食に関するリハ学びました(リハ部会:その4)

2014年10月2日|

【第2部 各施設での成功事例・取り組みの発表(1)

〔食事姿勢の成功事例:ひむか苑 理学療法士 菅原展寿さん〕

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車椅子をみていくポイントとしては4つあるかと思いますが、○バックサポートの角度○座面の高さ、幅、奥行き○アームサポートの高さ○フットサポートの位置になります。今回はアームサポートの高さを調節したことで座位姿勢が安定した事例を報告したいと思います。アームサポートの高さを合わせるとは、肩が上がらず、肘が直角にきちんとアームサポートにつく高さに調節することが基本となります。

今回の事例では脳梗塞により、左側片麻痺を呈した方。ADL能力として移動は車椅子レベルで入浴以外はほぼ自立レベル。(車椅子駆動は右側上肢を使用し移動に夢中になると体幹の左側への偏移がみられている。)

この方に対してアームサポートの高さを3cm高くしたところ(今回の事例では座クッションを抜いて結果3cm高くなる)車椅子駆動時や食事時に姿勢崩れが改善された。

アームサポートの高さを調整することで体幹が預けられ筋力低下を補ってくれたのではないかと判断。基本は基本で抑えないといけないが、座位の高さを調整することなど本来であれば基本から逸脱したやり方だが視線を変えると結果も変わってくるのではないかという事。柔軟な目線や考え方が重要ですよ。

 

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〔食事姿勢の基本とケアの統一:こんにちわセンター 理学療法士 中村豪志さん〕

 

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介護現場での声として、ケアの統一が難しい・初めはできていても、いつの間にかされていない、などあがってきます。なぜケアの統一は難しいのか考えてみると、介護現場では食事だけでなく、排泄、入浴、事故など多くを対応しないといけなく、あまりにも多くのことを実行しないといけない。ケア統一のコツとしては、誰がやってもできる事、シンプルで長続きできる事、お金がかからない事が考えられます。充実したケアをするためには、ちょっとしたひと手間をかける事を惜しまない。例えば車椅子フットレストから足を下ろす。ちょっと姿勢が崩れている方を直す。洋服がみだれているのを直すなど手間をかけるのを惜しまない。それを持続する意義を理解し、専門家として責任を持つ。つまり意味を理解しないままだと長続きしないので、なぜそれが大事なことなのか、将来的にどうつながっていくのか理解してプロとして実行して行く事が大事であると思います。

ケアの統一をしていく為には段階があると考えます。第1段階としては、簡単かつ安価で多くの方に適応できる方法を考える。第2段階として関係職員にその方法の意義を理解してもらう。第3段階として常に実施できるような統一方法を考える。これら全段階を経てケアの統一が長続きすると考えます。

以上を踏まえ、食事に関して当施設で取り組んでいる例を挙げてみます。食事の適切な姿勢として足底が床や台に設置している事。座面に対して体幹がほぼ垂直である事。頚部が軽度前屈できる事を理解し、車椅子での姿勢を考えますが、ニトリで購入したクッションを背あてとして、固めを使用し、できるだけメーカーや種類を統一します。漫画週刊誌などを布テープで巻き簡易足乗せ台とします。利用者に合わせて、いろんな高さの台を作ることができ、コストも安く、資源を有効に利用できます。意義を理解し継続する為に食事ケア統一シートを作成し、視覚で確認できるように個別の写真を撮影し注意点を掲示し、食事前にテーブルに配布して全職員が統一できるようにしています。

大切なこととして、当たり前のことを、手抜きせずにやり通すこと、専門家として責任を持つことが大事であると考えています。

(つづく)

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