ターミナルケア学びました(看護介護部会:その11)

2014年3月18日|

【時に支えになる対応】

 患者が「何もできることがなくなり、生きる意味がない」と思っている時、林先生は「ここにいるだけでも、存在するだけでも意味があるんですよ。自分の力で、これまでは何かをして、何かを生み出し、何かを伝えてきたと思いますけど、何もしなくても『伝わる』ことってすごくあるんですよ」と伝えることがあるそうです。「何もできなくなってご迷惑かけているんじゃないですか?」と家族から言われる事があるそうですが、「患者さんや利用者さんなど、その人の所に行くと”ほっとする”という人がいます。その人のところにいくだけで気持ちが優しくなれる、という人がいますよね」と受講者に考えてもらいつつ、「人は何かをしたり、話したりということに意味を置きがちですが、私は『そこにいるだけでも意味がある』ということをご家族に伝えることで、『ああ、そうなんだな』と思っていただける場合があります」と説明。その人の存在そのものが持つ意味の重さに気づき、それを大事にしながら接していくことの重要性を説きました。

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 「いろんな人の世話になるのが辛い」と思われる方に対しては、「今は私達がお世話をしていますが、いずれ私たちも世話を受けなければならないのですよ」と、世代を超えた支え合いを継承していることを伝えるそうです。またその際、「これまで、いろいろ人の世話をしてきたでしょう。今度は、自分がしてもらっていいんじゃないですか?」と言いながら、「『申し訳ない』じゃなく、『ありがとう』って言うと楽になりますよ」と、世話を受け容れる援助をし、あわせて自然に感謝できるような普段の暖かなケアを提供するなどして、依存による自己価値観の低下を辛く感じる人に対応しているとのことでした。

 また、「人に迷惑をかけている」「家族や親戚が遠くからわざわざ来てもらって申し訳ない」などと思う人への対応法について、まず「『迷惑』と『大変さ』を混合される場合があります」と指摘。その上で「確かに、お世話って楽じゃないかもしれません。だけどいやいややっているのではなく、大切な人だから自分がしたいと思ってやっているのだと思いますよ。迷惑じゃなくて、少しばかりの苦労だと思います。そして家族にとってみれば『十分やってあげられた』と思えるようにすることも大切なんですよ」と伝えるのだそうです。さらに「『悔いのない看取りはない』と言われますが」と断った上で、「家族が『あれもやってあげられなかった、これもやってあげられなかった』となると後悔が残りますよ。ですから『大変だったけどあれだけのことをやってあげられたな』と思えることで立ち直っていけることもありますよ」と伝える場合もあると紹介していただきました。

(つづく)

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