手をはなせ眼をはなすな

2012年5月18日|

 はっとしました。『宮崎県のことわざ・格言』(鉱脈社)にそれはありました。「手をはなせ
眼をはなすな」という格言です。県内全域で言われているとあります。

 これは子育てに関して親のとるべき姿勢を説いたものです。「青少年教育で最も大切なことは、青少年の自主性を最大限に尊重することである。(中略)いつまでも両親の手を煩わし親の指図によることなく自主独立させるためには、早めに青年から手を引き、しかもどのようなことをしているのかは、親(指導者)として見とどけておくという心構えが大切である」。同書にはこのようにありました。自分で考え、行動していくためには、必要以上に手を出さないことが大事・・・ん!?。これは私たち老健施設に勤める者が、利用者様に接する時の心構えにも通じると気づき、はっとしたのです。

 老健施設における介護のあり方は、自立支援型介護。リハビリテーション介護とも言えるでしょう。利用者様の自主性を最大限に尊重し、自ら考え、行動できるように支えること。そのためには、必要以上に手や口を出さず、必要なところには適切な介助をタイミング良くしていく事が大事だと言えます。そのためには利用者様ひとりひとりを適切に評価し、その人にとって何が必要なのか、何が必要でないかを見極めるとともに、利用者様が安全に、かつ過剰な負担を強いることなく行動し、生活できるよう、目配り、気配りを欠かさない事が肝要です。

 「手をはなせ 眼をはなすな」。宮崎の先人達は、すばらしい心構えを言い伝えてきたものだ、と敬服の念に絶えません。「よだきい」「のさん」といった、ネガティブなフレーズが内外で先行しかねない宮崎県において、「手を離して眼を離さないのが宮崎人(そして宮崎の老健)」というふうに変わって行くといいと思います。そして、宮崎県の老健施設およびそこに勤める私たちが、その実践者になれるならば、素晴らしいことではないでしょうか。

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