超高齢社会の選挙

2015年1月19日|

 17日の朝刊を読んで考えさせられることがありました。まず日本経済新聞。「ネット選挙 浸透せず」という見だしの記事には、昨年12月の衆院選で発信内容をネットで見た有権者は16.1パーセントにとどまったことが、東京大学教授の調査でわかったと報じられていました。若年層の政治への関心を高めることなどを目的に、2013年の公職選挙法改正で解禁されたネット選挙ですが、選挙自体の関心が低かったこともあり、候補者陣営からも「注目を集められなかった」、「票に結びつくか分かりにくい」と、手応えはいまひとつだったとのことでした。

 一方、同日付けの朝日新聞の「声」欄。「投票へ往復2時間歩きました」という投書の主は宮崎県の80歳代後半の女性。いつもは息子の運転する車で10分ほどの投票所、しかし息子が用事で送れないため、意を決して歩いて行った模様が寄せられていました。激しい車の往来の中、路肩に寄って木の枝につかまったり、「自分の足ではないような気がした」ほど足がこわばったりしながら「やっとの思いで投票」。その後帰り道の上り坂では「気が遠くなりそうだった」そうです。それでも帰宅したら「心は晴れ晴れ」とくくっていました。

 総務省が発表した「平成261214日執行 衆議院議員総選挙・最高裁判所裁判官国民審査 速報結果」によると、小選挙区選の当日(平成261214日)の有権者数は13962784人、投票者数は54743097人で、棄権者数は49219687だったそうです。

同じく総務省が昨年の敬老の日を迎えるに当たって発表した「統計トピックス No.84 統計からみた我が国の高齢者(65
歳以上)平成
26 9 14
」をみると、平成26915日現在の65歳以上の高齢者は推計で3296万人とありました。これらの中には「投票に行った人」、「投票に『やっとの思い』で行った人」、「投票に行かなかった人」、そして「投票に『行きたかったけど行けなかった』人」、さらに「選挙権の行使が不可能だった人」などがおられたことと思います。

 日本が超高齢社会を迎えたのは2007年。それから現在までの間にネット環境は格段に向上してきました。一方今年2015年は団塊の世代が高齢者の仲間入りをします。このような情勢の中、これからの選挙制度はどうなるのだろう?上記2つの新聞記事を読みながら、そのように考えた次第です。

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