キャリアアップ研修(管理者研修)開きました(その2)

2016年2月24日|

 管理者研修の後半は「介護収入から見る経営指標 地域包括ケア構築に向けて」。講師は(公社)全国老人保健施設協会の社会保障制度委員会報酬部会の部会員で、横浜市にある医療法人社団裕正会介護老人保健施設新吉田の漆間伸之事務長にお越し下さいました。

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 講義は(1)24年と27年介護報酬改定、(2)地域包括ケア研究会報告書からの考察、(3)施設がすべきこと・出来ること、(4)今後の課題・・・という4つのテーマに基づき進められました。

 (1)24年と27年介護報酬改定」については、老健施設の歴史や、平成24年度と27年度の改定の概要、在宅復帰の評価に関する報酬上の変遷などを踏まえ、平成27年度の介護報酬改定では在宅支援強化型デイケアとしてリハビリテーションマネジメントが強化されたことや、社会参加を維持できるサービス等へ移行する体制の評価などに触れた上で、地域包括ケアシステム構築を一層推進する観点から在宅復帰支援機能・在宅療養支援機能といった在宅支援受け皿が充実強化され、これは「平成30年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向けての布石」と改定の方向性が示されました。

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 (2)「地域包括ケア研究会報告書からの考察」については、地域包括ケアシステムの法律的根拠や老健施設のサービスの在り方、施設の有効活用、介護保険施設類型の再編の概要を示した上で、横浜市の状況について2025年には要介護認定者数は1.5倍、在宅医療対象者は1.7倍に増加する試算に触れつつ、「よこはま地域包括ケア計画(:第6期横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画、平成27年度から29年度)」において、老健施設は本来有する在宅生活への復帰を目指すリハビリ支援や認知症高齢者への対応などのノウハウを生かした機能分担を充実させ、在宅復帰するための中間施設としての役割を強化し、また多様な専門職を有する老健施設が地域包括ケアにおける拠点として役割を担う旨明記していることが紹介されました。

 (3)「施設がすべきこと・できること」に関しては、本人や家族の住み慣れた自宅で暮らす「覚悟」を支える上で、老健施設の説明責任は大きく、医療と介護の連携強化は老健の役割であり、地域包括ケアシステムの拠点として老健施設が役割を発揮するために「リハビリテーションの充実」、「医療の充実」、「R4システムを基盤としたケアの充実」、「認知症へのより高度な対応」の4つが提示されました。そして老健施設の往復型利用による在宅生活の継続や老健施設の在宅支援の結果としての看取りなどに言及した上で、「地域包括ケアシステムは地域特性に合わせ、既存の社会資源サービスを有効活用した『地域完結型』。そしてほぼ中学校区にひとつあり、介護保険施設であるとともに医療提供施設である老健施設は『地域包括ケアシステムの要(拠点)になり得る施設』であると、スライドを用いて説明がありました。

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(4)「今後の課題」については、まず人材確保の課題に言及。2025年に向けた人材にかかる需給推計や従業員の過不足状況などの調査結果から、人材の確保が重要な課題であり、総合的な人材確保方策の目指す姿として、専門性が不明確で役割も曖昧なために早期離職につながっている「まんじゅう型」の現状から脱却し、人材の参入を促進することですそ野を広げつつ、専門性の明確化・高度化で継続的な質の向上を促し、限られた人材を有効活用するために機能分化を進めていく「富士山型」を目指していくことが提唱されました。

 最後に次期改定に向けた報酬の課題として、介護人材の確保と処遇改善、介護保険施設における医療提供のあり方、いわゆる「ピラミッド型(命令型)」から「ドーナツ型(カンファレンス型)」へシフトすることで「他職種”協働”」から「他職種”平等”」という体制で、利用者中心に職員が対等に関与していく業務の在り方などについて説明が行われ、研修会終了となりました。

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(おわり)

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