ハラスメント研修会開きました(看護介護部会:その13)

2014年1月22日|

【職業生活におけるストレスの状況】

 労働者の約6割が強いストレスを感じているとの調査結果が、厚生労働省より出されています。そんな中、精神障害の労災補償は増加傾向にあります。その精神障害の請求件数の多い業種を見てみると、最も多いのが医療・福祉の「社会保険・社会福祉・介護事業」で111件、第2位が医療福祉の「医療業」で87件となっています(平成24年度)。そして、「上司とのトラブル」を利用とする請求が年々増加しています。ストレスの内容を見てみると、「職場の人間関係」をあげている人が4割以上と、最も多くなっています。また、仕事や職業生活に関して相談できる相手としては上司や同僚、そして家族や友人が圧倒的に多い結果となっています。ただし、上司とのトラブルがあるのに上司に相談はできませんし、家族や友人には相談できてもはたして解決になるかどうかというと難しいです。

自殺に関する周囲の気づきについてですが、労災業務上認定自殺1098事例を分析したところ、上司も家族も高い割合で「なんかおかしいな」と気づいてわかっているという結果が出ています。また自殺企図6ヶ月前からの症状として「精神状態の変化」、「身体状況の変化」、「不眠」などが高い割合で現れています。

 

【ストレスの要因:ストレッサー】

 ストレスの要因となるものを「ストレッサー」と言います。これには(1)物理的なもの(熱、暑さなど)、(2)化学的なもの(酒・タバコ・有機溶剤など)、(3)生物学的なもの(細菌・ウイルス・花粉など)、(4)心理社会的なもの・・・などがあります。

 職場においては人間関係のトラブル(上司や部下との対立、いじめ、セクハラ・パワハラ)、役割の変化(昇級・昇格・配置転換・出向などによるもの)、仕事の質・量の変化(長時間労働や人事異動、トラブルの発生などによるもの)、重い責任の発生(仕事上の事故や失敗によるもの)などが、そして仕事以外では自分の出来事(病気や家庭不和、人とのトラブル、事故や災害など)、自分以外の出来事(家族、親族、友人の死や病気・非行など)、住環境や生活の変化(単身赴任、転居、騒音など)、金銭問題(多額の借金・ローン、収入減など)などがストレスの要因となります。

 この職場のストレス要因に仕事外の要因、さらに個人的要因(年齢、性別、性格、身体的条件、能力、生活経験)が加わって、ストレス反応が身体面や心理面、そして行動面に現れ、そしてストレス関連疾患へと陥っていきます。しかし、そうなる前に上司や同僚、家族などによる社会的支援や、快適な職場環境を整えるなどといった緩衝要因があると大きな違いが出てきます。

 ですから、そのような様子を見かけたら、声を掛けてあげたり、配慮してあげる必要があります。また、相談できるところを紹介してあげたり、そのための休暇をとらせてあげるなどの援助をする事も大事ですが、その際、個人情報にも配慮する必要があります。

 ただし、ここで問題になるストレスは「過度のストレス」です。ストレスは「人生のスパイス」であり、いい仕事をするには「適度のストレス」は必要です。新しい課題に挑戦し、それを乗り越える経験は、人を成長させ、職場に活性化にもつながります。ストレスは少なくても多くてもいけません。「適正なストレス状況」が、最も生産性を高めるということは念頭に置いておいて下さい。

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  (つづく)

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