見逃さないで!障害者の不利益

2012年10月31日|

 「世の中に出るのは、つまり自分の思うようにならないということを経験するためである」・・・これは阪急の創始者、小林一三氏の言葉です(『生きるヒントになる名語録728』、三笠書房)。その昔、親元を離れ、都会で一人暮らしを始めたとき、はたまた就職して仕事を始めたときなどはもちろんのこと、日頃社会生活を送る中での様々な場面で、この言葉が身に染みてわかります。もちろん多くの人にとって、世の中は自分の思うようにはならないことばかり。ため息が出ることもあります。しかし、そんな世の中だからこそ、自分らしさを見失わず、「負けるもんか!」などと奮起して頑張ってみたりもするわけなのですが・・・。

 さて、これとは話が違うのですが、1023日の朝日新聞に「障害者の不利益 見逃さない ?差別禁止法案が目指す社会?」という見出しがありました。この法律は、来年国会で議論される予定の「障害者差別禁止法」に関する記事。「障害がある人が、障害のない人と同じ行動がとれるようにする『合理的配慮』が求められる」というこの法律は、国連「障害者権利条約」批准に向けた国内法整備の一環として検討が進められるのだそうです。

 例えば、体に障害があるという理由だけで入店を拒否されたり、車椅子で店に入るためのスロープがないと「差別」と見なされるかどうか、そういった考え方が法案のポイントになりそうだと書いてありました。内閣府の作業部会がまとめた意見書では、「障害のない人と同じ行動をしたり、サービスを受けたりするための合理的配慮をしないことは差別にあたる」と定義したそうです。

 これに対して企業は「不均等待遇」や、「合理的配慮」をしてはならず、「過度な負担」がかからない範囲で対策を講じなければならない、というのが「障害者差別禁止法」になるのではないか、と思うのですが、この「過期な負担」がどの程度になるのか、「線引きは難しい」と記事にはありました。したがって、この法律が具体化していくのはまだまだこれからということになるようです。

 先述の格言と意は異なりますが、障害のある人が、その障害のために、「世の中に出て、自分の思うようにならないということを経験する」ことが無いような、そんな「障害者差別禁止法」になって欲しいと思います。今後の議論の行方が気になります。

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