません」と。いいかね鈴木君、「とんでもございません」などという日本語はないのだ。君は言葉を知らんね。これでは部長を任せるわけにはいかんよ。この話はなかったこととしよう。

鈴木:し、社長、そんなあ(T_T)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

以上の話は全くのフィクション、作り話です。登場する「社長」と「鈴木さん」は実在の人物とは全く関係ありませんし、「ゴムゴムのエコ扇風機」だとか、「専用自転車式ゴム巻き機」というものも架空の商品で、もしあったとしても実在のものとは全く関係有りません。

 ただし、この社長の「『とんでもございません』などとという日本語はないのだ」というのは本当です。「とんでもない」が一つの言葉(形容詞)ですので、「とんでもないことです」が正しい言い方。鈴木さんもそのように言えば、部長になれたのかも・・・。でもついつい「とんでもございません」と言ってしまいますね。うーん、日本語って難しい。

 

 ちなみにこの「とんでもない」、『広辞苑』によると「途(ト)でもない」から転じた言葉だそうですが、「とんでることがとんでもないこと」になっているのがご存じプロ野球のボール。この場合の「と」は「飛」。つまり「飛んでることがとんでもないこと」になっているわけです。去年よりボールが飛んでホームランが量産され、そのたびに選手はベースを回って・・・。これは「とんでとんでまわってまわる」、つまりプロ野球の「夢想花」状態になっているのではないだろうか?そのように考えているのは私だけ・・・でしょうね、きっと。

 それはともかく、この「夢想花(むそうばな)」はすごくいい曲です。円広志さんが作詞、作曲し自ら歌って第9回世界歌謡祭グランプリを受賞した心に残る名曲です。野球観戦しながら聴かれてみてはいかがでしょうか。

« 前のページに戻る

TOPへ