「高齢者施設での看取り」学びました(看・介部会:その14)

2015年6月4日|

 (公社)宮崎県老人保健施設協会看護・介護研究部会はが59日、宮崎市のJAアズム別館で研修会を開いた「高齢者施設での看取り」研修会。認定特定非営利活動法人ホームホスピス宮崎(HHM)の市原美穂理事長による講演「高齢者の看取り・尊厳死とは …ホームホスピスかあさんの家の実践から…」もいよいよ終わりに近づきました。

001IMG_0456.JPG

 市原理事長は映画『おくりびと』の原作者である青木新門さんのネット詩集から「いのちのバトンタッチ」という詩を紹介した後、スライドに柏の木の葉っぱを示し、「『看取り』というのは『命のバトン』を渡す場です。そういうふうに見ると、『自分はどうしたいのか、自分の親をどうやって看取りたいのか、ということを自分の中でよく考えていくことが必要だと思います。柏の葉っぱは新芽が出てから枯れ葉が散るそうです。ユズリハもそうです。私達もみんなそうです。私達も必ず『散る』時が来ます。その時に次の世代にちゃんと『いのちのバトン』を渡していくのが最後の仕事ではないかと思います』と、死から目を背けることなく、限りあるからこそ尊い命の散り際をしっかり看取ることで「いのちのバトンタッチ」をしていくことの大切さを強調しました。

 そして最後のスライドとして市原理事長がノルウェーに行った際、ベルゲンの丘で撮影した夕陽の写真を映し出し、「この夕陽は3時間くらい続いていました。日本の高齢社会もそうだなと思ったのでこの写真を用いました。『なかなか沈みそうで沈まない』ですよね。だけどこの写真のように輝いていればいいわけです。どういうことかというと、『その人が生きてきた場所で、馴染みの人に囲まれて時を過ごし、人生の幕を下ろすとき、そのプロセスは自然であり、最期は穏やかであることが最も価値のあること』です。このことを一般市民みんなが共有していかないとなかなか難しいと思います。そういう意味で看取りのケアを施設でする場合に大切なのはご家族です。ご家族に『大切な人がなくなっていくこと』をきちんと共有できるように、その人が元気なときからきちんと話をしていくことが大事だと思います」と会場を見渡しながら講演を締めくくりました。

 「かあさんの家」で「最後まで普通に暮せるよう」入居者を支え、そして「悔いのない看取りができるよう」家族を支え続ける市原理事長の日々の実践に裏打ちされた講演は、会場を埋め尽くした120人の参加者ひとりひとりにとって、それぞれの施設における看取りケアを行う上で非常に役に立つものでした。大きな感動と学びを与えて下さった市原理事長に、参加者からは惜しみない拍手がおくられました。

002IMG_0468.JPG

(おわり)

« 前のページに戻る

TOPへ