認知症の方の権利擁護学びました(看護・介護部会:その4)

2015年3月19日|

 利用者の尊厳を保持し、自立した日常生活が送れるよう支援する介護保険制度。この「自立した生活」について、「これまでは『自分で何でもできること。依存から脱却し、他者の援助を受けないで生活できるようになって、初めて自立』と言われていました。この考え方だと、障害が軽い人は自立するかもしれませんが、重い人は自立できません。これでは尊厳が傷つけられてしまいます」と浜砂貴美子先生は、自らのリハビリ病棟勤務の経験を振り返りながら説明しました。

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 これに対して「現在は”身体的な自立”ではなく、”精神的な自立”に考え方が変わっています」として、現在の「自立した生活」とは、「利用者自らが『主体になって生きること。生活主体者となって生きる行為』自立生活」であると説明しました。

 そして、「自立生活のための支援」として、次の3つを示しました。

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【自立生活のための支援とは?】

(1)利用者を個別的にとらえて、利用者の意思を尊重する。利用者が「できる」部分に着目する。

(2)自立生活支援とは、単に生活上の全てを自分で行うことを意味するものではない。支援を受けながらでも、本人の意思決定が尊重されることが重要になる。

(3)自立支援には、自己選択、自己決定というプロセスが不可欠。

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 これを踏まえて浜砂先生は、「利用者の意思を尊重することは、個人の尊重であり、憲法に言われていることがケアの部分に出て来ています。障害や認知症があると、自分で判断ができなくなりますが、何もできないわけではありません。たとえ植物状態となった人、経管栄養で命をつないでいる人でも、身体にきちんと栄養を入れ込む力をもっているし、オムツをつけたままでも排泄する力は残っています。自分で呼吸する力も残っています。このように考えると、自分でできることはゼロではありません。『その人ができる部分』に自分のための支援が見えてきます。『この人は何ができるのか?』という視点が大事です。できないことばかりを見ると、『拘束』につながります。支援を受けながらでも意思決定が尊重されることが重要です。意思を尊重するということは、『尋ねる』ということです。みなさんは利用者に聞いていますか?『自己選択、自己決定というプロセス』が不可欠ですから、本人が参加し、本人が決めていくことが必要です。一方的な介助ではいけません」と、選択と決定の連続である日々の利用者の中で、その主体者である利用者本人が自分の望むことや必要なことを自ら選択して決定することが重要であり、意思判断力が低下している人の一連の決定支援には協同自己決定が必要で、本人および本人の声を中心に、支援者が意思決定を支援し、本人の参加を促しながら自己決定を確認していく過程の積み重ねが不可欠だと強調しました。

(つづく)

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