キャリアアップ研修(中堅者)開きました(県委託事業:その1)

2016年2月19日|

 28日、当協会主催による「平成27年度キャリアアップ研修(中堅者研修・管理者)研修」を宮崎市の(一財)潤和リハビリテーション振興財団本部棟で開催しました。

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(↑会場となった潤和リハビリテーション振興財団本部棟)

この研修会は地域医療介護総合確保基金にかかる介護人材確保推進事業として、宮崎県の委託を受け、今年度初めて開催するもの。午前中に開かれた中堅者研修には会員施設から45人が受講しました。

開会にあたり、当協会の櫛橋弘喜会長は「東京などで行われる全国研修会で受講しなければならないものを、県内で受けられるようにしたいとずっと思っていて、このたび実現することができました。今日はしっかり勉強して、それぞれの施設に持ち帰って下さい」と挨拶しました。

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(↑挨拶に立った櫛橋会長)

研修会ではまず臨床心理士の越谷美貴恵先生による講義「介護施設職員のメンタルヘルス」がありました。越谷先生は2002年から九州保健福祉大学社会福祉学研究科に在籍、認知症高齢者ケアについての調査研究を進め、2008年「介護職員に対する福祉サービス利用者からの暴力的行為の実態とその影響に関する研究」で社会福祉学博士号を取得されました。現在は短大や専門学校で心理や社会福祉の非常勤講師、そして精神科病院および総合病院で非常勤心理士として勤務するとともに、認知症ケアや医療・福祉職員のメンタルヘルスいついての調査研究をされています。

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(↑講師の越谷先生)

講義ではメンタルヘルス(精神的健康)の定義から始まり、介護者の離職理由として職場の人間関係に問題があったことや、介護の仕事のストレッサー(利用者に対して、利用者の家族に対して、上司や同僚に対して、事業者に対して、自分自身に対して)などについて説明がありました。

その中で慢性的なストレスは共感的な対処を必要とされ、重大なライフイベントよりも健康障害にとって重要な要因になるリスクが報告されているとし、その対策が重要とのことでした。またヒューマン・サービス従事者が長年援助業務に携わる中で、心的エネルギーを過度に要求され続け、心身の極度の疲労と感情の枯渇を引き起こし、人との関わり合いを回避したり、気力を失う「バーンアウト(燃え尽き症候群)」については、実際にチェックシートを用いて各自の「情緒的消耗感」、「脱人格化」、「個人的達成感」を診断しました。そして、理想的なヒューマン・サービス従事者はバーンアウト予備軍であるとし、介護職への支援の重要性を学びました。

 さらに認知症の周辺症状(BPSD)は介護負担を増大させるものであり、介護職員の心理的ストレスや利用者との不十分な信頼関係は、感情労働の質を阻害する要因となり、メンタルヘルスに影響を与えるとの説明に、受講者は自らの経験と照らし合わせながら聞き入っていました。

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 そしてリーダーが抱えるストレスの特徴や、組織内の人間関係による負担、リーダーとしての相談援助の姿勢などについて話がありました。受講している中堅職員はその立場上、上司との関係、そして部下との関係それぞれにおいて負担となる要因を抱えやすいことから、「自分のリーダースタイルを自覚する」、「自分のスタイルを確立し、職員にもそのスタイルを理解してもらう」、「リーダーのタイプを使い分ける」などといった説明を真剣な表情で耳を傾けていました。

 これらを踏まえ、こころのスキルアップ・トレーニングとして(1)一つの考えに縛られず、情報を多く集めて柔軟に判断する(認知療法)、(2)考えを柔軟に切りかえるしなやかな考え方を身につける(認知再構成法)、(3)周りの人に自分の気持ちを伝える(アサーション)があること、また職場でストレスをためないコミュニケーションとして、「あいさつ」、「ほめ上手になる」、「チームワークを大切にする」、「感謝の気持ちを伝える」、「世代間のずれにとらわれない」などについて、スライドを用いた説明がありました。

 最後に越谷先生は「ストレスから回復できないことも、回復しているのに、次のストレスがもたらされないことも、どちらも健康とはいえない」という”セリエのストレス理論”を紹介、「ストレスと回復のバランスが重要」と強調し、講義を締めくくりました。

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(つづく)

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