「活かされる」場所

2012年10月23日|

 「『活かされる』場所」と聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。高級割烹店にドーンと構えられた水槽、その中を悠々と泳ぐ鯛にヒラメに伊勢海老・・・。それもたしかにいいですね。一度は行ってみたいものですね。しかし今回はそういう話ではありません。「”『行かされる』場所”から”『活かされる』場所”へ」という話題です。

 去る1012日、西都市総合福祉センターで行われた同市の介護支援専門員連絡会の全体研修会でのこと。講師は櫻井俊司先生。特別養護老人ホームシルバースターうなまの里で生活相談員と介護支援専門員を兼務されているほか、県の介護支援専門員協会の日向・東臼杵担当理事で、介護支援専門員資質向上事業検討委員会の委員長も務め、各地で研修や講演をするなど活躍中です。介護支援専門員の実務者研修、未経験者更新研修を受講された方なら、多くの方がお世話になっているはずです。

 その桜井先生が「デイサービスセンターは、そこを利用されている方にとって、家族などから”『行かされて』いる場所”なのかもしれません。しかし私たちは、その人が”『活かされて』いる場所”にしなければなりません」と言われたのです。はっとした瞬間でした。

 この話に触れる前、桜井先生が紹介したのはマザーテレサの言葉。「この世の最大の不幸は、貧しさでも病気でもありません。自分が誰からも必要とされていないと感じることです。そして今日の世界における最悪の病は、そういう人に対する愛が足りないということです」・・・。つまり、「自分が誰かから必要とされていること」が、その人を活かすことだと思いました。そのような通所サービスをお一人お一人に提供しなければならない、そしてその内容は百人いれば百通りあるのだ、と。

 補足するように桜井先生は「寝たきりの入所の女性でも、その息子さんが面接に来て、耳元で『お母さん、また来るね』と話しかけ、元気になって帰られる。それは彼女が”必要とされている”ということ」とも言われました。これはつまり「”『生かされる』場所”から”『活かされる』場所”へ」と言えます。

 「生活」という言葉を何気なく使っていますが、この「活」という字の持つ深み、そして重みを再認識させられました。さっそく明日からの仕事に役立てたいと感じた、有意義な講演会でした。

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