研修会開きました(栄養給食部会、その1)

2013年7月29日|

 (公社)宮崎県老人保健施設協会栄養・給食研究部会は718日、宮崎市の介護老人保健施設ひむか苑会議室で研修会を開きました。認知症と食事摂取について学びました。

 この日は県内の会員施設から24人が参加しました。研修会ではまず、同部会の船ケ山 塁副委員長が、挨拶に続き平成24年度の決算報告と平成25年度の事業計画および予算について説明を行いました。

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(説明に立つ船ケ山副委員長)

 

 続いてひむか苑の医師、田代 学先生による「認知症高齢者の食と味の認知を考える」と題した、非常にためになり、興味深い講演がありました。その内容を連載します。

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【はじめに】 

 私は介護認定審査会委員もやっているのですが、審査をする中で、鍋をガスにかけたままにしてしまう「鍋焦がし」の事例が少なからずあります。かなり鍋にダメージが及ぶまで気がついていない。なぜでしょうか?それは短期記憶障害、つまり「料理を始めた」ということを忘れるから・・・かつてはそう思っていたのですが、最近は違うのではないか?それだけではないのではないか?と思うようになりました。つまり嗅覚障害があるのではないかと思うのです。普通、鍋が焦げるあの臭いが漂えば、否が応でも気がつきますよね。その臭いがわからないから鍋を焦がしてしまうのだと。

 今日は最近疑問に思っている事で、ちょっとまとめたものを話します。

 

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(田代先生)

 

【増える認知症高齢者】

 昨年厚生労働省は、介護保険の要介護認定をもとに認知症高齢者を約300万人と推計していました。これは10年前に予測した数値より70万人くらい多くなっており、それだけ人手とお金が足りないことが見えています。さらに今年61日の朝日新聞は、同省研究班が国際基準に従って専門医が診断し、462万人という2012年時点の推計値を発表したことを1面トップで伝えていました。年齢がいけばいくほど認知症になる率は高くなります。特に80歳越えると急激に増えます。

 

【以前作ったスライドに疑問抱く】

 ご飯をうまく食べない人、飲み込めない人に対して、食事の形態や食事介助などで補おうとするのは当然です。そこに自助具や食器の工夫。それにポジショニングなども考えていかないといけませんが、もっと考えないといけないのは、環境、雰囲気。いろんなことを考えないとご飯を食べたくない、楽しくないと思います。そこでふと思ったのが、「利用者が認知できてこそうまくいく」ということです。認知できなかったらうまくいかない可能性が高いと思います。

 以前作ったスライドでは認知症者への摂食・嚥下障害へのアプローチとして、「実際には、進行期を除けば、認知症の認知症による摂食・嚥下障害はあまりない」「初期には、短期記憶障害と満腹中枢障害による食事の催促、過食が問題となることがある」「その後、問題になるのは、周辺症状(BPSD)等に対する薬物による傾眠・口腔内乾燥等による摂食・嚥下障害である」と簡単にまとめていた。しかし、本当にこれだけでいいのかな?と悩んでいました。

(つづく)

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