研究大会開きました(その13)

2014年5月14日|

【本間達也先生特別講演(10)

 なぜリスクマネジメントなのか?ということですが、やはり世の中が変わったから必要だと思います。たとえば私は今54歳ですが、昔好きだった頃の曲のことを今の20歳代の人に言っても「何言ってるんだ?」と理解してもらえません。それくらい世の中が変わっているという事を念頭に置いてリスクマネジメントを考えていかないといけません。

 老健施設を取り巻くリスクには(1)転倒・転落による「事故」、(2)インフルエンザなどの感染症、(3)身体拘束などの社会的リスク、(4)個人情報保護・プライバシー保護、(5)職員の労働災害・個人的なトラブル、(6)地域との連携ミス、(7)自然災害による被害、(8)マスメディア対応・地域対応ミスによる社会的信用喪失、(9)制度改定による事業環境の変化、(10)他のサービスとの競争による収益減少・・・などいろいろあります。

 そのためリスクマネジャー(RM)を養成して、リスクマネジメントをしていかなくてはなりません。全老健で取り組んでいるリスクマネジャー養成の目的は、全国の老健施設のケアの質をより向上し、経営的にも安定した運営を行えるように、そして老健施設の存在価値をさらに向上させられるようにすることです。リスクマネジャーを制度化して、その配置により加算がつくようにならないか、など全老健でも頑張って取り組んでいるところです。

ただし、リスクマネジメントはリスクマネジャー一人ではできません。セーフティマネジャー(SM)の育成も必要です。また、職員教育や新入職員オリエンテーションの際、法人の理念や就業規則、ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)の徹底などについて教えると思いますが、その中で特に利用者の尊厳を重視することや、事故対策や感染対策などのリスクマネジメント、そして緊急時の対応などについてしっかり教育することが重要です。

結局のところ、介護事故や苦情対応の最高のリスクマネジメントは家族や利用者との適切なコミュニケーションがとれているのか、あるいはとろうとしているのか、ということだと思います。

 全老健ではリスクマネジャー養成講座の他にも、役職員を対象にした様々な研修会を開いています。また、いろいろな啓発パンフレットやマニュアルも作っていますので活用して下さい。

 さらに、全老健共済会の保険として「賠償事故補償制度(施設賠償責任保険、生産物賠償責任保険、受託者賠償責任保険、医師賠償責任保険)」、「利用者傷害見舞金制度(レジャー・サービス施設費用保険)」、「見舞客・ボランティア傷害見舞金制度」など、さまざまなものがありますが、この中で「賠償事故補償制度」と「利用者傷害見舞金制度」については、リスクマネジャーが配置されていると保険の掛金が20パーセントオフになります。さらに2名以上配置されていると25パーセントオフになりますので、多くの方が受けられるとメリットがさらに増えてくると思います。zenroukenkyousaikaihoken(1).jpg

(つづく)

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