経営セミナー開きました(事務長会:その6)

2013年10月17日|

 老健の潮流で常に求められていたものは寝たきりからの解放、QOLの向上、中間施設・通過施設としての機能、医療職(医師、看護職)の常勤配置、リハ専門職必置、デイケア必須などであり、そこで医療サービスと福祉(介護)サービスの一体的提供、そして生活リハビリ提供の中で在宅復帰と在宅療養支援、つまり在宅限界への挑戦が求められてきました。この流れは平成24年の改定でも退所時関連加算やリハビリ関連加算等へと続いています。そして、地域包括ケア研究会報告書からみた施設の方向性についての報告で見ても、やっぱりこの方向性でいかなければ介護保険施設は「ケアが組み合わされた集合住宅」として位置づけられ、医療・看護・介護サービスは外部の事業者から外付けでの提供、と出ています。

 ということは、今回の厳しい改定をどうクリアしていくかが知恵の出しどころです。先に述べた通り、地域包括ケアシステム研究会は、「おおむね30分以内の日常生活圏域において、医療・介護のみならず、福祉・生活支援サービス等が一体的かつ適切に、24時間365日相談・利用できる提供体制を」と報告していますが、私たち老健はその中で生きていくということです。2025年は、生活上の安全・安心・健康が確保され、できる限り住み慣れた地域や故郷での在宅生活が継続できるよう、介護保険施設の本来の機能であるリハビリテーションが充実した在宅復帰支援、在宅生活支援が発揮されるべく、介護保険施設はその機能が評価される、というのが研究会の報告です。類型が評価されるのではありません。今回の改定で新設、あるいは見直された加算項目を見ると、2025年の地域包括ケアの時代において、期待される介護保険施設の方向へ介護老人保健施設の報酬は既に舵(かじ)が切られたと言えます。ここのところはしっかり頭に入れて施設運営に当たっていただきたいと思います。

 2025年の老人保健施設は、地域ケアの拠点になれるか?というのが一つです。たとえば認知症について言うと、医療面では認知症疾患医療センターの整備や認知症サポート医の養成が進み、地域ケア面では地域包括支援センターや認知症サポーター、見回りネットワークなどがありますが、実は医療とケアを同時に提供できる拠点、すなわち認知症ケアにおける中間施設がありません。ですから、何か困ったことがあったときに駆け込むところは今の所老健しかないと思います。認知症を例に出しましたが、色々な事について、このようなバックアップが必要だと、私は地域医療をしていてそう思います。

 全老健の「老人保健施設の総合的な将来の在り方検討懇話会」中間報告、「2025年のあるべき『介護老人保健施設』の姿について」には、2025年のあるべき介護老人保健施設の機能として(1)多職種協働で必要なサービスを提供、(2)生活機能の維持・回復、(3)利用者の状態にあった住まいへの復帰・在宅生活の継続、(4)在宅ケア支援、(5)地域との連携と地域ケアの拠点・・・の5つをあげています。これはもちろん老健の理念、そして役割であり、これは変わっていないし、これからも変わらないと思います。なぜならこれは地域包括ケアシステムが目指すところと同じだからですし、老健に期待されるところと同じだからです。

 これからの介護老人保健施設は、在宅ケア支援施設として地域支援、生活機能の向上を目指した短期間の入所、在宅生活支援のための緊急入所、質の高い生活リハビリなどを提供していかなければなりません。ただし、施設というとどうしてもイメージが入所中心になります。でも老人保健施設はその存在意義を果たそうとするなら、この入所中心のイメージから脱却することが課題だと言えます。そして長期入所のニーズが高ければ、一部な住宅的な機能を持ってもいいのではないか、という開き直りも必要だと思います。このようにして将来老健が様々な機能を備えた”24時間対応ONE STOP
SERVICE STATION
“になれば、地域を担えると思います。

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(つづく)

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