認知症の方の権利擁護学びました(看護・介護部会:その5)

2015年3月20日|

「認知力が低下してくると、判断力も低下します。自分がどうすればいいか、声をかけてもらわないとわからなくなってしまいます。それなのに、『どうせわからないのだから』と、声をかけずに車椅子に乗せてご飯やお風呂に連れて行ったりしていては、利用者は自己選択ができません。自己選択ができるような支援をするために、本人に尋ねて下さい。例えば食事の場合、『ごはんに行きましょう』ではなく、『行きますか?』と聞いて、『はい』ならそういう意思決定がなされたということです。『いや』だったら、『なぜ今はいやなのか?調子が悪いのか?後で食べたいのか?何か理由があるのか?どこで、だれと、何を食べたいか?』というように、『いや』という意思表示に対して私たちが考えて、そしてまた問いかけることが重要です。10人利用者がいれば、10人ともその決定のしかたは違います。だから、一人一人声のかけ方も、確認していく過程も違います。それが現場で自己選択、自己決定を支援するということであり、このことが人権を尊重するということです」と、利用者の自己選択・自己決定が不可欠で、そのために利用者に尋ねることが重要であることを説明した浜砂貴美子先生。これにつづき、受講者に個人ワークの時間を与えました。

001IMG_9785.JPG
002IMG_9780.JPG003IMG_9782.JPG004IMG_9786.JPG

(↑自らの利用者への接し方を振り返った個人ワーク)

この個人ワークは、利用者が日常生活の中で選択できることがいくつあるかを考え、日々のケアを提供しているとき、自己選択できる声掛けをしているかどうかを振り返ろうというもの。受講者は食事や排泄、入浴、そして更衣、整容などといった生活の各場面で、利用者に声掛けし、尋ねているか、自らの言動を省みながら、真剣に取り組んでいました。そしてその結果を浜砂先生が尋ねる中で、受講者からは、「今まで利用者への尋ね方が足りなかった」、「意思決定を支援するための情報収集が十分でなかった」などの声が聞かれました。

005IMG_9788.JPG
006IMG_9791.JPG007IMG_9790.JPG

(↑個人ワークを通じ、利用者に尋ね、意思決定を支援することの重要性を学びました)

 このような受講者の声を受けて、浜砂先生は「具体的には尊厳とは個人の尊重です。『私は私である』というのが個人の尊重です。利用者が自分の意見をちゃんと言って、自分で選んで自分で決める。それを支援するためには情報が必要です」と、利用者の尊厳のために、声をかけ、尋ねることの重要性を改めて訴えました。

 続いて研修会は、利用者の人権、そして権利擁護に移り、具体的な人権の種類、そして権利擁護を支援する仕組み、関連する法律などについて学んでいきました。

(つづく)

« 前のページに戻る

TOPへ