高齢者の心理学びました(支援相談員部会:その2)

2014年10月7日|

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 加齢と老化の違いについて、加齢とは「『年をとる』ことで、受精から死に至るまでの時間の経過をいい、誰もが平等」であることに対し、老化とは「年齢とともに心身の機能が衰えていくことをいい、記憶力の低下、視力や聴力の低下、運動機能の低下などが代表的で、個人差が大きい」と話し始めた田代先生。高齢者心理学の歴史は浅く、1980年頃までは日本でも「加齢に伴う身体・社会的側面の喪失体験と心理的適応が負の関係を持つ」ことについての実証研究が支持されていたそうです。つまり、

(a)高齢になるにしたがって、退職、引退、子供の独立による生活様式の変化などによって社会的役割が変化する

(b)そのため個人の意識や行動も大きく変化し、社会からの孤立、病気や死に対する不安や恐れは加齢とともに増加する

(c)これにより、興味や意識の低下、自己防衛的受動的・衝動的な行動につながる

・・・というのが従来の考え方だったとのこと。

 これに対して近年は、「記憶力の低下は、知的能力の低下を示すものではなく、判断力や思考能力は衰えにくい」と考えられるようになってきたとのことでした。田代先生は「通念打破ing」というスライドを示しながら、「1980年以降の高齢者研究の中で、旧来の『老人は衰え、病んだ厄介な対象であり、できるだけ老いは遠ざけて若返りを狙うべきだ』とする老年学から『老いても生命力と活動力をできるだけ長く保ち、晩年の成長と自己実現の可能性をはかる』新しい老年学へ転換されている」と説明しました。このように高齢者観が変化してきた背景には、社会参加を続ける健康な前期高齢者が増加したことや、老いや病にもかかわらず、補償的に発揮される高齢者の適応力が発見されてきたことなどがあるのだそうです。

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(つづく)

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