経営セミナー開きました(事務長会:その5)

2013年10月16日|

 平成2411月に行った、熊本県の介護報酬改定関連加算算定状況等に関する実態調査(回答:68施設/84施設中、回答率81.0%)について説明します。少しずつ加算を取るところが増えてきています。9月の時点で68件中30件、44%が在宅強化型か在宅復帰・在宅療養支援機能加算をとっています。一方、「現時点では在宅強化型への移行は難しい」と考えていたのは38件ありました。また、在宅復帰・在宅療養支援機能加算について「現時点では算定は難しい」、および無回答だったのは22施設、全体の32.4%でしたから、6割強の施設はどうにかして加算をとろうと考えていました。

 加算が可能となって理由は、先の6月の実態調査先の所でも述べた通り、「利用者・家族との面談を増やすなど積極的に準備を進めてきたため」が20件と最多でしたが、興味深いのは「在宅復帰に向けスタッフが意識改革したため」が11件あり、スタッフ、特に支援相談員が元気になり、やる気が出てきたようです。訪問リハ、短時間通所リハはまだまだでした。

 さて、介護報酬改定を踏まえた今後の課題ですが、まず施設入所(長期入所)のニーズは実態としてありますし、医療ニーズへの対応もどうするのかなど、入所の実態にどう対応していくのか、ということがあります。また、経営実態調査など、経営評価をどうするのか、リハビリ職員の配置は現状でいいのか、といった人員基準等の再検討も必要です。さらに生活期リハビリテーションのあり方や、認知症ケアの対応などは次回改定に向けてまだ全然答が出ていません。

 平成24年の改定から見た老健の未来はどうなるのでしょうか。どこの施設でも同じですが、改定や制度改正は、我が国の高齢者施策の大きな流れの中に現在があります。昭和50年代から2025年、さらには2050年へ、という流れの中で、老健が誕生し、介護保険が創設され、地域包括ケアが提唱され、その中で医療と介護の連携、在宅医療との連携をどうするのか、ということが言われています。私は、制度の変革は大きな潮流の中にあると思います。この流れに逆行することはできません。ただ、報酬はその時の財政状況等によりぶれがありますが、問題は報酬の額以上に、その内容に込められたメッセージが大切です。現在の状況はその一断面であって、将来の方向性は、過去の軌跡の延長上にあります。これまでの研究会での話はぶつ切れにはなっておらず、その軌跡は戦艦大和のように緩やかなカーブを描きながら進んでいます。つまり、モーターボートではないから軌跡の方向性が見えにくく、進む方向がわかりづらいけれど、間違いなくかじを切っている方向へ進んでいるから、それを見誤らないでほしいということです。

 具体的には、平成の初め頃から老健は急激に増えていていますが、この時に既にかじを切り始めています。平成8年に施設療養費?が設けられました。看護・介護の比率が最初3.61だったのが、31になり、ケアプラン作成も義務化され、報酬も上げます、となりました。また、老健ができてまだ数年というこのときに長期入所に問題が指摘され、逓減性のペナルティーがつきました。当時「施設療養費なんかとっても無駄だ」と言う人もいましたが、実際今はどうでしょうか。ケアプランは当たり前、31でも足りません。ですからその時から準備してきたところと、後から慌ててやったところとでは大きな差がついたわけです。

 同じように、今回の改定で創設された強化型老人保健施設は大変だ、在宅復帰支援機能加算は取れない、と思いますが、よく考えてみるとこの在宅復帰とベッド回転率は逓減性のときと同じようなもので、それをバージョンアップしただけです。そしてやはり「やらないほうがいい、従来型で入所させっぱなしにしといた方がいいよ」というのと、そうじゃなくて実際に取り組んでいくのとではどっちがいいでしょうか。私は今回また大きくかじを切っているのではないかなと思います。たぶんこの答えは2025年頃出てくると思います。

 もう一つ、リハビリテーション機能強化加算があります。100床に対してリハ職員を2人にして下さい、そのうち1人は常勤にしてください、ということで平成12年に12単位ついた時には、それだとリハ職員1人を雇う金にならないと取り組まなかったところがありましたが、平成1530単位になり、さらに平成18年にはリハマネ加算や、11で行うことが条件の短期集中リハ加算、認知症短期集中リハ加算などが一気に設けられました。ここで慌ててリハスタッフを入れようとしても取り合いになったり、中身も伴わなかったという事が起きました。ということは、平成18年の前の時点から流れはあったわけです。

 つまりどの流れも、経営的に見るとその加算をとってもペイしない、ぎりぎりの所で出てくるのです。ですから今回の改定もそうだろうと思います。これは私の深読みですが、そのぎりぎりの所でつけてきた先にはずっと大きな流れがあるような気がします。

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(つづく)

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