ソフト食学びました(栄養給食部会:その1)

2013年12月26日|

 (公社)宮崎県老人保健施設協会栄養・給食研究部会は1212日(木)介護老人保健施設ひむか苑会議室で研修会を開きました。会員施設から20人が参加。講義や試食を通じ、「高齢者ソフト食」について学びました。

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 この「高齢者ソフト食」は、潤和リハビリテーション診療研究所の客員研究員で、農学博士でもある管理栄養士の黒田留美子先生が開発、普及をはかっているもので、全国から高い評価と関心を集めているものです。研修会はまず、ひむか苑の管理栄養士で同部会の船ケ山
塁副委員長がスライドを用いて高齢者ソフト食について講義を行いました。

 

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【「食」と「尊厳」との関係】

 「辞書をひもとくと、『尊厳』とは『尊く厳(おごそ)かなこと。気高く犯しがたいこと』とあります。例として『人間の尊厳を守る』というように用いられますが、私達は老健施設で働いていますので、”要介護高齢者の尊厳が守られている食事とは?”という観点で考えてみましょう」と切り出した船ケ山副委員長。この「尊厳が守られている食事」として(1)その人のために作られた食事、(2)その人の状態(摂食・嚥下能力)と嗜好(好み)を考慮して作られた食事・・・などを例示しました。

 一方、「尊厳が守られていない食事」として(a)嫌いなもの・苦手なものばかりで作られた食事、(b)薬が紛れ込ませてある食事、(c)あらかじめ刻まれたり、つぶされている、あるいは見た目に配慮のない食事・・・などを挙げた上で、「皆さんの施設で提供している食事はどちらでしょうか?」と、参加者一人一人に問いかけました。

 

【あなたたちの尊厳】

 その上で、「利用者の尊厳が守られた食事」を提供することは、「自らのプロフェッショナリズムを堅持する必須のこと」として、利用者の尊厳だけでなく、「私たち食事を提供する側の、プロとしての尊厳を守った食事」という考え方にも言及しました。このことに関して、「利用者の尊厳が守られない食事を提供することは、それを提供する専門職がプロでないということ。提供する側が食べたくないようなものを出していれば、プロとして失格です」と断言。

これらの事を踏まえ、「だから『高齢者ソフト食』なんです」と強調した船ケ山副委員長。心や体がが若いころのように自由に動かなくなって、自尊心が傷つけられ、以前のように自分らしいふるまいができなくなった高齢者に、「動物のエサ」のような食事を提供することは許されないという思いから、「高齢者ソフト食」ができ、現在に至った経緯を説明しました。

(つづく)

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