高くおよぐや

2015年5月5日|

「甍(いらか)の波と雲の波、重なる波の中空(なかぞら)を、橘(たちばな)かおる朝風に、高くおよぐや鯉のぼり」・・・。

ご存知文部省(現文部科学省)唱歌、「鯉のぼり」の1番ですが、歌い始めの「甍(いらか)の波」というのは、屋根の1番高い所で水平をなしている棟瓦(むねがわら)が、重なり合って波のようになっている様子だと思います。これと大空に浮かぶ真っ白な「雲の波」との間を、「橘」つまりみかんのような柑橘系の花(?)の香りが「薫風(くんぷう)」となってたおやかに吹いている朝。その風に乗ってすこぶる元気に大空を泳いでいる鯉のぼりの姿に、子供がすくすく育って欲しいという願いを込めて歌われているのがこの「鯉のぼり」であると、個人的には解釈して歌っています。作曲は弘田龍太郎ですが、作詞者は不明とのこと。

この歌が作られた時代と比べると、現代の家屋構造には「甍の波」がないものも少なくないようです。また、かつて県内各地で作付けが拡大されたみかんの木も、今ではかなり減って、「橘」が朝風にかおるというシチュエーションも減ってきたのではないでしょうか。さらにマンションやアパートなどでは、大きな鯉のぼりを泳がせるのが困難といった住宅事情もあり、必ずしもこの歌詞のようにはいかなくなっているのではないか?と少々寂しい思いがする今日この頃です。

しかしながら、子供の健全な成長を願う親の気持ちは、今も昔も変わらないと思います。それに加え、平均寿命が延びてきたのに従い、孫の健全な成長を願う祖父、祖母はもとより、ひ孫の健全な成長を願う曾祖父、曾祖母の想いはより一層強まってきているかもしれません。

老健の利用者の中にも、孫やひ孫がおられる方も少なくないと思います。「こどもの日」を迎えるに当たり、「お孫さんが元気にすくすく育っていく様子をいつまでも見届けられるよう、そして毎年こどもの日をお祝いできるように、ますます元気になりましょう!」などと話をしながらリハビリに励むのもまた良いのではないか、と思う次第です。

IMG_6882.JPG(↑残念ながら全くの無風状態だったので、この日は休養日だった鯉のぼり。別な日には元気に大空を泳いでいました)

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