高齢者の心理学びました(支援相談員部会:その4)

2014年10月9日|

 支援相談員研究部会主催の「高齢者の心理」を学ぶ研修会。潤和リハビリテーション財団介護老人保健施設ひむか苑の勤務医、田代学先生による講義は「人間関係の加齢変化と適応」に移りました。

 

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 スライドに

(1)退職:職場を中心として人間関係、地位の喪失。伴侶にとっては、自由であった時間の喪失とそれまでの井戸端会議的な関係の縮小

(2)身近な人の死:仲間、友人、親戚、配偶者の死

(3)親子関係:核家族化老夫婦家族、独居老人

 という3つの項目を示しながら、「これらの社会的関係の希薄化からくる危機を一人の力で乗り越えることは困難で、周囲からの精神的、経済的支え、具体的な支援などのソーシャルサポートが必要」と述べ、さらに「高齢者自身も元気な時からそのようなネットワークを形成しようとする姿勢が必要で、それは若い時から必要です」と、スクリーンに「重要」の2文字を大きく浮かび上がらせて強調しました。

 続く「幸福感の加齢変化と適応」では、「多くの高齢者は加齢とともに喪失体験が増え、幸福感は低下すると思われがちだが、近年の研究では老年期の方が中年・壮年期よりも生きがいを持ち、幸福感が高いという結果が出ています」との説明に、意外な表情をする受講者も見られましたが、「高齢者は喪失感や無用感を認識し、そこから抜け出し自分の生を価値や意味のあるものとするためのものを探し、成功することで日々の充実を得ています」と付け加えると、受講者はうなずいて聞き入りました。

また「successful aging(成功加齢・幸福な老い)」という言葉を紹介。これは老年期におけるより良い適応状態を示す言葉とのこと。幸福な老いを測定し、数量化する指標”PGCモラール尺度”では元気で活動性の高い人、つまり身体的に健康だと主観的幸福感が高いとされているのに対し、「社会的健康がより重視されている」という説も増えているのだそうです。この”社会的健康”には(1)社会とのつながりがある、(2)(社会)参加している、(3)仲間がいる、(4)絆がある、(5)ソーシャルサポートがある・・・などの要因があるとのこと。そして身体的健康が低くても社会的健康が維持されている方が、身体的健康は維持されているものの、社会的健康が低い方より、「満足している」と感じている人の割合が約4倍多いと回答している研究データが示されると、受講者は社会とのつながりや参加、社会的支援の大切さを再確認していました。

(つづく)

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