キャリアアップ研修(中堅者)開きました(県委託事業:その2)
中堅者研修は続いて、(株)インターリスク総研の特別研究員、本田茂樹先生による「部下に対するコーチング技術」がありました。本田先生は信州大学経営大学院客員教授、早稲田大学招聘講師、そして公益社団法人全国老人保健施設協会管理運営委員会の安全推進部会の部会員も務められています。
「コーチ」とはそもそも馬車(Coach)のことで、「乗客を目的地に運ぶためのもの」ということから、「スポーツの指導者」という意味で「コーチ」という言葉が広がったそうです。そして「コーチング」とは「対話を重ねることを通して、クライアント(コーチを受ける対象者)が目的達成に必要なスキル、知識、考えを備え、行動することを支援し、成果を出させるプロセス」であることを学びました。これを踏まえ、「コーチングの3つのポイント」として(1)人は無限の可能性を持っている、(2)その人が必要とする答えは、その人が持っている、(3)その答えに気づくためには支援が必要・・・の3つが示されました。
ただし、「新入職員など『答え』を持っていない人には、『コーチング』は使えません。そのような場合には『ティーチング』です」として、スライドを用いながら両者の違いについて次のように示されました。
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【コーチング】
〇相手から答えを引き出す
〇自発性を出す
〇動機づけができる
〇個別対応
〇時間がかかる
【ティーチング】
〇指示する
〇アドバイスする
〇教える
〇多数を相手にできる
〇受け身になりやすい
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そしてこの「コーチング」と「ティーチング」について、様々な事例を用いながら具体的に説明が行われました。
これを踏まえ、コーチングのスキルには「傾聴」、「承認」、「質問」の3つがあり、それぞれについての解説がありました。この中で「傾聴」については「『傾聴』は『聴く』であり、『聞く』ではありません。初めて乗った電車では『どこの駅に停まるか?どこの駅で降りたらよいか?』と考えるので、車内アナウンスに意識的に耳を傾けて『聴く』わけです。これに対し、いつも乗り慣れている電車だと、停まる駅や降りる駅はわかっています。したがって車内アナウンスは音として入ってきても聴かなくてよく、この場合は『聞く』であり、『聞き流す』というわけです」と述べた本田先生は、傾聴のポイントとして「”話す内容や相手に先入観を持たない”、”自分の評価は横に置く”、”最後まで聴く”というゼロポジションを大切にする」、「”うなずき”、”あいづち”、”オウム返し”などにより『聴いて増すよ』という姿勢を示す」などのポイントを、実際に受講者が2人1組になって行ったロールプレイなどを交えながら丁寧に解説しました。
(↑腕を組んでふんぞり返る姿勢は『傾聴』と言えるか?ロールプレイで学びました)
介護職の多くがストレスを抱え、高い離職率を示す現状を踏まえ、「このような状況だからこそ、権威で管理するリーダーではなく、対話を引き出すことで部下の能力を引き出すコーチ型のリーダーが求められています」と呼びかけた本田先生の講義は、それぞれの職場での実践に役立つ大変有意義なものでした。
(終わり:管理者研修レポートにつづく)